英国・コーンウォールで3日間の日程で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は6月13日、首脳宣言を採択して閉幕した。取りまとめは議長国の英国ジョンソン首相だったが、周到な事前の準備などで米バイデン政権が主導した形で、G7が結束。米トランプ政権時代の不協和音が消えるにとともに、中国の影響力増大に対抗する合意を打ち出し、G7の復活を印象付けた。イタリアは中国が掲げる「一帯一路」構想に参画メンバーとなっているほか、ドイツは中国が最大の貿易国となっているなど、G7内でも対中姿勢で温度差はあるが、サミットでは足並みをそろえた。
宣言では「台湾海峡の平和と安定の重要性」について初めて明記。中国の人権問題や覇権主義的な行動に懸念を示し、「中国に人権を尊重するよう求める」と中国を名指しでけん制。中国が海洋進出を強める東シナ・南シナ海についても「懸念」を示し、「現状を変更し、緊張を高めるあらゆる一方的な試みにも強く反対する」とした。
中国が途上国などで進める巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗し、より透明性が高く、環境に配慮した途上国向けのインフラ支援の枠組みの創設などを盛り込んだ。環境問題ではG7全体の温室効果ガス排出を「2030年までに2010年比で半減させる」と明記。二酸化炭素(CO2)の削減措置が取られていない石炭火力発電については「政府による新規の直接支援を2021年末までにやめる」と表明した。
このほか、東京オリンピック・パラリンピックについて、「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で開催することを改めて支持」すると盛り込まれた。新型コロナウイルスの途上国への提供は「来年(2022年)にかけてワクチン10億回分に相当する支援」でまとまった。