北極圏のデンマーク自治領グリーンランドを巡る情勢がにわかに緊迫化してきた。トランプ米政権が領有に意欲を示し、国際規範を無視し、圧倒的な軍事力を背景に圧力をかける一方で、「購入」を通じた取得も選択肢に挙げている。
しかし、こんな強引な振る舞いは19世紀に、列強が資源や権益を求めて植民地獲得を競った帝国主義を想起させるもので、21世紀の現在、時代錯誤の野心にすぎない。全くあきれるばかりだ。
こうしたトランプ政権の姿勢に、デンマーク側は「グリーンランドは売り物ではない!」と強く反発。デンマーク外相やグリーンランド自治政府外相らはホワイトハウスでバンス副大統領らと会談したが、隔たりは埋まらなかった。また、トランプ政権は米国の領有に強く反対する欧州8カ国に2月1日から10%の追加差関税を課す措置を発表している。
米国が、埋蔵するレアアース(希土類)を念頭に経済や、ロシアや中国を意識した安全保障面でグリーンランドへの影響力を強めたいのなら、あくまでも辛抱強く平和的な交渉を通じて、現地の人々の理解を得る必要がある。いや、それしか方法がないと認識すべきだ。