月別アーカイブ: 2016年10月

南シナ海 平和的解決で一致 日比首脳 213億円のODA

南シナ海 平和的解決で一致 日比首脳 213億円のODA

安倍晋三首相は10月26日、フィリピンのドゥテルテ大統領と官邸で会談し、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題に関し、「法の支配」の重要性や、国際法に基づき紛争を平和的に解決することで一致した。アジア太平洋の平和と安定の観点から米国との同盟の重要性も確認した。
首相は大型巡視船2隻の供与や農業開発支援を対象に、政府開発援助(ODA)として計213億円の円借款も伝えた。

特許庁 アジアに知財”日本標準”タイから人材教育受託

特許庁 アジアに知財”日本標準”タイから人材教育受託

特許庁がタイの知的財産当局から人材教育を請け負うことが分かった。10月24日から現地で指導を始める。タイ当局が10月に採用した約20人に対し、日本から派遣したベテラン審査官が約2週間講義する。
出願された発明案件が本当に新しいものかどうかなどについて、先行事例を調査・判断する技術を伝授する。また、新人を育成する先輩職員への研修も手掛け、国際的に通用する審査技術の指導者を育成する方針だ。
タイでは特許審査官が約30人と日本の60分の1程度しかおらず、1件の審査に十数年かかるケースもあるという。タイだけでなく、知財保護の体制が不十分なアジア各国では特許の審査に時間がかかるうえ、審査の質も低いことが多く、対応に苦慮する日本企業の現地活動を円滑にするのが狙いだ。特許審査でアジアのデファクトスタンダード(事実上の国際標準)を目指す。

真田信繁自筆の書状見つかる 九度山幽閉時の心境綴る

真田信繁自筆の書状見つかる 九度山幽閉時の心境綴る

徳川家康の天下取り総仕上げの戦いとなった、江戸時代初期の大坂の陣(1614~15年)で壮烈な死を遂げたとされる戦国武将、真田信繁(幸村)の自筆書状の原本が発見されたことが分かった。
書状は関ケ原の戦いの後、信繁が父・昌幸とともに幽閉された和歌山・九度山から兄・信之に仕える義兄の小山田茂誠(しげまさ)に宛てた長文のもの。内容は長い九度山での配流生活で便りをくれる人が減り、自らが老いたことを嘆くなどの心境を綴っている。
NHK大河ドラマ『真田丸』の時代考証を担当している丸島和洋氏(国文学研究資料館特定研究員・慶應義塾大学非常勤講師)の著書『真田信繁の書状を読む』に掲載された写しを見た三重県の個人収集家が、古書店で発見、購入したものを鑑定した結果、自筆原本であることが確認されたもの。
これまで「写し」(原本でなく、筆写したもの)が知られていたが、原本は長らく所在不明になっていた。

秋の都大路で華麗な歴史絵巻 京都・時代祭

秋の都大路で華麗な歴史絵巻 京都・時代祭

平安時代から明治維新までの歴史上の人物に扮し、装束をまとった行列が秋の都大路を練り歩いて華麗な歴史絵巻を繰り広げる「時代祭」が10月22日、京都市内で行われた。沿道を埋めた6万2,000人の旅行・観光客らはひととき、華麗な歴史の一幕を見るように、変遷する時代・世界に魅入っていた。
午前9時ごろ、桓武天皇と孝明天皇を祀った鳳輦(ほうれん)2基を中心にした神幸列が平安神宮から京都御苑へ向け出発した。正午過ぎ、笛の音ともに先頭の「維新勤王隊列」が御苑を出発。江戸、安土桃山と時代を遡りながら登場した約2,000人、全長約2㌔の行列は神宮へ向かった。

北斎の肉筆画と判明”作者不明”の西洋水彩画風作品6点

北斎の肉筆画と判明”作者不明”の西洋水彩画風作品6点

オランダのライデン国立民族学博物館の調査によると、同博物館所蔵で長く作者不明とされてきた絵6点が、江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849年)の肉筆画であることが分かった。
西欧の水彩画の技法を真似た、北斎としては異色の作品。親交があった、ドイツ人医師シーボルトらから影響を受けた作品群とみられる。6点は江戸の街並みを描いた風景画。タイトルはないが、「日本橋」「両国橋」「品川」などを題材に川や人々、橋を描いている。
空を大胆により入れた構図などに西洋画の特色が表れている。長崎の商館で働いていたシーボルトは1826年、江戸に上った際、北斎らと面会したことが分かっている。

