日産自動車が2025年3月期で最終利益6,708億円という過去3番目の赤字額計上に陥った業績を踏まえて、大規模なリストラ策を公表した。骨子は国内外の工場閉鎖と人員削減だ。
2027年度までに世界に17ある完成車工場のうち7工場を閉鎖する。神奈川、栃木、福岡の3県に計5つある国内工場も対象になる。また、世界各国の拠点で働く従業員の15%に相当する2万人規模の人員削減も行う。
しかし、深刻な業績悪化が伝えれ、経営再建に向けた施策の必要性が指摘されながら、今回のリストラ策公表まですべての経営判断が遅い、いや遅すぎるのだ。単独では今後生き残りが難しいと判断した日産は、2024年12月にホンダとの経営統合方針を公表し、100年に1度と言われる変革期に臨む戦略だった。
だが、わずか1カ月半で破談となった。日産の施策に全くスピード感がないことにしびれを切らし、早急な対応を求めたホンダの意識と対照的だった。すべて日産の経営陣の危機意識の欠如といえる。このときこの”末期的”大赤字会社に、いまや何の助けにもならない、邪魔なだけの過去の名門、大会社意識が邪魔をし、大鉈を振るえなかった。いや経営陣に”泥を被れる”救世主的人材がいなかったため、”迷走”を続けることになった。この間の無策ぶりは目を覆うばかりだ。経営陣はじめ従業員にも徹底した意識改革が求められる。
今回公表されたリストラ策が断行され、生産・販売体制がスリム化されても、そこはようやくスタートラインにすぎない。本来のメーカーとして、消費者を引き付ける「売れる車」の開発、商品開発力の強化を進めていくしかない。中長期的には電動車の開発が求められる。ただ、これには巨額の研究開発費が必要だ。そこでは本気の新たな提携戦略が俎上に上ってこよう。