「新システム」カテゴリーアーカイブ

JR東日本,KDDIなど ドローンで食事配達 都内で実証実験

JR東日本、KDDI、日本航空などは11月20日、都内の有人地域で初のドローンを使った食事配達の実証実験を行った。東京都が進める物流におけるドローン活用についての公募が採択された、操縦者がドローンを目視しない状態で、有人地域で飛ばす「レベル4」に向けた実験。目視する人員が不要なため、運営コストの削減が見込める。
ピザなど温かい料理を入れた専用ケースを抱えて飛び立ち、約50m離れた利用者のいる広場に宅配し、利用者は実食もした。また同日、約700m離れた水上バスの発着場向けに運ぶ実験も非公開で行われた。徒歩で約20分かかるが、約3分程度で届けられたという。今後は実用化に向けて、料理をより温かい状態で届けられるかなど質の面や安全性、収益性などを検証する。各社は人手不足が課題となっている物流分野での効率化に生かすため、早期の実用化を目指す。

関電,ダイヘンなど走行中のEVに自動給電 共同でシステム開発

関西電力、ダイヘン、大林組などは11月19日、走行中の電気自動車(EV)に自動的に給電するシステムを共同開発すると発表した。給電システムをダイヘン、コイルなどの道路への埋設を大林組、エネルギーマネジメントシステムを関西電力が担当する。技術開発では東京大学、東京理科大学、大阪大学とも連携する。2025年の大阪・関西万博の会場内での展示を目指す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー技術研究開発プログラムに採択された。
バスや営業車など商用車EVを対象に想定。車が減速・停止する信号機の手前に設備を用意し、車載バッテリーの残量や再生可能エネルギーの余剰発電量に合わせて自動的に給電する。2023年にダイヘンの試験場で実機を使って試験する予定。

UDトラックス,神戸製鋼 22年「レベル4」自動運転実証実験

UDトラックス(本社:埼玉県上尾市)と神戸製鋼所は11月12日、2022年下半期に「レベル4」の自動運転機能を搭載したトラックの実証実験を実施すると発表した。UDトラックスの大型トラック1台を使い、神戸製鋼の加古川製鉄所(所在地:兵庫県加古川市)内で実施する。これを通じ、「超スマート社会」に不可欠となるスマート物流サービスと製造・物流現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を目指す。

デンヨー コマツ,日立の協力で250KW水素混焼発電機を開発

発電機、コンプレッサなどの製造販売を手掛けるデンヨー(本社:東京都中央区)は11月11日、コマツ、日立製作所の協力を得て、250KW水素混焼発電機の2023年の量産開始を目指し開発に取り組んでいると発表した。
水素混焼発電とは、軽油や都市ガスなどの燃料に水素を混焼させることにより二酸化炭素(CO2)の発生を抑制する技術。開発にあたっては水素の供給部に日立の協力を、エンジン内の燃焼にコマツの協力を得て、水素の混焼率を50%とし、軽油のみを燃料とする場合と比較してCO2の発生を50%削減するもの。

IHI CO2再資源化によるオレフィン製造技術開発でNEDOに採択

IHI(本社:東京都江東区)は11月11日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/CO2を原料とした直接合成反応による低級オレフィン製造技術の研究開発」の委託先に採択されたと発表した。この研究は石油を用いずに低級オレフィンを製造するプロセスの基礎確立および既設の低級オレフィン製造プラントとの統合検討を目的として、2026年2月まで実施する。

日立造船 Power to Gas事業の拠点「PtG SQUARE」運用開始

日立造船(本社:大阪市住之江区)は11月9日、水電解装置(水素発生装置)やメタネーション設備などのPwer to Gas(以下、PtG)関連事業を積極的に推進していくため、築港工場(所在地:大阪市大正区)内に同事業の研究開発・製造拠点となる「PtG SQUARE」の整備を進めてきたが、このほど本格的な運用を開始したと発表した。PtG SQUAREの敷地面積は約535㎡。メタネーション実証設備はメタンガス製造量12.5N㎥/h。

ENEOS,千代田化工 CO2フリー水素供給網の拡大実証に成功

ENEOSと千代田化工は11月2日、オーストラリアのクイーンズランド工科大学(以下、QUT)とともに2018年から進めていたCO2フリー水素の製造、輸送、脱水素に関する技術検証で、世界で初めて実際に使用できるレベルまで規模を拡大し、燃料電池自動車(FCV)へ充填することに成功したと発表した。
水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに一度貯蔵し、その次に有機ハイドライドの一種、メチルシクロヘキサン(MCH)に変換する必要がある。今回の技術実証では、その工程を大幅に簡略化し、水とトルエンから一段階の反応でMCHを製造する、ENEOSが開発した「有機ハイドライド電解合成法」を採用している。2019年3月に実験室レベルで成功していたが、実際に使用できるレベル(約6kg)にまで規模を拡大し、成功した。
2022年度には大型電解槽のベースとなる150KW(電極面積3㎡)級の中型電解槽を完成させ、2025年度をめどに5MW級の大型電解槽の開発を目指している。将来的には2030年度をめどに、CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向け、技術開発を進めている。

パラマウントベッド 見守り支援システムに健康判定機能

パラマウントベッド(本社:東京都江東区)は10月19日、体動センサーを用いた見守り支援システムに芙蓉開発(所在地:福岡市)が開発した健康状態をAIで判定する機能などを追加、10月20日からシステム連携させると発表した。
システム連携により、健康管理システムのバイタル情報から、医療機関で活用されている重症度を測る指標「修正早期警戒スコア」をもとに健康状態を判定し、ケアの優先度を警告(赤)、注意(黄)、平常(緑)の3段階に色分けして知らせる。
入居者の呼吸数などがAIが判定した個人ごとの異常値に達した場合には、スタッフの端末へ通知もできる。これにより介護・医療の業務連携の促進につながることが期待される。

INPEX・大阪ガス 大規模「メタネーション」実証事業

資源開発大手INPEXと大阪ガスは、二酸化炭素(CO2)と水素を使ってメタンをつくり出す「メタネーション」と呼ばれる技術を活用した世界最大級の製造拠点を整備し、新潟県長岡市で低コスト化に向けた実証事業を始めることになった。2024年度中に年間で1万世帯が使う都市ガスを賄えるだけの合成メタンの製造を目指す。
日本政府はメタネーションを巡り、2050年に都市ガス全体の90%以上を合成メタンからつくり出す目標を掲げているが、費用が高いことが課題で、両社は今回の実証事業を通じてコストの低減を目指したいとしている。

「光触媒」で純度高い水素取り出す大規模実験に成功 NEDO

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、東京大学、信州大学などの研究チームは、太陽の光を吸収して水を水素と酸素に分解する「光触媒」の働きを活用して、100㎡の規模で純度の高い水素を安全に取り出すことに成功したと発表した。
今回試したのは、この光触媒を付着させたパネルを屋外に設けて水を注ぎ、太陽の光を受けて発生した水素と酸素が混ざった気体から穴の空いた膜を通すことで水素だけを抽出する実験。同チームは2019年から2年にわたって実験に取り組んできた。実験の結果、発生した水素の7割以上をおよそ94%という高い純度で安全に取り出せたという。
同チームによると、100㎡の規模で水素の取り出しに成功したのは世界で初めて。水素を大量かつ低コストでつくる技術につながると期待できる一方、さらに効率よく取り出すための新たな物質の開発が実用化への課題としている。