トランプ氏の暴言, その都度 事実誤認を正し協力深化を

健全な日米安保体制の堅持と協力強化に向け、敢えて日本政府に言いたい。トランプ米大統領は両国政府の首脳が構築してきた日米関係の到達点、現実を十分把握しないまま、あるいは曲解しているのかといった発言が目立つ。
例えば、トランプ氏は「我々は数千億ドルを支払って日本を守るが、彼ら(日本)は何も払わない」などという。この主張は明らかに間違っている。日米同盟の根幹である日米安保条約は、米国の対日防衛義務を定める一方、日本は米国に基地を提供している。また日米地位協定では、在日米軍基地の地代などを除いた駐留経費、米国側が賄うと定めている。だが、1970年代に米国側が日本に一層の負担増を求めてきたことから、その後、別の協定を結んで日本側の支出を増やした経緯がある。その結果、2022年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担は1兆円超に上っている。こうして両国は納得して合意し、その義務のバランスは取れているはずなのだ。
ところが、トランプ氏は折に触れて事実誤認や、明らかに認識不足の発言を口にする。本来、同盟関係にある国同士なら、首脳のこんな発言は許されないはずだ。やはりトランプ氏は別なのだとすれば、そうした発言があるごとに、きちんと「大統領の発言は間違っていますよ」と繰り返し説明。場合によってはきちんとレクチャーすることが必要なのではないか。そのうえで、本来あるべき日米の防衛協力を深めていくことが急務だ。
これは何もけんか腰でいうのではなく、お互いに安定的かつ発展的に”ウイン・ウイン”の関係を構築するために、本音で言うべきことは言い、不承知のときは”NO”と言える関係でなくてはならない。繰り返すが、とくにトランプ氏の場合、不可思議な発言が重なったら、「一つ一つ指摘すれば角が立つ」などとためらわず、訂正を求めるべきだ。

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