「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

「奄美・沖縄」の世界自然遺産への登録延期を勧告 IUCN

「奄美・沖縄」の世界自然遺産への登録延期を勧告 IUCN

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)は5月4日(日本時間)、日本政府が世界自然遺産に推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄東北部および西表島」に対し、内容の抜本的見直しを求める「登録延期」を勧告した。
候補地が細かく分断されるなど生態系の持続可能性に懸念が残ることや、米軍北部訓練場返還地の編入計画などについても指摘があり、構成要素の再選定などを求めた。国内の世界自然遺産候補地で、「登録延期」という評価を受けたのは今回が初めて。
奄美大島、徳之島、沖縄東北部および西表島は、独自の生物の進化がみられ、「イリオモテヤマネコ」や「アマミノクロウサギ」など、国際的にも希少な固有種が多く存在することから、日本政府は2017年、ユネスコに対し世界自然遺産に推薦した。

奈良・橿原考古学研究所創立80周年で特別展

奈良・橿原考古学研究所創立80周年で特別展

昭和13年に創立された奈良県立橿原考古学研究所は、今年80周年を迎え、春と秋の2回に分けて、附属博物館で特別展を開く。現在開催中の春の展示では古代の金の冠の飾り、海外から伝来のガラス製の皿、銅鏡など、国の需要文化財を含む800点余りが紹介されている。
例えば、昭和38年に橿原市の古墳「新沢千塚126号墳」で見つかった金の冠の飾りや指輪などの装飾品、中東のペルシャ地方からもたらされた葵ガラス製の皿、平成9年と同10年の調査で天理市の黒塚古墳から大量に見つかった古代の銅鏡「三角縁神獣鏡」などで、この三角縁神獣鏡は周知のとおり、邪馬台国の女王、卑弥呼の鏡という説もある。

「潜伏キリシタン関連遺産」世界文化遺産に登録へ

「潜伏キリシタン関連遺産」世界文化遺産登録へ

ユネスコの諮問機関「イコモス」は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」について、現地調査を行った結果、「世界遺産登録にふさわしい」とする勧告をまとめた。
これにより、大浦天主堂や原城跡、さらにキリスト教の禁教期に、いわゆる”隠れキリシタン”が弾圧を逃れて移り住んだ集落など長崎県と熊本県の12の構成資産は、今年バーレーンで開かれる世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に登録される見通しとなった。
日本国内の世界遺産は現在、文化遺産が17件、自然遺産が4件となっている。

幕末、高島秋帆が製造した国産初の西洋式大砲 高知で公開

幕末、高島秋帆が製造した国産初の西洋式大砲 高知で公開

海防意識が高まりをみせた幕末、西洋式砲術を国内に広めた砲術家・高島秋帆(たかしま・しゅうはん)が鋳造した国産初の西洋式大砲(国重要文化財)が、高知県立高知城歴史博物館(高知市)で県内初公開されている。5月28日まで。
独学で西洋の兵法書やオランダ人から、西洋式砲術を学んだ長崎の役人、高島は幕末、西南雄藩をはじめ開明派の諸藩や幕府などから、西洋式大砲の製造法や兵法指南を依頼される砲術家だった。現実に佐賀の鍋島氏や、韮山の幕臣、江川英龍らに大砲の製造技術や兵法を伝えている。
列強諸藩の近代兵器導入の先駆けとなった史料として、注目を集めるとみられる。

「壬生狂言」春の公演始まる 「炮烙割」に拍手

「壬生狂言」春の公演始まる 「炮烙割」に拍手

京都・壬生寺に伝わる「壬生狂言」の春の公演が4月29日始まった。今回の人気の演目は「炮烙割」。春の公演は5月5日まで行われる。
演目の内容は、「炮烙」という素焼きの皿を売る商人が、太鼓売りを騙(だま)したところ、怒った太鼓売りに売り物の素焼きをすべて割られてしまうというもの。「悪いことをすれば、必ず報いを受ける」という仏教の教えを表している。
そのため、舞台に高く積まれたおよそ1000枚の皿を太鼓売りが次々と地面に落とす最大の見せ場では、観客から”共感”の大きな拍手が起きていた。
壬生狂言は、壬生寺の僧侶が仏教の教えを分かりやすく伝えようとおよそ700年前の鎌倉時代に始まったとされ、国の重要無形文化財に指定されている。いまは地元の有志らによって、節分の時期と春・秋の年3回上演されている。