赤レンガ造りが印象的な明治の「旧奈良監獄」国の重文に

赤レンガ造りが印象的な明治の「旧奈良監獄」国の重文に

明治41年に建てられた全国の「五大監獄」一つで、赤レンガ造りの建物が残る奈良市の「旧奈良監獄」、現在の奈良少年刑務所が歴史的な価値が高いとして、国の需要文化財に指定されることになった。
刑務所としては、全国で現存する最も古い建物で、敷地を取り囲む塀や建物は、ロマネスクを基調とした重厚な赤レンガの壁で統一されている。また、受刑者が生活する5つの収容棟は看守所や事務所を中心に放射状に配置され、人の出入りを確認しやすい機能性と建物としての美しさを両立させている。当時の監獄の特徴が残る貴重な建物として評価された。
奈良少年刑務所は施設の老朽化などのため、今年度で閉鎖が決まっていて、10月20日時点でおよそ260人いる受刑者は、すべて他の刑務所に移る予定。今後、施設の運営権を民間の事業者に売却し、ホテルや博物館などへの再利用を目指している。

トリドールHD ミャンマーに学校を寄付

トリドールHD ミャンマーに学校を寄付

トリドールホールディングス(神戸市)はこのほど、主力業態・丸亀製麺の利益の一部約1,300万円をミャンマーの寺院に、学校建設費用として寄付し、10月16日に完成した学校校舎を引き渡しした。
同社は丸亀製麺の主力商品、釜揚げうどんを1杯販売するたびに1円を寄付金とし、世界食料デーにまとめて寄付する取り組みを2013年から始め、現在も継続している。今年はミャンマーの学校を建設する費用として提供した。
同学校の建設過程では、同社従業員有志が現地に赴き、その手伝いをするとともに、完成した学校に就学予定の現地児童と交流を図る取り組みも行った。

滋賀・稲部遺跡から大規模な鉄器工房群の遺構 巨大勢力

滋賀・稲部遺跡から大規模な鉄器工房群の遺構 巨大勢力

滋賀県彦根市教育委員会は10月17日、市内の稲部遺跡(稲部、彦富両町、推定総面積約20万平方㍍)で、弥生時代末~古墳時代初め(3世紀前半)の鉄器工房群や大規模な建物の遺構が見つかったと発表した。
同時代では他にない規模で、同市教委では「祭祀(さいし)・政治都市と工業都市の両面を持ち、巨大勢力の存在を示す」ほか、邪馬台国の時代からヤマト政権の成立期にかけて、この地域の拠点的な集落だったと推定している。大阪大学の福永伸哉教授も「稲部遺跡は東西日本の結節点にあり、近江勢力の大きさを物語るとともに、日本の国の成り立ちを考えるうえで貴重」としている。
当時、鐵製品の原料は大陸からの調達に頼っており、同時代の邪馬台国について記した中国の史書「魏志倭人伝」で、大陸と交易があったとされる「三十国」のうちの一つともみられるという。
鉄器工房は30棟以上ある竪穴建物群で、各棟は一辺3.5~5.3㍍の方形。うち23棟の床面から鉄片や鉄塊が見つかった。同時に鍛冶や鉄を加工する際に使ったと思われる台石、鉄製矢じり2個なども見つかった。

JICA カンボジア教員養成大学の設立支援で覚書

JICA カンボジア教員養成大学の設立支援で覚書

国際協力機構(JICA)はこのほど、カンボジア教育青年スポーツ省と教員養成大学の設立に向けた覚書を交わした。両者は「教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト」の実施に係る合意文書に署名した。
現在、教員養成校で実施されている2年制の小・中学校教員養成コースを、新たに教員養成大学を設立して、4年制への学士課程に移行させる。首都プノンペンと北西部バッタンバン州で実施する。4年制の学士課程に移行するのは初めて。

JICA パラオ政府と無償資金贈与 シャコガイ養殖振興

JICA パラオ政府と無償資金贈与 シャコガイ養殖振興

国際協力機構(JICA)はこのほど、パラオ政府との間で「パラオ海洋養殖普及センター施設改善計画」を対象として、6億6,900万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結した。
同事業は、パラオ海洋養殖普及センターの施設および機材を整備することにより、同センターの種苗生産能力および環境保護啓発等の機能強化を図り、同国のシャコガイ養殖振興の促進に寄与するもの。
パラオでは水産物は主要輸出品目となっており、水産業は観光業とともに重要な産業として位置づけられている。シャコガイは主要な水産物の一つで観光客に人気の食材だが、観光客の増加とともに乱獲が進み、枯渇の危機に瀕している。