大阪・関西万博に合わせて想定されるインバウンド需要増大を見込み、大阪府内で投句霊的に規制が緩和された”日本版ライドシェア”の利用が低調で、現状では完全に”万博特需”のあてが外れた形となっている。
運行回数は万博開幕前に比べて減少している。国土交通省によると、開幕までの週末12日間の運行回数は計3,632回だったが、開幕後は3割近く少ない2,684回にとどまっている。これでは、ライドシェアの運用について吉村知事が、国交省に対し曜日・時間の限定的な運用では「万博のようなメガイベントには対応できない」と直談判。2024年12月から府内全域で、曜日を問わず24時間運行できるようになったのに、そのプラス効果が全く出ていないわけだ。
これはなぜか?最大の要因はタクシー不足の改善にある。タクシードライバーは高齢化が進み、全国的に減少傾向が続いていた。だが、2025年3月現在の大阪府内のタクシードライバーは2万2,238人で、2年前と比べ2,000人近く増えている。
万博会場への乗り入れのハードルが高いことも影響している。万博協会は会場の乗降場に乗り入れるドライバーに講習の受講を義務付けている。会場への経路や会場周辺の交通ルールを学んだうえで「受講済」を示す識別票を車両に掲示することを求めている。
タクシーで会場を訪れる来場者は約2%。ライドシェアはさらに少ないとみられる。中長期的には、タクシー不足によるライドシェアの必要性は認めるとしても、今回の万博でのライドシェア特需は、現時点ではその”目論見(もくろみ)”が完全に外れた格好だ。
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万博 海外館建設費未払トラブル 協会は解決へ積極的介入を
大阪・関西万博の海外パビリオン建設費未払いトラブル問題が膠着状態で、解決の糸口さえ見通せていない状況が続いている。このままでは大阪・関西万博関連工事事業者の複数の休・廃業が発生することも懸念され、当事者にとって今回の大阪・関西万博が、工事で痛手を被ったという負の記憶しか残らない、不幸な企業・家族が出る事態となりそうだ。
万博協会によると、海外パビリオンの建設費用に関する未払の相談は少なくとも①マルタ館②ネパール館③アンゴラ館ーーの3件が寄せられている。このうち、マルタ館の建設を担った関西の業者が元請けの外資系イベント会社に約1億1,000万円(追加工事分約3,000万円含む)の支払いを求めて東京地裁に提訴してことが分かっている。ネパール館の工事を担った業者は完成前に契約に沿った支払いが滞ったことから、工事が中断している。アンゴラ感では内装工事の発注を受けた大阪市の業者からの費用が未払いだとして、下請け業者らが「被害者の会」を立ち上げている。
万博工事は当初から着工遅れが指摘され、開幕まで1〜2カ月となってから間に合わせるための仕事が多かった。国を挙げての国際イベントだからとか、多分もう地元で行われることはない、事業者のメンツを懸けた仕事だからと急遽、助っ人を頼まれ、休日返上、深夜にかけた業務で対応した案件だった。それが、丸々費用未払いという、全く報われることない決着はひどい仕打ちとしか言いようがない。
大規模なプロジェクトや大型物件の場合、元請けから第1次下請けから第5次、6次下請けで工事を進めることが通常で、この途中3次、4次下請けの会社の経営状況で支払いが滞ることなどもあり、その際は後の5次、6次下請けには未払いのまま放置されてしまうというわけだ。今回もまさしくそうした流れになっているのだろう。
未払いに苦しめられている業者らによると「万博協会や国、大阪府は民ー民の問題で、当事者同士で解決せよ」との回答だという。だが「トラブルが起こっている以上、具体的な対応をしてほしい」と訴えている。彼らは限度を超えた超タイトなスケジュールに合わせ、骨身を惜しまず働いた人たちだ。
「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマを掲げた今回の万博が、工事に携わった中小零細業者の会社・家族の生活を顧みず、その犠牲にあぐらをかいたものであってはならないのではないか。協会は当事者同士でと放置するのではなく、解決に向けて積極的に介入してもらいたいものだ。協会として、直接介入が難しければ、例えば専門家を含めた解決を担うグループの組織へつなぐ、仲介の労を取ってもらいたいと願う。
