IOC 女性会長で新時代 大胆な改革は望まず バッハ氏の影 

国際オリンピック委員会(IOC)の会長選が3月20日、ギリシャ・コスタナバリノで行われ、第10代会長にIOC理事のカースティ・コベントリー氏(41)(ジンバブエ)が当選した。131年の歴史で、これまで欧米出身の男性のみが就いてきたIOCの会長に初めて女性が就任する。それもアフリカのジンバブエ出身だ。
コベントリー氏の登場で、多様性を重視していく「新時代」を演出しようとの狙いだが、要はIOCは大胆な改革は望まないということがはっきりした。それは、現バッハ体制の継承こそが狙いだからだ。現実にバッハ氏が委員らにコベントリー氏を推したとささやかれている。コベントリー氏の、バッハ氏の意向とは決別した形での手腕に期待するが、コベントリー氏の訴えに現状変更への具体性は乏しい。
この会長選に渡辺守成氏(国際体操連盟会長)が日本人として初めて挑んだ。渡辺氏は、「五輪を5大陸5都市で同時開催する」といった斬新かつ大胆な改革を公約に掲げ、積極的なコミュニケーションに力を注いだが、バッハ氏の意向が働いたか、他候補と同様、大々的なアピールの機会を与えられないままの選挙となった。渡辺氏は、10票は獲得できるのではないかーーとみていたが、支持は広がらず、結果はわずか「4票」にとどまり落選した。
過去最多の7人がこの会長選に臨み、票が割れ、複数回の投票は必至ととみられていたが、結果は1回の投票であっけなく決着した。

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