フリーランス事業者(個人)の弱い立場を守るため2024年11月、フリーランス適正化法が定められた。適正化法は、業務を発注する事業者がフリーランスに対し、書面やメールで仕事の内容や報酬額を明示し、60日以内に報酬を支払うことなどを義務付けている。
一方、現状、立場の弱いフリーランスは、口約束での発注も多く、納品後、足元をみて報酬額を減らされたり、休日返上での納期を求められたりすることがある。
法施行後、公正取引委員会がアニメ制作など4業種77社に集中調査を行ったところ、6割弱の45社で違反行為が見つかった。今回の行政指導は、フリーランスとの取引を巡る悪弊が、いぜんとして法施行後もほとんど改まっていないことを明らかにした形だ。
現状では法の精神は、まだ”画に画いた餅”だ。長く続いてきた悪弊がそんなに簡単に改まるとは思えない。だからこそ、公取委は一段と監視を強める必要がある。
総務省の調査によると、本業がフリーランスという人の総数は209万人に上る。代表的な職種はITエンジニア、アニメーター、ライター、通訳などだが、他のアルバイトとの兼業のデザイナーなども少なくない。
多様な働き方が広がる中で、フリーランスの個々の努力が普通に評価される社会、時代はまだまだ先のようだ。