「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

フィリピン沖海底で旧日本海軍の重巡洋艦「摩耶」船体発見

米国の調査チームによると、太平洋戦争中に撃沈された旧日本海軍の重巡洋艦「摩耶」の船体が、フィリピン・パラワン島沖のおよそ1,850mの海底で見つかった。同チームの無人探査機が撮影した映像には船体はじめ、艦橋の構造物や主砲などの形が確認できるほか、機器に刻まれた文字もはっきりと写っている。                                          摩耶は1944年10月、フィリピンへと迫る米国軍を迎え撃つためレイテ島に向かったが、米国海軍の潜水艦の魚雷攻撃をけて沈没し、乗員336人が死亡した。今回、摩耶を発見した調査チームは、2015年にもフィリピン沖の海底で戦艦「武蔵」を発見している。

奈良・香芝市の古墳 王族の墓の可能性

奈良県香芝市教育委員会はこのほど、同市の国の史跡、平野塚穴山古墳で土を盛った墳丘の表面を覆っていた装飾用とみられる石が見つかったと発表した。こうした装飾は天皇陵と考えられる古墳でしか確認されていないことなどから、同市教委では王族の墓の可能性が高まったとしている。同古墳は一辺が25mから30m、高さ5mの2段に築かれた方墳で、7世紀後半に造られたとみられ、国の史跡に指定されている。              同市教委が3年ほどかけて行った発掘調査の結果、土を盛った墳丘の南側の斜面から、2m四方にわたって15cmから30cmほどの装飾用とみられる石がおよそ20個見つかった。同種の凝灰岩で墳丘を覆った古墳は、、いずれも奈良県明日香村にあって、斉明天皇の墓という説がある牽牛子塚(けんごしづか)古墳と、天武天皇と妻の持統天皇を埋葬したとされる野口王墓古墳しか例がないという。こうした点を総合的に判断すると、埋葬されたのは天智天皇や天武天皇の祖父にあたる茅渟王(ちぬおう)が有力な一人とみている。

近江商人の商いの心得、家訓展 滋賀・東近江市

滋賀県東近江市の近江商人博物館で、代々伝わる商いの心得や家訓を記した掛け軸などおよそ20点を集めた展示会が開かれている。7月15日まで。                                   麻布の仲介業者の主人が跡継ぎに宛てた遺言書には「他国で商売をするときは、行く先の人たちのことを大切に思いなさい」と書かれていて、近江商人のモットーといわれる「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の心得が記されている。また、「長者三代鑑」と名付けられた掛け軸には、一番下に懸命に働く創業者、真ん中に仕事をせず茶の湯に興じる2代目、そして一番上に落ちぶれた3代目の姿が描かれ、戒めともいうべき「創業者の勤勉な精神を忘れるべからず」というメッセージが込められている。近江商人の、今日のビジネスにも通じる、興味深い心得がうかがわれる。

銀河系の最遠端の観測に成功 東北大、東大など研究チーム

東北大、東京大学、法政大学、国立天文台などの共同研究チームは6月21日、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Can(HSC)が撮像したデータを用いて、銀河系の最遠端、すなわち銀河系を形づくる星々の世界の境界を初めて見極めることに成功したと発表した。その境界までの距離は半径約52億光年もあり、銀河系の中心から太陽系までの距離(約2万6,000光年)の20倍にもなることが分かった。銀河系がどのように形成されたかを知るうえで、手がかりとなる。

厳島神社の大鳥居改修工事始まる 老朽化で損傷激しく

世界遺産の厳島神社(所在地:広島県廿日市市)でこのほど、海上に立つ大鳥居の改修工事が始まった。老朽化で損傷が激しいためだ。終了時期は未定。国の重要文化財に指定されている大鳥居は、高さ約16mで、満潮時には海上に浮かぶように見えることから同神社の象徴となっている。現在の大鳥居は1875年に建立され8代目。各部の破損状態を調査し、今後の修理方針を決める。                                             

