日本産水産物販路の「脱中国」一定の成果 継続こそ課題

東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に伴う、中国による日本産水産物の全面輸入停止をうけて、官民挙げて取り組んできた供給網開拓が奏功。新たな販路が東南アジアに拡大し「脱中国依存」が進み、一定の成果を挙げつつある実態が明らかになった。
日本水産物の2024年の輸出額は3,609億円で処理水放出前の2022年と比べ6.8%減となった。最大の輸出先だった中国が輸入停止で打撃を受けたにもかかわらず、減少幅が限定的だったのは官民挙げて、安定的な輸出を継続できる供給網の構築に取り組んだ成果だ。
ホタテガイを例にみると、2022年の輸出額は911億円で、このうち5割強を占めていた中国向けは2024年にゼロに落ち込んだ。だが、ホタテガイ全体の輸出額は695億円と23.7%減にとどまった。これは、日本産ホタテガイは輸出先の中国で殻むき加工し、最終消費地の米国に再輸出するケースが多かったのを、殻むき加工の代替ルートをベトナムやタイなど東南アジアで開拓できたためだ。
輸出先として安定を求めるなら、脱中国は絶対正解だ。いつ、常に不合理な理由で停止になるリスクを孕むのが中国という国なのだ。例え輸入が再開される事態になっても、元へは絶対に戻さないことだ。今回の教訓を生かしさらに脱中国品目を増やすことだ。
やっと影響を軽微に抑えられ、成果を挙げたところだが、トランプ米政権の関税措置で輸出環境は再び不透明さを増している。しかし、引き続き供給網安定の取り組みを地道に続けることだ。

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