生産年齢人口(働き手)が減少していく中、働く高齢者が増えている。総務省によると、65歳以上の就業者は2024年時点で930万人に達し、過去最多を更新した。就業率は25.7%で、高齢者の4人に1人が働いている。就業者全体の7人に1人が高齢者となっている。
背景にあるのは、国内で深刻化する人手不足と、老後の年金に頼るだけの家計、生活への不安からだ。2021年施行の改正高年齢者雇用安定法は、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とした。これに伴い、60歳が義務となっている定年を引き上げたり、定年後の再雇用の上限年齢を見直したりする動きが出ている。
理由はどうあれ、高齢者も生きがい・やりがいをもって働くことは、健康維持や介護予防の観点から、本人にとってはもちろん、社会にとっても意義のあることだ。だが、それでも少子高齢化が加速する中、人手不足社会の課題を、目先の女性の高職責への積極登用、高齢者の労働戦力化だけでは、中長期的課題の解決・解消には極めて不十分と言わざるを得ない。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の予測では、高齢者らの労働参加が順調に進んだとしても、日本の就業者数は2030年に2024年比1%増の6,858万人でピークに達し、その後は減少に転じる。
働き手が減り続ける日本の未来はどうなるのか?想定される人工知能(AI)やロボットの活用、そして外国人特定技能労働者の積極的な導入により、生産性を高めていけば日本経済は維持できるのか。細密な中長期のビジョンとプログラムへの対応策の落とし込みが求められる。