元横綱白鵬退職 相撲協会との距離感優先の”違和感”会見
元横綱・白鵬の白鵬翔氏(前宮城野親方)(40)が6月9日付で日本相撲協会を退職、都内で記者会見した。わざわざ記者会見したのに、退職理由を明確に語らないまま。噂された現伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)との確執についても否定。協会退職について「悔いはありません」と明言し、終始、協会への”恨み節”は封印したまま、不自然な”違和感”を感じぜざるを得ないものだった。これによって、優勝45回の誇り高き元大横綱が相撲協会に”降参”した形で騒動が幕引きとなった。
それは、同日明らかにした、今後の活動への悪影響を極力避けるためだったのだろう。第二の人生ではアマチュアの世界で普及を目指す、世界的規模で相撲イベントを軸とした「グランドスラム構想」実現のためだ。そのめには両国国技館の使用など、今後も相撲協会とは一定の関係を保つ必要性がある。したがって相撲協会を敵に回す発言は避けたというところだ。
しかし、ここはこの間の反省と、自分が至らなかった部分の”非”はきちんと認め、協会の対応の”不備”の部分を指摘することぐらいはするべきだったのではないか。そうすれば、腹の中にあるものを吐き出してくれたなら、協会側も対応しやすかったはずだ。何もかも腹に収めたままでは何か不気味で、構想には賛同しても、協力の手は出しづらいのではないか。戦略・戦術を間違ったか。
トランプvsマスク 蜜月終焉! 透ける人間性 政財界に波紋
トランプ米大統領と、約420億円もの巨額の献金などで第2次トランプ政権誕生の最大の支援者であったイーロン・マスク氏の蜜月が終焉。不毛の、或いは醜い罵倒合戦が繰り広げられ、その波紋が政界・財界双方に広がる事態となっている。
ここで透けて見えるのは両氏の人間性だ。両氏とも我がままで、他人の言うことには、一切耳を貸さない傲慢さは共通している。それでもどちらに理があるかと言えば、わずかだがマスク氏か。彼は実業家として優れた手腕を発揮し、成功を重ねてきた人物だ。
トランプ氏が打ち出す①同氏肝いりの減税法案②マスク氏推薦のNASA長官人事の白紙撤回③移民の強制排除④ハーバード大への留学生の停止措置ーなど、いずれも決して、その目的や想定される影響や事態などに気を配り、熟慮したうえでの政策ではなく、感情的かつ短絡的な”生煮え”の施策の強行でしかない。それによって頻発する衝突や軋轢(あつれき)を武力で抑えつけ、断行する手法は、とても民主国家とは思えない。
様々な要素・要因があるにせよ、マスク氏を何のためらいもなく切り捨て、利用価値がなくなったと思ったら、あっさりと”恩を仇で返せる”のはトランプ氏ぐらいだろう。こんなトランプ氏に愛想を尽かし、マスク氏も反撃。同国の2大政党、共和党・民主党とは一線を画す新党「アメリカ党」を立ち上げる構想をぶちあげている。どこまでやる気があるのか、その本気度に注目だ。
世紀の”大愚策”高関税政策で海外ばかりか、肝心の国内の企業や国民の生活に多大の苦しみを負わせている中、とりわけトランプ氏の言葉には知性の欠片(かけら)も感じさせないもの言いに、米国民は何も感じないのか。「うんざりだ、もう辞めてくれ」とはならないのか?諦めているのか?米国の民主主義のレベルに?を付けざるを得ない。
そもそも”米国を偉大にする”などという評価は、当事者ではなく、後世の第三者が下すべき評価であって、この国を偉大にするなどという目標を掲げること自体、おかしいのだ。まともな神経の持ち主なら、とても気恥ずかしくて口にはできない言葉なのだ。
万博リング 大半廃棄処分案に海外から批判・疑問の声
2025年大阪・関西万博のシンボル・大屋根リングの閉幕後、一部保存・大半廃棄処分案に海外から批判や疑問の声が挙がっている。
海外から指摘を受けるまでもなく、現在の活用案は”お粗末”のそしりは免れない。膨大な量の木材、そして高いコストをかけ、大手ゼネコン3社が担った、他に類を見ない大屋根リングは見事な木造構造物だ。大半廃棄処分案は、確かに工夫が全く感じられない。限られた資源のリサイクル案を含めて、堂々と海外にも発信できるアイデアを打ち出せるよう、もっともっと時間をかけるべきだ。
柱と梁(はり)を組み合わせる日本の伝統的な貫(ぬき)工法を活用したリングは格子状の幾何学模様を生み出し、海外の人たちに強い印象を与えている。そのため、資源のリサイクルに積極的な海外諸国から「壊すなんて本当にもったいない」などと、大半廃棄処分案を批判、日本に再考を求める声が出ている。
