総務省が4月14日発表した2024年10月1日時点の日本の人口推計によると、出生数が死亡数を下回る「自然減」が過去最大で、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が29.3%と過去最高となった。岸田前政権が掲げた「次元の異なる少子化対策」がほとんど効果を上げていないことが明らかになった。石破政権も継続・強化する方針のようだが、政府の想定を上回るペースで進む人口減少に有効な手立ては打てていない。
国立社会保障・人口問題研究所が2023年公表した将来推計(中位推計)では、2024年は72万8,000人の自然減を見込んでいた。自然減が89万人に上るのは2035年と試算しており、これより10年早く人口減少が進んでいることになる。
政府は児童手当の拡充や保育の受け入れ環境整備などを行っているが、出生数の下落に全く歯止めがかからず、いぜんとして下落傾向が続いている。つまり、政府の掲げる”次元の異なる少子化対策”も、経済状況などで結婚や出産を諦める人々の判断を変える施策になっていないのだ。
「希望する誰もが子どもを持つ社会の実現」に向け、幾人であろうと生まれた子どもすべてへの手当、保育・給食手当、授業料無償化など、これらの部分手当ではなく、一人の子どもの誕生から高校あるいは大学まで、学校を卒業し社会人になるまで、”切れ目のない”子育て世帯への支援と、若年層に結婚、出産の機会を与える継続的な施策の両面が重要だ。これらがともに伴わなければいつまでも結果、効果が付いてこないのではないか。