「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

京都・下鴨神社で2年ぶり「蹴鞠初め」平安装束の新春行事

京都の世界遺産、下鴨神社(所在地:京都市左京区)で1月4日、平安時代の貴族が嗜(たしな)んだ蹴鞠(けまり)を奉納する新春の恒例行事「蹴鞠初め(けまりはじめ)」が行われた。下鴨神社では例年1月4日に、1年の幸せや無病息災を願って蹴鞠初めを行ってきたが、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止されたため、今年は2年ぶりの開催となった。
境内には15四方の「まり場」が設けられ、色鮮やかな平安時代の装束をまとった保存会のメンバー8人が、輪になって蹴鞠を披露した。右足だけを使う昔ながらの作法で、鹿の皮でできた直径20cmほどの白いまりを、”アリ”や”オウ”などの独特の掛け声をかけながら、サッカーのリフティングさながら、代わる代わる蹴り上げる。まりが地面に落ちずに長く続くと、参拝に訪れ居合わせた人たちが拍手を送っていた。

京都・北野天満宮で恒例の書き初め コロナ対策で制限

学問の神様、菅原道真を祀る京都の北野天満宮(所在地:京都市上京区)で1月2日から、正月恒例の書き初め「天満書」が行われている。”書の三聖”として称えられる菅原道真にあやかって書の上達を願う行事。今年も昨年に続き、新型コロナウイルスの感染防止対策として、座席を30ほどに減らし、時間も15分以内に制限して実施された。
朝から親子連れなどが訪れ、持参した筆で「正月」「とら」「大志」「まり」など新しい年に因んだ文字を、真剣な表情で書き上げていた。北野天満宮の書き初めは4日まで行われる。

遠藤周作の未発表戯曲3作品見つかる「日本人とキリスト教」

長崎市遠藤周作文学館は12月28日、作家、遠藤周作(1923~1996年)の未発表戯曲3作品の原稿が見つかったと発表した。潜伏キリシタンを描いた小説「沈黙」などと同様、いずれも同氏がテーマとした「日本人とキリスト教」について描かれており、遠藤文学の”中核”部分を伝える作品とみられる。
今回見つかったのは「善人たち」(清書原稿124枚、草稿25枚)、「戯曲 わたしが・棄(す)てた・女」(清書原稿105枚、草稿22枚)、「切支丹(きりしたん)大名・小西行長『鉄の首枷(くびかせ)』戯曲版」(清書原稿117枚、草稿28枚)。「善人たち」以外は、同氏は小説を発表している。
同文学館では昨年、同氏の未発表の中編小説「影に対して」の原稿が見つかっており、遺族からの寄託資料を再調査したところ、3作品が未発表と分かった。未発表の理由は不明。いずれもタイトルはなかったが、出版が決まったため遺族らでつけたという。

京都・知恩院で僧侶30人で「除夜の鐘」の試しづき

京都の知恩院(所在地:京都市東山区)で12月27日、大晦日を前に僧侶およそ30人が集まり、「除夜の鐘」の試しづきが行われた。知恩院では毎年、大晦日に高さが3mある大きな釣り鐘をついて新年を迎える。知恩院の除夜の鐘は「しゅもく」と呼ばれる長さ4mの棒に、いくつもの縄を付けてひく独特の打ち方で知られていて、掛け声がかかると16人の僧侶が一斉に縄を引く。
そして、別の一人が一気に縄にぶら下がるように仰向けの姿勢になって、勢いをつけて鐘をつく。すると、厳かで重厚な鐘の音が周囲に響き渡る。知恩院では感染対策のため、除夜の鐘をつく時間帯の参拝は事前に申し込んだ人に限定していて、今回はすでに定員の400人に達しているという。

文化審議会 佐渡金山を23年審査の世界遺産の推薦候補に選定

文化審議会は12月28日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦する候補に「佐渡島の金山」(所在地:新潟県)を選んだ。2023年に登録審査を受ける候補の推薦期限である2022年2月1日までに推薦書を提出するかどうかについて、文化庁は「政府内で総合的な検討を行う」としている。佐渡金山は「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の2つの鉱山遺跡で構成する。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇り、金の採取から精錬までを手作業で行っていた時代の遺跡が残っているのは世界的に例がないとされる。