水産物輸出 中国抜きの市場開拓が大事 疑問含みの再開
日中両政府は5月30日、中国への日本産水産物の輸出再開に向けた手続き開始で合意した。この背景には、日本との関係改善を望む中国側の意向がある。1月に米国のトランプ政権が発足して以降、関税を巡って米国との対立が続いている習近平政権は、アジアの周辺国との関係改善を急いでおり、今回の輸入再開に向けた動きもその一環だ。
ただ、中国が本気で日本との関係改善を望んでいるのか疑わしい部分もある。現実に5月30日の中国外務省の副報道局長は原発処理水を「核汚染水」と呼んでいる。中国も参画した海水などのモニタリングで厳しい数値をクリアしていることが証明された後も、引き続き日本の原発処理水を核汚染水と表現し続けているのだ。また、輸入再開というが、日本産全体がOKというわけではなく、福島など10都県は除外されているのだ。あくまでも、いわば条件付き輸入再開に過ぎない。
とはいえ、巨大市場の中国の日本産水産物の輸入再開は、日本の水産業にとって追い風となる。水産事業者からは輸出再開への期待の声も出ている。しかし、今回の突然の中国による日本産水産物の全面禁輸措置で、水産事業者も壊滅的な打撃を受け、多くのことを学んだはずだ。
中国市場は常にいつ、日本として承服できない理由で、どうなるか分からないリスクがつきまとう市場だということを念頭に置くことだ。このため、中国側の需要増要請に応えすぎないことだ。中国の輸入停止を受けて、この間必死で当該事業者は東南アジアや米国など別の国・地域への販路の開拓を進め、ようやく他ルートを構築しつつある。中長期的に、これを引き続き強化・育成していくことだ。決して、一方的に中国側の意向に振り回されないことが大事だ。
現実に冷静に「販路が増えることで、良い条件の買い手と交渉することができる」とか、別の販路を確保した企業からは、中国への輸入が再開されても「すぐに中国への輸出を再開することは難しい」との声もある。
コメの流通は前時代的, 放置してきた農水族議員は排除!
政府備蓄米の随意契約で6月1日から大手ディスカウント店店舗「ドン・キホーテ」で販売開始したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の吉田直樹社長は「コメの流通は前時代的だ。流通経路をシンプルにして需給が分かるようにすべき」と明言した。
また、JA出身で元農水相の野村哲郎氏が5月31日、鹿児島県鹿屋市で講演し、小泉農水相が進めた随意契約による備蓄米放出について批判、すべて「自分で決めて自分で発表してしまう。党の農林部会に諮らなかった」と苦言を呈し、「ルールを覚えてもらわないといけない」などと発言。そして、農水族議員の重鎮・森山裕氏(幹事長)から注意してもらうという趣旨の発言をした。
語るに落ちた。まさしくあなた方、族議員が長年にわたり進めてきた”農政の失敗”が、今日のコメの事態を招いていることの反省など微塵も感じていない、「鈍感」で「無責任な」発言と言わざるを得ない。早急に退いていただきたい。
コメの生産・流通、そして輸出を軸としたコメ政策は、長年の農政の失敗を棚に上げ、歪めてきた、こうした農水族議員を徹底的に排除しなければ、いつまでも変わらない。
集荷業者から第1次〜第5次卸業者まであると言われる”闇”のコメ流通の実態が解明されれば、一般入札で放出されたはずの備蓄米の大半が今、どこにあるのか。はっきり分かるはずだ。今こそ変わらなければ自民党政治の終焉を意味する問題だ。早急に変化が見えなければ有権者の選択は明白だ。
大阪維新の会がまたも陳腐な「大阪都構想」案の愚策
地域政党・大阪維新の会がまたも「大阪都構想」の新たな制度案について、中間報告をを取りまとめたという。大阪都構想は2015年と2020年に大阪市民対象に住民投票が実施され、それぞれ市を5特別区に、4特別区に再編する案が否決されている。大阪市民の意思は2度とも「NO」だった。それをまた、維新の看板政策だから3度目の住民投票をしたいということのようだ。
しかし、それが住民にとっては何の意味があるのだ。そんなムダな時間とカネをを使わず、きちんと本来の業務をやってくれと言いたい。それが大阪市民の偽らざる意思であり、本音だ。今さら、また都構想などという、押し付けは止めてくれ!
