「稼げる農業」への転換が不可欠 コメ減反政策の見直しを

今回の「令和の米騒動」で、改めて食料安全保障体制強化について考えさせられた。日本はいつから、スーパー店頭からコメがなくなるほどの供給体制に陥ったのか。政府がコメの減反政策を取っていることは承知していたが、政府の備蓄米がこれほど底の浅いものだったとは…。地球温暖化や災害の激甚化など食料安全保障を脅かすリスクは増えている。いつ不測の事態が起きても対応できる万全な体制づくりが求められる。
食料自給率の向上へ実効性のある対策の断行はじめ、農業の就業人口の高齢化や深刻な担い手不足、コメのコスト競争力の強化、コメの減反政策の見直しなど課題は多いが、「稼げる農業」へと転換していくことが欠かせない。
農林水産省はこのほど、今後5年間の農政の指針となる「食料・農業・農村基本計画」をまとめた。この要点は①食品産業の海外収益を2030年に3兆円へとほぼ倍増させ、農林水産物・食品の輸出額も1.5兆円から5兆円へと増やす②カロリーベースの食料自給率は2030年度までに45%とし、これまでの数値目標を堅持する③生産基盤を強化し、戦略の核となるコメは2030年の輸出額を2024年の7倍近い約900億円、輸出量も約8倍の35万トンへ増やすことを目指すーーという。
農水省は全国30カ所のモデル産地で、収量が多い品種への切り替えや先端技術を活用するスマート農業の普及を進めるという。ここで抜本的に見直しが検討されるべきは、実質的に続いているコメの減反政策だ。

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