介護採算難 24年M&A3割増え過去最多 需要はあっても…

介護業界の再編が進んでいる。2024年のM&A(合併・買収)は前年と比べ3割増え、過去最多となった。介護業務にあたるホームヘルパーを筆頭に、業務内容に比して待遇の低さも加わって、慢性的な担い手・人手不足の業界、それが介護業界だ。
近年、生保業界や損保業界大手の介護関連の買収が話題になったが、政府の介護政策は立ち遅れ、地域に求められる抜本的対応策は打たれないままだ。このため、在宅要介護者の介護を担う訪問介護ヘルパーの絶対的不足で、最悪、地域には”介護難民”があふれ、孤独死・孤立死が増え続ける事態も想定される。
世界に類を見ない超高齢社会を迎えている日本。要介護者は、確実に今後15〜20年は増え続ける。それだけに介護関連産業は隆盛なはずなのだ。だが、需要はあっても対応しきれない状況が続く。そうした経営環境の悪化から倒産や休・廃業も増加。今後も収益改善が見込めないと判断、2024年は東京電力ホールディングスや積水化学工業などが介護関連事業を売却した。
介護を主幹事業とする企業は、M&Aを進めて統合により、効率を高め採算を確保しようとの狙いだが、維持・管理に向けて所要人員を安定・定着させようとすれば待遇改善が求められる。元々、低待遇の業界だけに、大幅な給与ベースの積み増しが必要となる。本体事業への利益貢献は決してラクではないということだ。

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