大阪維新の会は立党後、都構想を掲げ、大阪府・大阪市のムダな経費節減を断行し、大きな成果を挙げた。身を切る改革も住民には評価された。単刀直入にいえば、長年課題とされた問題にメスを入れ、結果を出した。そのことには拍手を送りたい。しかし、それで維新は歴史的役割を終えたのだ。もう幕引きだ。
これまでほとんど語られることはなかったが、経費節減で成果を挙げることを優先するあまり、無節操・無計画な組織解体・再編をやりすぎた。その結果、本来、次世代へ残す、引き継がれるべきだった文化や教育、福祉が切り捨てられ、失われたものも決して少なくはないのだ。新たな弊害が発生している現実を知るべきだ。
いつまでも”1丁目1番地”の政策だからと、同じことを繰り返されても、迷惑なだけだということを認識してもらいたいものだ。全国には決して広がることない、大阪だけの特異な存在・維新。今はもう必要のない、過去の”遺物”になる前に、分をわきまえ真に住民に寄り添った、あるいは住民目線の政策だけに取り組んでもらいたい。
兵庫第三者委「知事が漏洩指示」複数証言 でも辞職せず
兵庫県の斎藤元彦知事に関する内部告発問題を巡り、3つの第三者委員会の結論が出揃った。27日に公表された報告書は、複数の幹部の証言を基に、斎藤氏が告発者の私的情報の漏洩を指示していた可能性が高いと結論づけた。知事本人が、告発者の人格を貶(おとし)める、卑劣な行為をしていたのだ。
斎藤氏は指示を否定しているが、どう考えても同氏の説明は不自然だ。外堀から内堀まで埋められ、もはや不自然な弁明しかできない状況。これまで何とか斎藤氏を支持してきた人の中にも、晴れようのない疑義が生まれていよう。ならば、普通なら「弁明したいことはあるが、潔くここは…」となるはずだが、この人にはその自然な”道理”は通用しないらしい。ここに至っても進退について、「辞職する考えはない。県政をしっかり前に進めていく」と、これまで繰り返してきた言葉を呪文のように発するだけだ。
しかし、ちょっと待ってもらいたい。ここまで知事の座に居座ることは、兵庫県民を愚弄するもので、県政を前に進めるというのなら、1日も早く身を引くことが本筋ではないのか。それが責任ある県政トップの身の処し方ではないのか。
備蓄米 随意契約による放出 5㌔2,000円で野党に戸惑い
都議選、参院選を控え、政府与党への格好の攻撃材料の一つとみられていたコメ価格が、就任早々の小泉農林水産相のスピード感ある対応で、抑制されそうな情勢となってきた。当面は①高値の銘柄米(5㌔4,000円台)②一般競争入札による備蓄米(同3,000円台)③随意契約による同2,000円(税抜き)台ーーの3種が小売り店頭に並ぶ情勢で、消費者が選択できる環境に変わった。
持続的な農業経営に向け、コメの生産者価格と消費者価格の適正な水準設定へ課題は山積している。だが、少なくとも消費者目線では、いつになったらコメの値上がりは止まるのか?の切なる思いが、やっと少しは届いたことは確かだ。
そして、予想外の早い変化に戸惑いを見せているのが野党関係者だ。政府与党の、上がり続けるコメ価格に対する無策ぶりを、ある意味で選挙の格好の攻撃材料と見ていたところ、浮き彫りになった前農水相の無能ぶりも加わって、与党”バッシング”材料になるはずだった。小泉氏がどれだけ頑張っても、石破首相がコメ価格の抑制を掲げ、どれだけハッパをかけても自民党内には、反対勢力=農水族議員が厳然として立ちはだかり、5㌔2,000円台のコメが実現するなど、簡単にできるはずがないとみていた。
ところが、あっという間の展開の速さに驚き、一般消費者の関心が小泉氏の情報発信と打ち出す施策に集まりだしたことで、情勢が変わったのだ。中小スーパーや町の米穀店対象の備蓄米の流通推移を待たなければ、コメ価格の値下がり、安定化は見えてこないが、参院選での自民惨敗ムードにブレーキがかかったのではないか。
5月28日の衆院農林水産委員会での野党3党(野田・立憲民主、前原・日本維新の会、玉木・国民民主)の各代表と小泉農水相との質疑応答でも、夏の参院選を控えて野党が農業票、小泉氏が消費者票を意識している構図が浮き彫りになっていた。