”表紙を変える”手法はもう通用しない 自民党の再生は?

参院選で歴史的惨敗を記録した自民党。これで、昨年の衆院選、東京都議選、と合わせ3選挙連続で負けたことで、石破政権の退陣論が取り沙汰され始めている。
すでに自民党の最高顧問の麻生太郎氏が「もう続投は認めない」と周囲にもらしているほか、党内にも「今の石破体制ではやっていけない」の声が上がっていると伝えられる。また、地方の一部に「自民党はその役割を終えた」の声も。そして、一部に小泉進次郎氏や高市早苗氏らの後継候補者の声も口の端に上っているという。
しかし、今回の歴史的大敗はこれまでの選挙戦での敗北とは、少し意味合いが違うのではないかと思わせる。先進国の中でも自民党1党にこれだけ長い期間、政権を担わせる道を選択した日本人は世界でも珍しく、異例だ。半面、それは日本人の政治意識の低さでもある。
それをいいことに、自民党はその時の政権が失政や選挙で十分な支持を得られないときは、党総裁を変え、閣僚を入れ替え対応してきた。党総裁を変える=表紙を変えることで繋いできた自民党史=日本の政治史でもある。
ここで何より不幸なことは、この間、同党は本格的な政治課題や党改革に取り組むことなく、場当たり的に処理するケースがほとんどで、やり過ごしてきたことだ。そのことは同時に有権者の責任でもある。
今回の選挙では、溜まりに溜まった、こうした諸問題・諸課題が一気に噴出したということだろう。これまでの自民党政治に「NO」を突きつけたのだ。その意味では有権者は、麻生氏や党内の有力古参議員が声を上げて、その流れで人事が動き出すそのような、党のあり方そのものを嫌悪していることを強く認識すべきだ。
党を真に有権者に近い、あるいは有権者の意思を政策に反映できる組織体制とはなにかを考えるなら、自民党の今のすべてを変える覚悟が必要だ。表紙を変えるだけではもう通用しない。真の党の再生はそれなしにはあり得ないと知るべきだ。

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