全国に「歴食」開発の動き 町おこしの起爆剤にも

全国に「歴食」開発の動き 町おこしの起爆剤にも

全国でいま、様々な時代の人々が食べていた食事を、史料や記録に沿って、味付けも含めほぼ忠実に再現した「歴食」が全国各地に生まれている。町おこしの起爆剤にと考える自治体も増え、2月26日には島根県益田市で第2回サミットが開かれるという。
歴食の基本コンセプトは、「歴史的なストーリーを有した、価値ある食」だが、歴史に触発された食も含む。そして現在、東北から九州までの地域に縄文時代から江戸・幕末までをテーマにした12の「認定歴食」がある。
草分けともいえるのが奈良パークホテル(奈良市)の「宮廷料理・天平の宴」。平城京の出土品をもとに、1984年に再現したフルコース(税別1万1500円)で、素材を生かした肉や魚の干物、乳製品の蘇(そ)、油で揚げた唐菓子などだ。
徳川14代将軍・家茂に嫁した皇女和宮にちなんだ和宮御膳、同時代の新選組御膳は、中山道の赤坂宿があった岐阜県大垣市の「和洋会席かなぶ」が再現した。赤坂宿に残る本陣宿帳に残る記載などをもとに、江戸時代の料理本も参考に、当時の味付けを復元したという。
山口市には1500年に室町幕府の10代将軍・足利義稙(よしたね)が、同地を訪れた時の供応記録に残る御膳が生まれた。同地の守護大名・大内氏にちなんだ「平成大内御膳」は古文書通りに復元された32膳の将軍供応御膳を16品、10品など3コース(税別3000~1万5000円)に仕立てたもの。市内の宿泊施設などで食べることができる。