「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

豊臣期の大坂城の石垣公開 1615年の落城時の火災の痕跡確認

大阪城(所在地:大阪市中央区)で2月19日、豊臣秀吉時代の石垣の一般公開が始まった。石垣は1615年、大坂夏の陣で豊臣家が滅亡、大坂城が落城した後、豊臣家の栄華の痕跡の一端だけに、これを消し去りたい徳川幕府によって地中に埋められた。
大阪市教育委員会などの発掘調査で、この焼け焦げた石垣の存在が明らかになり、400余年前の落城時の火災の痕跡を確認できる。大阪市は2023年春に現地で展示施設の開館を目指している。

薬師寺・東塔竣工式 解体修理は110年ぶり 心柱・基壇を補強

2009年に始まった奈良・薬師寺の国宝・東塔(高さ約34m)の解体修理が完了し2月15日、竣工式が営まれた。東塔は約1300年前の創建当初から残る唯一の建物で、解体修理は約110年ぶり。式には僧侶や土木工事関係者ら約60人が出席し、花びらを模した紙片「散華」を撒いて完成を祝った。
今回の修理では、南海トラフ巨大地震などに備え、塔を貫く心柱(しんばしら)や塔の土台・基壇を補強した。2020年4月に落慶法要の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。

秀吉の創建時の方広寺築地塀の礎石見つかる 古文書を裏付け

京都市埋蔵文化財研究所は2月10日、豊臣秀吉が桃山時代に建立した方広寺(ほうこうじ、所在地:京都市東山区)の旧境内で、創建時の築地塀(ついじべい)の礎石を見つけたと発表した。この礎石は、京都国立博物館・明治古都館の免震工事に伴い、2020年9月に始まった調査で見つかった。
築地塀は1596年の慶長伏見地震で倒壊し、秀吉の死後に子の秀頼が回廊に造り替えた。秀頼時代の回廊跡は1990年代からの発掘で確認されていたが、文書や絵図のみで知られていた創建時の姿が今回の調査で裏付けられた。
秀吉時代には、奈良・東大寺大仏殿を上回る南北約88m、東西約54m、高さ約48mの大仏殿を築地塀が囲んでいた。大仏殿は1602年に焼失し、秀頼により1614年に再建されたが、1798年落雷で焼け落ち、現在は残っていない。

翼竜「ヒタチナカリュウ」の化石 実は国内最大級スッポンの骨

ミュージアムパーク茨城県自然博物館(所在地:茨城県坂東市)などの研究によると、2002年に茨城県ひたちなか市で見つかり、翼竜の骨とされてきた化石が、実は太古のスッポンの骨だったことが分かった。
化石は当時、翼竜の肩甲骨と鑑定され、「ヒタチナカリュウ」と命名されて、新種の可能性にも言及されるなど話題となった。白亜紀のスッポンの化石では国内最大級と推定された。

高槻市・芥川山城跡で”天下人”三好長慶の居城の”櫓”遺構

戦国武将、三好長慶(1522~1564年)の居城、芥川山城跡(所在地:大阪府高槻市)で、”櫓(やぐら)”とみられる塼列(せんれつ)建物が確認された。塼は瓦と同じ素材の板状のもので、それを建物の礎石の周囲に巡らせていた。この遺構周辺で家臣が住み、長慶が政務を執った裏付けとなる建物も多数見つかった。長慶が一時、近畿を制した政権の中枢が芥川山城だったことがうかがわれる。
三好長慶は、織田信長に先駆けて近畿エリアを制圧し、事実上”天下人”となったとされる武将。高槻市文化財課が2020年11~12月、芥川山城の主郭(本丸)の一段下にある第3郭の平地60㎡を発掘調査した。
発掘された建物は地面に焼土があり、1556年に記録のある火災後に建てられた、長慶の在城(1553~1560年)後半期の遺構と考えられる。このほか、約200点に及ぶ遺物も出土した。縁に煤(すす)がついた燈明皿、穴があくまで使い込まれたものなど3点の硯(すずり)、茶の湯に使う天目茶碗などが見つかった。

福井・大野市で国内最古級の哺乳類の化石を発見 新種の可能性も

福井県立恐竜博物館(所在地:福井県勝山市)は2月7日、同県大野市との共同調査で、同市の約1億2,700万年前の地層「手取層群伊月層」から哺乳類の一種で突起がある歯を持つ「真三錐歯類(しんさんすいしるい)」の国内最古級の化石を発見したと発表した。
同類の化石はこれまでに国内で3種類(石川県白山市で2種、福井県勝山市で1種)見つかっているものの、そのいずれとも違いがあり、新種の可能性があるという。このほか、同じ場所から爬虫類から哺乳類への進化段階にある草食動物「トリティロドン類」の化石も発掘したことを明らかにした。

奈良・春日大社で非公開で「節分万灯籠」灯籠1/3に減らし

奈良市の春日大社で2月2日夕、家内安全などを祈願して境内の灯籠(とうろう)の明かりを灯す恒例の「節分万灯籠」があった。今年は節分が例年より1日早く、2日に実施されるのは124年ぶりとなった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため点灯する灯籠を例年の約3分の1の1,000基に減らし、非公開で実施された。節分万灯籠は、1888(明治21)年に再興された行事。

京都・醍醐寺が宇宙に寺院開設へ 2/8に初の平和祈る「宇宙法要」

真言宗の醍醐寺(所在地:京都市伏見区)は2月1日、京都市内の人工衛星開発企業と協力して宇宙に寺院を開くため実行委員会を発足したと発表した。2年後の2023年に打ち上げ予定の衛星に本尊や曼荼羅(まんだら)など仏教の心の拠りどころとする。2月8日に宇宙の平和と安全を祈る「宇宙法要」を初めて行い、今後も定期的に実施する予定。

徳川家康らの直筆花押、若冲作品など集め相国寺で美術品展

京都市上京区の相国寺承天閣美術館で1月31日から、同寺に伝わる掛け軸や屏風、書状など美術品およそ50点を集めた展示会が開催されている。この展示会は一部の作品を入れ替えながら4月18日まで開かれる。
主な美術品は16世紀後半の資料で、豊臣秀吉が伏見大光明寺の再建を呼びかけた際、寄付に応じた122名の武将の名前が記された「伏見大光明寺勧進帳」には、徳川家康や石田三成などの名だたる武将たちの直筆の花押を見ることができる。
このほか、「群鶏蔬菜図押絵貼屏風」は江戸時代の画家、伊藤若冲の作品で、野菜と一緒に描かれた鶏(にわとり)のコミカルな表情を楽しめる。