介護離職防止へ 休業制度の利用促進, 周知化が大事

厚生労働省は、親の介護を理由に仕事を辞めざるを得ない介護離職を防ぐため、改正育児・介護休業法に基づき、介護休業や介護休暇など仕事との両立支援制度を社員に周知するよう企業に義務付けた。だが、一向に同制度の活用が進まない。これには制度そのものが知られていないことがあるが、その最大の要因は職場の風土にある。超高齢社会の日本が抱える問題・課題の根深さがここにある。
これは、日本の経済成長とも密接に関わる論点でもある。介護離職は、企業にとって人材に流出となる。年間10万人を超える介護離職者の現状を放置し、増え続ければ企業にとって、そして日本の生産人口・経済全体のマンパワーの停滞につながる事態となる。介護休業制度の活用促進こそが日本社会を前進させると信じて対応することが求められる。
総務省の5年毎の調査で、2022年9月までの1年間に介護離職した人は10万6,000人と、高齢社会の進行に伴う要介護者の増加により、前回2017年の調査より7,000人増えた。一方、介護休業の取得者は親を介護する会社員らのうちわずか1.6%、介護休暇も4.5%にとどまっている。
介護離職者に理由を尋ねると。「取得しづらい雰囲気があった」が最多だった。親の介護については、個人の悩み事と受け止めたり、昇進への影響を心配したりして、「職場に言いにくい」と考える人が圧倒的に多い。このため、「職場に迷惑がかかるのがつらい」と答えている。「当然の権利」意識が浸透するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

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