「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

滋賀・長浜城跡で石垣発見、石材の技法から築城は豊臣期

滋賀県長浜市は8月14日、長浜城跡(所在地:同市公園町)の試掘調査で石垣の一部が見つかったと発表した。石材の形状などから豊臣期(1574~1590年)に造られた可能性があるという。石垣は、大きさが不揃いの石材8個が連なった長さ4.5mで、深さ1.4mの地中から見つかった。1600年以降の徳川期の城郭にみられる、くさびを用いて石材を割る「矢穴技法」が使われておらず、同市は豊臣期の石垣と考えられるとしている。長浜城は羽柴(豊臣)秀吉が築いたことで知られているが、その後、家臣の山内一豊ら城主が4人交代。大坂夏の陣(1615年)で豊臣氏滅亡後、徳川政権が安定した後、廃城となり、資材は彦根城の築城に再利用されたと伝えられており、この時代の遺構はこれまではっきりと確認されていなかった。

志賀直哉の『暗夜行路』の舞台 京都時代の旧居宅、解体へ

文豪・志賀直哉(1883~1971年)の京都時代の旧居の一つで、代表作『暗夜行路』でも重要な舞台として描かれた京都市北区の住宅が近く取り壊されることが分かった。この旧居は北野白梅町交差点から南西約200mにあり、1910年代当時の衣笠村に郊外型住宅として開発され、文化人が数多く住んだ衣笠園の一角。志賀は実父との確執が激しく、わずか4カ月余りだったが、新婚間もない大正4年1月にここに移り住んでいる。暗夜行路の作品では、自らを投影させた主人公の作家、時任謙作と妻・直子が新婚生活をスタートさせた家として登場する。旧居は大正期の木造2階建てで、老朽化が著しく、現在の所有者が解体・売却の手続きを進めている。

山形県内陸部の竪穴住居跡からマグロの骨出土、縄文草創期

山形県南陽市教育委員会などによると、約1万1,000~1万2,000年前の縄文時代草創期の竪穴住居跡が確認された同市赤湯の北町遺跡で、内陸部の縄文遺跡としては全国的に珍しいマグロの骨が出土した。見つかったのは成長段階のマグロの背骨の一部と判明した。白竜湖西側に位置する同遺跡は、枯れた植物が分解せずに積もった泥炭層の湿原だった場所に広がる。こうした環境にあったからか、専門家は「これだけの内陸部で海洋魚の骨が見つかったこと自体、驚き」としている。いずれにしても、当時から内陸部と海岸部で人的、物的交流があったことが推察される。

弥生~飛鳥時代の木製品60点集め奈良・橿原市で特別展

奈良県橿原市の「歴史に憩う橿原市博物館」で、同市内の遺跡から出土した木製の食器や農具などおよそ60点を集めた企画展が開かれている。9月1日まで。これらはいずれも2,000年ほど前の弥生時代から飛鳥時代の木製品。新堂遺跡から出土した古墳時代の「腰掛け」は高さ14cm、幅36cmほどの小さな椅子で、儀式で使われた特別なものと考えられる。持統天皇が造営した藤原京の跡から出土した「漆塗り匙」は、長さ27cmほどの飛鳥時代のスプーンで、官位の高い貴人が使っていたとみられる。

島原城の石垣解体後、発掘調査行われず宅地に、市教委が伝え忘れ

長崎県島原市教育委員会関係者らによると、江戸時代に築かれた島原城(長崎県島原市)の遺構の一つ、櫓(やぐら)台跡の石垣(高さ約2m、幅約10m)が取り壊され、文化財保護法に基づく発掘調査が行われないまま宅地になっていたことが分かった。地権者側から工事の相談を受けた市教委が、調査が必要であると伝え忘れたのが原因という。石垣は県史跡の本丸から北へ約500mの城敷地内に位置し、本来なら市教委は県史跡への追加を目指していた。                                                                                        島原城の敷地は家臣の屋敷区画を含む約42万㎡(東西約350m、南北約1,200m)。このうち本丸や二ノ丸がある約7万㎡が2016年に県史跡い指定された。他のエリアでは宅地化が進み、約30基あった櫓台跡の石垣の大半が姿を消している。

人々の暮らしに溶け込んだ「浮世絵ねこの世界展」

江戸時代から大正時代にかけて、猫を題材に描かれた浮世絵の展示会が大阪歴史博物館で開かれている。9月8日まで。「浮世絵ねこの世界展」と題した同展には、人々の暮らしに溶け込み、様々な表情をみせる江戸時代から大正時代にかけての猫を題材にした浮世絵およそ150点余が展示されている。                                                                 このうち歌川国芳の作品では小判に興味津々の猫やかつお節に寝ている猫など、猫に関する「たとえ」とは反対の行動をとる様子がユーモラスに描かれ秀逸。また、明治に描かれた美人画では、飼い猫の鼻を撫でる遊女の様子が、猫を可愛がりすぎるため主人から猫と引き離されたという逸話をとともに描かれ、思わず笑みがこぼれる。

20年の大河の放送控え、光秀の菩提寺が境内リニューアル、観光客増見込む

明智光秀の菩提寺として知られる滋賀県大津市の西教寺が、観光客の増加を見込んで境内の宿泊施設や体験プログラムをリニューアルした。同境内には寺が経営するユースホステルがある。寺では2020年、京都・本能寺で織田信長を討った光秀を主人公にしたNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」が放送されることで、同寺を訪れ宿泊を希望する観光客が増えることが見込まれるとして、施設を全面的に改装し、7月完成した。改装により客室や広間の畳を新調したほか、3階建ての施設に2台のエレベーターを設置して、バリアフリー化を進めた。また、これまで宿泊客に向けて行ってきた境内の清掃や写経に加え、夜の本堂で座禅を組む体験ができるプログラムも新たに設けた。

天神祭「船渡御」浪速の夜空彩る5,000発の花火

大阪の夏の風物詩、大阪天満宮(所在地:大阪市北区)の天神祭は7月25日、本宮を迎え市内の中心部を流れる大川でおよそ100隻の船が行き交う「船渡御」が営まれた。そして、日暮れとともにクライマックスの、令和初の約5,000発の奉納花火が打ち上げられ、家族連れやカップルなど多くの見物客を魅了した。

祇園祭・後祭の山鉾巡行 「鷹山」の唐櫃が参加

近畿で遅い梅雨明けが発表された7月24日、京都の夏を彩る祇園祭・後祭(あとまつり)の山鉾巡行が行われた。京都市中京区の烏丸御池の交差点を午前9時半にスタート。山鉾の数は10で、前祭(さきまつり)の23と比べ少ないが、いずれも豪華な懸装品で飾られた山や鉾が前祭と同様、”コンチキチン”の祇園囃子が響く中、ゆっくりと都大路を進む。交差点に差し掛かると、車輪の下に竹を敷いて水をまきながら、直角に方向転換する「辻回し」を披露。見物客が盛んに拍手を送っていた。今年はここ190年以上、山鉾巡行に参加していなかった「休み山」の「鷹山(たかやま)」関係者が参加。ご神体の代わりに掛け軸を収めた唐櫃(からびつ)を担いで列に加わり、後祭を盛り上げた。

14の学術団体が世界遺産の古墳群公開求める声明

日本考古学協会など14の学術団体は7月23日、世界文化遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」を地域や社会に公開していくことなどをもとめる声明を出した。この中で同古墳群のうち、宮内庁が管理する古墳が原則、非公開となっていることについて、陵墓であることに配慮しながら一般への公開を進めることや、国と地元自治体が協力して史跡への指定などの保護を進めることを求めている。