万博会場のシンボル・大屋根リングについて、万博協会は6月23日、使用木材を再利用したいという需要は現時点で全体のおよそ8%にとどまっていることを明らかにした。使用されている木材、およそ2万7,000㎥のうち、確実に需要として見込まれるのが全体の8%にあたる2,200㎥にとどまる。
前回、大阪府吹田市で行われた1970年大阪万博の遺構として、今も残る岡本太郎氏製作の「太陽の塔」。これも当初は閉幕後、解体処分される予定だった。だが、1970年万博を代表するモニュメントとして残され、時代は移り、評価が大きく変わった。国の重要文化財に指定されている。
そこで、今回は大屋根リングだ。テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿った、今回の万博を想起させるリングの活用法はないのか。もっと、もっと、専門家を交えて、考えてもらいたいものだ。このままでは、「日本は限りある資源を何とムダにする国なのか」と揶揄、指弾されても返す言葉がない。
大屋根リングは、世界最大の木造建築物として国内外で高い評価を受けたが、同日の会議では全部を保存するには巨額の費用がかかるため見送られた。その結果、2025年大阪・関西万博の遺構として残すのは一部とすることになった。これにより、会場に残す部分を考慮しても、大屋根リングの80%前後は閉幕後、木材チップとなる見通しで、バイオマス発電の燃料などに使われる可能性が高いという。
大屋根リングを巡っては大阪府・市、万博協会、経済界が、リングの北東部分のおよそ200mを人が登れる形で会場に残す案、これが実現しない場合、南側のおよそ350mを展望台として会場に残す案が示されており、8月末までに協議する予定だ。