「アジア-国際交流」カテゴリーアーカイブ

G20首脳宣言「反保護主義」明記せず ”機能不全”の様相

主要20カ国・地域首脳会議が11月18日、ブラジル・リオデジャネイロで開幕し、首脳宣言を採択した。米国のトランプ次期大統領の2025年1月の返り咲きを控え、首脳らからはトランプ氏が掲げる関税引き揚げなど保護主義的な製作を警戒する声が出ていたが、首脳宣言に「反対」は明記されず、意思は反映されなかった。
宣言は、世界貿易機関(WTO)を中核とする「ルールに基づく、公正で、開かれた多角的貿易体制確保」の必要性に言及するにとどめられた。ウクライナ情勢についても「人的被害や食料、エネルギー安全保障等に関する悪影響を強調する」との表明にとどまった。その結果、ウクライナを侵略するロシアに対する非難や、保護守護への反対を明記しない中身の乏しい文書となった。
欧米と中露、新興・途上国「グローバル・サウス」で構成され、”世界の縮図”ともいえるG20は、それぞれの思惑が交錯して、いずれもが納得感の得られない結論しか出せず、安全に”機能不全”に陥っている。

APEC首脳会議 自由な国際貿易体制維持へ多国間協力を

南米ペルーの首都リマで11月16日、日米や中露など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開催された。同会議には石破首相、米国のバイデン大統領、中国の習近平国家主席らが参加した。
会議では、トランプ次期米政権の発足を見据え、保護主義を警戒し、自由で開かれた貿易、投資環境の実現に向けた協調を確認する首脳宣言を採択した。自由で多角的かつ国際的な貿易体制維持の観点から、とりわけ多国間協力の重要性が明記された。安全で持続可能なサプライチェーン(供給網)の確立を目指す考えも盛り込まれた。

日中首脳が意思疎通強化で一致 石破首相, 習主席と初会談

石破首相は11月15日(日本時間16日)、南米ペルーの首都リマで中国の習近平国家主席と約35分間会談した。両国間の懸案を管理しつつ、共通利益拡大へ協力する「戦略的互恵関係」を推進し、首脳や閣僚らハイレベルでの意思疎通を強化する方針で一致した。また、日本産水産物の輸入再開に向けた9月の日中合意の着実な実施も確認したが、再開時期は示されなかった。石破首相が習主席と会談するのは就任後初めて。

日米韓 連携継続へ「調整事務局」新設 首脳会談で合意

石破首相と米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦大統領は11月15日(日本時間16日)、南米ペルーの首都リマで会談し、連携を加速させるための「調整事務局」を新設することで合意した。既存路線の修正必至のトランプ次期大統領の就任を見据え、日米韓協力の定着につなげたい考えだ。
3カ国は「我々は末永く続くように3カ国のパートナーシップを構築してきた」、そして事務局について「インド太平洋を安全な地域にするための行動を確保する」との共同声明を発表した。

COP29首脳会合 島嶼国 対策資金拠出要求 先進国欠席目立つ

アゼルバイジャンで開催中のCOP29 (国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議)は11月13日、2回目の首脳級会合が開かれ、気候変動の影響を受けやすい島嶼国の首脳らが相次いで先進各国に対策資金の拠出求めた。
一方、資金の出し手となる先進国や主要排出国の首脳は、それぞれの国内情勢や諸事情を抱え欠席が目立った。米国における、気候変動対策に消極的な政権交代を前にすると、これで国際社会が脱炭素で協調できるのか?不透明感が漂っている。
2日間の首脳級会合に参加した先進7カ国(G7)の首脳は、イタリアのメローニ首相と英国のスターマー首相の2人だけで、石破首相や米国のバイデン大統領らは出席しなかった。二酸化炭素(CO2)の排出量が世界1位の中国と3位のインド、来年のCOP30議長国のブラジルの首脳も出席を見送っている。

COP29 英首相 35年までに温室効果ガス81%削減を表明

アゼルバイジャンの首都バクーで開催中のCOP29(国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議)で11月12日、首脳級会合に出席した英国のスターマー首相は記者会見し、「2030年までに温室効果ガス排出を1990年比で少なくとも81%削減する」との新たな目標を明らかにした。主要国としては、最も踏み込んだ削減目標として注目される。
英国は再生可能エネルギー容量を増やしており、今秋には先進国として初めて石炭火力発電所を全廃した。

COP29開幕 脱炭素へ国際協調に”暗雲” 米政権交代で見通せず

国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29 )は11月11日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。国連環境計画(UNEP)によると、2023年のCO2排出量は前年比1.3%増の571億トンと過去最高を記録した。
開会式で議長に選出されたアゼルバイジャンのムフタル・ババエフ環境・天然資源相は、「気候変動により我々は滅亡への途上にある」と強い危機感を表明。各国が2025年2月までに国連に提出する2035年までの削減目標について「世界の温暖化対策を軌道に乗せる最後のチャンスだ」とし、目標の引き上げを要請した。
また主要議題に、途上国の温暖化対策支援として先進国が拠出する「気候資金の」の上積みも挙がっている。しかし、世界2位の排出国・米国で政権交代があり、復帰するトランプ次期大統領は、大統領選中パリ協定からの再離脱を主張。現在のバイデン政権が約束した資金拠出を撤回する方針を明らかにしている。これにより、世界の気候変動対策の見通しは不透明感を増している。
COP29は22日までの会期中、190を超える国や地域の代表らが温暖化対策を話し合う。

訪中ビザ免除, 再開を要望 同友会 新浪氏, 韓正副主席と会談

8年ぶりに派遣された経済同友会の訪中団、新浪剛史代表幹事らは11月4日、北京の人民大会堂で韓正(ハンジョン)国家副主席と会談した。この中で、①日本人への短期ビザ(査証)免除の早期再開②2025年大阪・関西万博への積極的な参加ーなどを働きかけた。韓氏は、「中日の経済貿易交流の架け橋の役割を発揮し続け、両国の協力深化を推進してほしい」と述べた。
中国外務省は11月1日、ビザ免除の対象国に韓国やノルウェーなど9カ国を追加したが、日本は含まれていない。

日本 フィリピンの女性の保健・保護に7.24億円を無償支援

日本政府は、フィリピン・ミンダナオ島バンサモロ地方でジェンダーに基づく、暴力から女性をはじめとする社会的弱者を保護・支援する施設、および暴力に対応する産婦人科の整備に、総額7億2,400万円を限度に無償支援する。社会的弱者を保護・支援する施設で職業訓練および女性の権利や保健医療等のアドボカシー活動にあたる指導者に対する教育を行う。

インドネシア BRICSに加盟意向 Gサウス新興国と連携強化

10月21日に始動したインドネシアのプラボウォ・スビアント新政権の閣僚に就任したスギオノ外相は24日、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどで構成するBRICSに加盟するに加盟する意向を表明した。加盟により、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との連携を強化するのが狙い。
スギオノ外相は10月22〜24日、ロシア・カザンで開催されていたBRICS首脳会議に招待国の特使として参加していた。