党勢拡大が全て 民意無視の解散に大義はない

日本の政界は、自民党の相次ぐ選挙戦敗北による大幅な議席減で、昨年来の複数政党の横並びによる多党化、様々な連立政権への模索、そして過半数割れの政権の下で、政策ごとの与野党の丁寧な?協議で政治が前に進み出した。これがふと、連立政権の良さなのかもと思ったら、政権の軸・自民党が突如、「物価高対策が何より優先」といいながら、これをひっくり返すような奇襲に出た。
今回の衆院解散の”大義”はない。高市首相は高い内閣支持率を維持している間に解散、選挙で単一過半数を獲得したいとの思惑が露わになった。そこには数で”遮二無二”押し切る、かつての”悪夢”の自民党政治への回帰志向が強くのぞく。
だが、果たして高市氏の思惑通り、事が進むのか?異常なほど高市内閣支持率は高いが、自民党への支持率とは大きく乖離している。他党を大きく離しているが、決して高市人気に比例して高まっているわけではない。高市個人人気を加味して微増に終わることも考えられ、悪くすれば、ほとんど勢力図は変わらない可能性すらあるのではないか?
その根拠は①公明党との連立解消で、これに代わる支援がない②自民党の改革は全く進んでおらず、基本的に党内体質は何も変わっていない③未決着の政治とカネーーなどの現状からだ。
まず、前回の選挙で公明党の手堅い固定票で当選を果たした、当落選上にあった議員の敗北予想だ。現在の連立相手の日本維新の会は、そんな選挙協力は一切しない党だ。また、石破前首相に詰め腹を切らせた折、自民党内では口々に”解党的出直し”が必要といっていたにも拘わらず、その後は相変わらず表紙(総裁)を変えるだけで、抜本的な党内改革の動きは全くなく、実際は何も変わっていない。
有権者は”移り気”とはいえ、それができなければ容易に参政党や国民民主党など他党へ移った有権者は戻ってこないはずだ。この点のカバーは、高市氏の異常ともいえる人気に頼るのみだ。今回も参政党や国民民主党は多数の候補者を擁立する構えで、さらに議席を大きく伸ばしそうな情勢だ。
最後に、政治とカネの問題は何も決着がついていない。思い起こしてほしい。高市氏自身、総裁選に打って出た際、推薦人の多くが、数多くの裏金議員を出した派閥、旧安倍派議員だったことを忘れてはいけない。他候補より突出して裏金議員に担がれた要素は大きかったのだ。
有権者の中では自民党から、何も納得できるだけの説明を受けていないとの認識のはずだが、高市氏は”禊(みそぎ)”は終わったとばかりに、すでに萩生田議員を幹事長代行に起用している。これは萩生田氏だけにとどまらない。高市氏にはもう処理済みの案件になっているのだ。
そして今後、高市氏が、自民党の旧派閥の重鎮クラスの議員の意向なども汲み、有権者が望むような踏み込んだ企業献金の”規制”や”縛り”の意見に与(くみ)することは、自身の高額献金問題などもあり、まず考えにくいのだ。
となると、これらのことを有権者が忘れていなければ、何もかも目をつぶって自民党候補者への投票行動につながらならないはずだ。その結果、”喜びも半ば”の結果に終わるはずだ。今こそ党勢回復の最大のチャンスと期待を最大限に膨らませても、それほど簡単ではない。単独過半数など夢のまた夢となることも考えておかねばならない。

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