吉田松陰の厳選資料を展示 県立山口博物館

吉田松陰の厳選資料を展示 県立山口博物館

明治150年記念テーマ展「県指定有形文化財 吉田松陰関係資料」が、山口市の県立山口博物館で開かれている。県文書館の協力のもと、同館所蔵の文化財などの中から厳選した資料を12月24日まで、全8期に分けて紹介する。
5月20日までの「第1期 兵学者としての修業」では、松陰が門下生の中谷正亮に与えた「吉田松陰自賛肖像(中谷本)」など6点を出品。自賛肖像は昨年度、保存修理されてから初めての公開となる。
月曜休館、一般150円、学生100円。

旧石器人は南方系の顔つき 石垣島の人骨から復元

旧石器人は南方系の顔つき 石垣島の人骨から復元

沖縄県立埋蔵文化財センターによると、同県石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡(石垣市)で見つかった旧石器時代人骨(約2万7000年前)の生前の顔がデジタル復元され、南方系の人々の顔つきに近いことが分かった。日本人の祖先がどんな容姿で、どこからやってきたのかを解き明かす手掛かりになるとみられる。
同センターはじめ国立科学博物館、複数の専門家らでつくる研究グループは、頭骨が残る4体をX線CT撮影し、そのデジタルデータをもとに頭部を復元。このうち30代から40歳前後の男性とみられる4号人骨について、3次元プリンターで骨格をつくり、肉付け作業をした。
その結果、鼻の付け根が落ち込む彫りの深い顔立ちが現れ、中国南部や東南アジアの古人骨や、後の縄文時代人と似ていることが確認できたという。

春日若宮おん祭 10月パリ「ジャポニズム2018」で披露

春日若宮おん祭 10月パリ「ジャポニズム2018」で披露

奈良・春日大社に伝わる伝統行事「春日若宮おん祭」が10月にパリで開かれる日本文化を紹介する「ジャポニズム2018」で披露されることになった。
催しでは時代装束をまとった行列が練り歩く「おん祭」の主要な行事の一つ、「お渡り式」が再現されるほか、祭りで演じられる舞楽や能などが披露される予定。春日若宮おん祭は、春日大社に平安時代から続く五穀豊穣や国の安泰を願う祭りで、国の重要無形文化財に指定されている。
ジャポニズム2018は、エッフェル塔近くの施設などで10月17~27日まで行われ、期間中、おん祭のほか、徳島県の「阿波おどり」、兵庫県の「淡路人形浄瑠璃」など全国の行事や文化が紹介される。

「国宝 春日大社のすべて」展 国宝・重文など224件

「国宝 春日大社のすべて」展 国宝・重文など224件

奈良・春日大社ゆかりの文化財を集めた展示会「国宝 春日大社のすべて」が4月14日から奈良国立博物館で始まった。6月10日まで。
展示会は、春日大社の創建1250年を記念して、奈良国立博物館などが開いているもので、平安時代を中心に国宝57件、重要文化財47件を含む合わせて224件が期間中、一部を入れ替えながら展示される。
このうち例えば国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は、鞘(さや)の部分に螺鈿(らでん)細工が施され、ガラスを使ってすずめを追う猫の様子がいきいきと表現されており、螺鈿細工の巧みさ・きれいさに目を見張らされる。

熊野那智大社で厳かに五穀豊穣祈る「桜花祭」

熊野那智大社で厳かに五穀豊穣祈る「桜花祭」

世界遺産の熊野那智大社(和歌山県)で4月14日、桜の花を神様に供えて五穀豊穣を祈る「桜花祭(おうかさい)」が行われた。
熊野那智大社のご神体、那智の滝の前で神職たちが、花の咲いた桜の枝を供えた後、五穀豊穣を祈って祝詞が読み上げられた。続いて桜の簪(かんざし)を着けた巫女が扇や鈴を手に持ち、厳かな雰囲気の中、優雅な舞を奉納した。
この神事は、平安時代に那智山で修行した花山法皇が桜の美しさを和歌に詠んだという故事にちなみ、毎年この時期に行われているもの。