自民党が政権維持に向け、首班指名選挙直前に日本維新の会との合意書で掲げた、衆議院議員の定数削減についての議論が11月4日、衆院で始まった。これは自民と維新の両党が連立政権の合意書を交わす直前、”唐突に”維新の強い要求を受けて合意書に盛り込まれたものだ。
しかし、この定数削減は限られた日数の限られて党だけで決めるべきものではなく、簡単ではない。そもそもなぜ衆院議員の定数を減らす必要があるのか。しかも、維新が求める比例選で削減幅1割の根拠が不明確なのだ。維新の主張はあまりにも説得力に欠けるものと言わざるをえない。
立憲民主党の野田代表は「削減の方向性には賛成だが、小選挙区と比例のバランスを考慮すべきではないか」と指摘する。全くそのとおりだ。
維新は「身を切る改革」を掲げ、かつて拠点の大阪で府議会の定数を大幅に削減した。2年前には大阪市議会の定数も減らした。これによって住民の支持を拡大した。この成功体験を国政にも持ち込みたいのだ。
では衆院の議員定数はそんなに多いのか?現在の定数465は、人口が7,000万人余だった第2次世界対戦直後の466と同水準だ。欧州の主要国と比べても、日本の国会議員数は人口比で比べれば少ない。
1票の格差是正のため、小選挙区の区割りが何度も見直され、地方選出の議員は減る一方となっている。それを安易に減らせば、有権者の声が国政に届きにくくなる。かと言って、小選挙区で敗れた候補が比例選で復活当選する仕組みに、違和感を覚える人も多いはずだ。今こそ、与野党の各党各派が協力して選挙のあり方を議論すべき時だ。