岩手・陸前高田市で啄木の歌碑の除幕式 3度目の建立

岩手県陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で12月27日、歌人、石川啄木の歌碑の除幕式が開かれた。歌碑は高さ約1.8m、幅約2.2mで、啄木初の歌集「一握の砂」に収められている「頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず」が刻まれている。ひ孫の石川真一さん(56)が揮毫(きごう)した。
啄木の歌碑は2011年の東日本大震災の津波で流失していた。1960年のチリ地震津波でも流されており、今回が3回目の建立。啄木が修学旅行で訪れた縁で1958年に高田松原に歌碑が建てられ、今回は啄木の没後100年に合わせ記念事業実行委員会が再建を企画した。

京都・東寺 今年最後の縁日「終い弘法」正月用品求め賑わう

京都市南区の世界遺産、東寺で12月21日、1年を締めくくる2021年最後の縁日、「終い弘法」が開かれ、賑わった。主催者によると、新型コロナの影響で21日に出店しのは、例年の6割ほどのおよそ800店にとどまった。だが、境内には大勢の人が訪れ、正月を前に松飾りや漬物、餅などを買い求めていた。また、来年の干支(えと)、寅の置物などを扱う店もあり、縁起物の品定めをする人も含め、境内は師走の賑わいをみせていた。

ゾウの化石「アケボノゾウ化石多賀標本」国の天然記念物に指定

平成5年、滋賀県多賀町で見つかったおよそ180万年前の日本固有種のゾウの化石「アケボノゾウ化石多賀標本」が国の天然記念物に指定されることになった。文化庁によると、陸上の哺乳類の化石が国の天然記念物に指定されるのは初めてという。
この化石は頭部や体、足の部分と全身のおよそ7割がバランスよく見つかっていて、保存状態もよく、部位が特定されていない骨も含めると191点と、国内のゾウの化石の中でも群を抜いて多い。アケボノゾウは、日本の環境に合わせて独自の進化を遂げて小型化していて、「多賀標本」は行動生態や進化の過程を研究するうえで、学術価値が極めて高いと評価された。

「赤穂義士祭」2年ぶりに規模縮小し実施 高校生が赤穂城跡で

「忠臣蔵」として知られる兵庫県赤穂市の「赤穂義士祭」が12月14日、2年ぶりに規模を縮小して行われた。2年ぶりの開催となった今年は、市民が街中を練り歩くパレードを取りやめるなど規模を縮小。今回は県立赤穂高校の生徒たちが四十七士に扮して赤穂城跡を練り歩いた。
行列は、大石内蔵助役の生徒が打ち鳴らす太鼓の音に合わせておよそ200mの道のりを30分かけて一歩一歩ゆっくりと練り歩き、大石神社の鳥居の前で「えい、えい、おー」と”勝どき”をあげた。
赤穂義士祭は300年余り前の江戸時代、徳川五代将軍綱吉のころ、播州赤穂藩の四十七士が主君、浅野内匠頭の敵を討つため、吉良邸へ討ち入りしたことに因むもの。その12月14日に毎年行われているが、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となっていた。

奈良・法隆寺で”お身拭い”新年前に仏像のほこり落とす

奈良県斑鳩町の世界遺産、法隆寺で12月8日、新年を前に仏像に積もったこの1年のほこりを払い落す”お身拭い”が行われた。作業に先立ち、古谷正覚住職ら10人の僧侶が国宝の金堂に入り、安置されている仏像を前にお経を唱えた。この後、マスク姿の僧侶たちが、仏像に傷がつかないよう、竹の先に和紙の束をつけた特別なはたきや刷毛をを使って作業を開始。本尊で国宝の釈迦三尊像などの仏像には、頭や肩にうっすらとほこりが積もっていて、僧侶たちは丁寧にほこりを払い落していた。