東京商工リサーチのまとめによると、2021年の企業倒産件数は前年と比べ22%減の6,030件だった。2年連続で前年を下回り、1964年の4,212件に次ぐ57年ぶりの低水準にとどまった。負債総額は6%減の1兆1,507億円だった。東京商事(所在地:東京都中央区、負債額1,004億円)の倒産や、エフパワー(所在地:東京都港区、負債額464億円)の会社更生法適用申請などの大型倒産も発生したが、倒産件数の減少で全体では減った。
業種別では新型コロナ禍で大きな影響を受けた宿泊業が27%減の86件、飲食業が23%減の648件にとどまった。運輸業は5%増の239件と全産業で唯一、増加した。
ただこの倒産件数、決して産業界の、とくに中小零細企業の実勢を反映したものではない。新型コロナウイルス禍が長期化する中、政府の支援要請を受けた国や金融機関の、事実上無利子・無担保の緊急のつなぎ融資などの資金供給によるもの。これにより経営不振の企業を恣意的に下支えしているケースも数多い。実力以上の負債を抱え、猶予期間を過ぎれば返済を迫れらることになり、こうした企業の先行きは全く不透明だ。