ウクライナでの停戦を実現するため、米国のトランプ大統領は3月18日の電話会談で、ロシアのプーチン大統領に30日間の全面停戦を提示したが、プーチン氏はウクライナのエネルギー施設への攻撃を30日間停止することに同意したものの、30日間の全面的な即時停戦の受け入れは拒否した。
この協議に先立ち、米国はウクライナのゼレンスキー大統領から30日間の全面停戦への同意を取り付けていたが、ロシアを説得することはできなかった。プーチン氏は停戦を急いでいないのだ。トランプ氏との交渉を長引かせ、米国やウクライナからより多くの譲歩を」引き出すのが狙いとみられる。
反面、トランプ氏は大統領就任前からウクライナ停戦の実現を公言していた手前、プーチン氏の心理面を十分読みきれず、早めの結果欲しさに”前のめり”になり、プーチン氏も「早期の全面停戦を望んでいるはず」と見誤り、交渉に臨み、緻密な戦略を立てられないまま、交渉を進めている感があるのだ。その結果、これまでのところ、ロシアが交渉の主導権を握る現実が鮮明になっている。その意味で、早期の結果欲しさの前のめりのトランプ外交は危うさが”浮き彫り”になっている。
政権内部にトランプ氏が相談できる識者がいないと思われるだけに、トランプ氏にはいまは欧州との関係を修復し、多くの国々と協力してロシアに圧力を加えていく度量の大きさを見せてほしいものだ。それがロシアに主導権を握られないための、最大の有効な方策だと思われるのだが…。