東大大学院 Y染色体の遺伝子系図解析で縄文・弥生期の人口急減を解明

東京大学大学院の研究グループは6月17日、Y染色体の遺伝子系図解析で縄文時代晩期から弥生時代にかけて、急激な人口減少が起きていたことを解明したと発表した。同グループは日本人男性345名のY染色体の全塩基配列決定と変異解析を行った。他の東アジア人のY染色体データと併せて系統解析すると、縄文人に由来するY染色体の系統が同定された。縄文人由来Y染色体の遺伝子系図(共通祖先から現在に至るまでの分岐過程)を推定したところ、縄文時代晩期から弥生時代にかけて人口が急激に減少したことが示された。縄文時代晩期は世界的に寒冷化した時期であり、気温が下がったことで、食料供給量が減ったことが急激な人口減少の要因の一つではないかと思われるとしている。この結果は、縄文時代の遺跡数や規模などの変化から類推されてきた、縄文時代後期・晩期に起きた急激な人口減少を裏付けるものだ。

法隆寺と同じ木型から製造された軒瓦など14点展示 大津市

滋賀県大津市の県埋蔵文化財センターで、同県栗東市の蜂屋遺跡で2018年出土し、日本最古の寺院、奈良・法隆寺との強い関連性をうかがわせる軒瓦など14点が展示されている。土・日・祝日は休み、7月3日まで。展示されているのは、飛鳥時代後半(7世紀後半)の軒瓦「忍冬文単弁蓮華文軒丸瓦(にんどうもんたんべんれんげもんのきまるがわら)」で、製造時の木型によるキズや文様の細かな配置などから、法隆寺創建当時の若草伽藍と中宮寺の軒瓦と同じ木型から製造されたとみられるという。このほか、670年の若草伽藍焼失後に造営された法隆寺の瓦と同じ文様の「法隆寺式軒瓦」なども紹介されている。

時の記念日 滋賀・近江神宮で「漏刻祭」

「時の記念日」の6月10日、滋賀県大津市の近江神宮で時に感謝する神事「漏刻祭(ろうこくさい)」が行われた。6月10日は、1300年余前、天智天皇が現在の大津市に「漏刻」と呼ばれる水時計を設置し、初めて日本が時を刻み始めた日とされている。天智天皇を祀る大津市の近江神宮では毎年この日に漏刻祭と呼ばれる神事が行われている。この日は時計メーカーや販売会社の関係者およそ200人が参列した。時計の専門学校に通う生徒など平安時代の装束をまとった女性たちが最新式の時計、合わせて7点を神前に供え、技術の進歩や業界の発展を願った。

サグラダ・ファミリアに正式建設許可、2026年の完成目指す

スペインのバルセロナにある世界的な観光名所、サグラダ・ファミリア教会に、このほど市から正式な建設許可が下りた。いまも建築中の同協会。これにより、137年前の1882年の着工から、144年後となる2026年の完成に向けて、バルセロナ市と教会側は協力していくことになる。着工当時は同所在地は別の自治体だったため、バルセロナ市に合併された際、建設許可が手続き上のミスなのか、更新されなかったことで3年前、バルセロナ市が同教会に建設許可がないとし、許可の有無を巡って論争となっていた。今回両社はホームページを通じて、6月7日に市から正式な建設許可が出されたと発表した。発表によると、教会側が建設にかかる税金として460万ユーロ、日本円で5億6,000万円余を市に支払い、市はそれを教会に通じる道路の整備に充てることで合意した。世界的な建築家、アントニオ・ガウディの代表作、サグラダ・ファミリア教会は年間300万人以上が訪れる観光名所として知られ、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。

豊臣期の大坂城の構造が明らかに 大阪市立大学G

大阪市立大学の研究グループは、現在の大阪城の地下に眠る豊臣秀吉が築いた当初の「大坂城」の詳しい構造を明らかにしたと発表した。これまで絵図などでしか確認されていなかった築城当初の大坂城の姿が大規模に確認されたのは初めて。秀吉によって築城された当初の大坂城は1615年、大坂夏の陣に勝利した徳川幕府によって、豊臣の勢威や名残を徹底して封じ込めるため埋め立てられ、現在の大阪城はその上に築かれている。ただ、この検証は極めて難しいとされてきた。それは大阪城一帯は国の特別史跡に指定されているためだ。それだけに発掘調査が難しく、当時の詳しい構造は図面や絵図で確認するしかなかった。今回同グループは細い金属の棒を地中に差し込んでその際の抵抗から地中の構造を推定する、スウェーデン式サウディング調査で、4年間かけて大坂城本丸のおよそ300地点を調べた。その結果、天守がある本丸の3段構造の石垣の一部や生活の場だった奥御殿と公務を行う表御殿をつなぐ橋とみられる跡などが確認できたという。

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