国際司法裁判所(ICJ、本部:オランダ・ハーグ)は7月23日、国際法のもとで各国が温室効果ガスの排出削減など気候変動対策を取る義務を負うとする勧告的な意見を出した。これは米国のトランプ政権が気候変動対策に消極的な姿勢を示しているためで、各国の対策の後押しにつなげたい狙いがうかがわれる。
国連のグテーレス事務総長は「すべての国が国際法のもとで、地球の気候システムを保護する義務を負っていることを明確にするものだ」と歓迎するコメントを発表した。今回のICJの勧告的な意見は、2023年に国連総会が採択した決議に基づき、初めて取りまとめたもの。
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NATO首脳 防衛費5%採択 加盟諸国に重い財政負担
オランダ・ハーグで開かれていた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は6月25日、加盟国の国内総生産(GDP)に占める防衛費の割合を5%(中核的な防衛費3.5%、関連投資費1.5%)に引き上げる新目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。
これは、NATOの姿勢に懐疑的なトランプ米大統領の防衛費の増額要求に応えたもの。従来の防衛費の目標は2%以上だった。これでも2024年時点でスペインやイタリアなど9カ国が下回っており、5%の達成は容易ではないことがうかがわれる。
今回極めて難しい数値を目標に掲げたのは、ウクライナ支援などでトランプ米大統領をNATOにつなぎ留める狙いがあるためだ。そのため、新目標の達成期限は2035年までと”ゆとり”もたせている。
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ADB総会 米、対中融資の終了主張 中国反発 対立鮮明に
イタリア・ミラノで開かれているアジア開発銀行(ADB)の年次総会で5月5日、米国がADBの中国向け融資の終了を主張したのに対し、継続を訴える中国が強く反発し、米中の対立が鮮明になった。
米国は財務省のマーガレット・クーロウ次官補代理が「ADBの支援は開発途上国に重点を置くべきだ。所得水準が高い国は支援を卒業する必要がある」と強調。そのうえで「特に中国への具体的な措置が必要だ」と、名指しで対中融資の終了を訴えた。これに対し、中国の藍物安財務相は「根拠がなく、中国は卒業の基準を満たしていない」と反論した。
ADBの2024年12月末現在の融資残高は1,538億ドル(約22兆円)で、うち中国向けは181億ドルと1割以上を占めている。米国は日本と並ぶADBへの最大の出資国で、15.6%を出資。中国は日米に次ぐ6.4%を出資している。