自民党の総裁立候補者5人による動向は連日マスコミで報道されているが、少数与党の今、野党との連立の可能性を考慮、各候補が突出した政策は控え気味にしているため、その主張に大きな差はなく、こんな選挙戦続ける意味があるのかと言いたくなる。そして、何よりも優先して論議されなければならないはずの論点が、決定的に欠けている。
同党が”石破おろし”に伴い、前倒しのフルスペックでの総裁選に向けて、有権者に対し掲げていた”解党的出直し”の論議が全くなされていないのだ。これはどうしたことか。掛け声だけだったのか。候補者5人から全く言及がなかったら、マスコミがなぜ議題にすることを求めないのか?それが、マスコミの使命・責任ではないのか、健全なジャーナリズムのあり方ではないのか。
個々の日々の暮らしに直結する物価高対策はじめ、経済、外交ももちろん大事なことだ。だが、先の参院選で数百万票もの支持を失った同党が、解党的出直しを掲げた以上、まず「我が党はこう変わります」と自ら積極的に有権者に訴えることが当たり前のことだろう。でなければ、支持が回復することなど全く望めないはずだ。
ところが、解党的出直しに関する各候補の考え方、主張は一切出ず、言葉の端にも出てこない。相変わらず、その本質は”表紙”替えの総裁選なのかと勘ぐりたくなる。これでは党の再生など望むべくもない。