斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ問題を巡る、第三者委員会の公益通報「違反」、10件もの「パワハラ認定」を内容とする報告書を受けて、その対応に関する同知事自身の会見が3月26日、兵庫県庁であった。
結果は予想通り、パワハラについては初めて認めて謝罪したものの、他については自身の「対応は適切だった」と、これまで通りの見解を繰り返しただけだった。専門家で構成される第三者委員会の調査報告は本来、身を正し、謙虚にこれからの処し方を丁寧に説明すべき、もっともっと重いものだと思っていたが、斎藤氏にとっては決してそうではなかった。「そういう捉え方もあるかも知れませんね」程度のものでしかなかった。「改めるべきことは改め、県政を前に進めることが自分の責務だ」と。「辞職」などということは全く考えず、その欠片もなかった。
これを受けて、最も困惑するのは日々、同知事と顔を合わせ業務する県の職員ではないだろうか?同知事の職員に対する対応が、これまでと手の平を返したようにやさしく(?)なることはあり得ないだろうし…。一番わかりやすく今後の対応を決めるのは、県議会が知事に対し不信任決議することだが、当然すべきことを同県議会はやってこなかったし、またとてもやりそうもない。多くの職員は泣く泣く、胸のうちに様々な想いやストレスを溜め込んだまま、日々を過ごすことになりそうだ。本当に気の毒としか言いようがない。これで果たして、円滑な県政が進められるのだろうか?
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トランプ高関税政策で世界経済に暗雲 FRBも政策修正必至
トランプ米大統領が自国第一主義の名の下、乱発する高関税政策で、米国経済だけでなく世界経済の先行きが、不確実性の暗雲に覆われてきた。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を年4.25〜4.50%に据え置くことを決めた。年内の利下げは、通常の利下げ幅で2回になるとの見通しを示した。そして昨年12月時点から、成長率の見通しを下方修正する一方、物価は上振れすると予測した。
パウエル議長は、高関税政策によって「不確実性が異常なほどに高まっている」と指摘している。1強とも称されてきた米国経済も、トランプ政権の経済政策で一変している。FRBも政策運営の修正必至の情勢となっている。物価高と景気後退が同時に進行するスタグフレーションが懸念されている。米国が景気後退に陥れば、世界に影響が波及しかねない。
高関税政策策はインフレを加速させるほか、報復関税の応酬によって貿易戦争を招く。全世界の為政者やリーダーにとって迷惑千万なことだ。世界経済の先行きは、いまや独善的で、頑固な一人の老人の手に委ねられ、暗雲に晒されているのだ。
トランプ氏と同じ目線で、高関税政策のリスクをきちんと、諄々と諭せる人物は、米国にはいないのか?いや、諭しても聞く耳を持たないか?それが米国の”ご都合主義の民主主義”の実態だ。となれば、もはや手の施しようがない。
IOC 女性会長で新時代 大胆な改革は望まず バッハ氏の影
国際オリンピック委員会(IOC)の会長選が3月20日、ギリシャ・コスタナバリノで行われ、第10代会長にIOC理事のカースティ・コベントリー氏(41)(ジンバブエ)が当選した。131年の歴史で、これまで欧米出身の男性のみが就いてきたIOCの会長に初めて女性が就任する。それもアフリカのジンバブエ出身だ。
コベントリー氏の登場で、多様性を重視していく「新時代」を演出しようとの狙いだが、要はIOCは大胆な改革は望まないということがはっきりした。それは、現バッハ体制の継承こそが狙いだからだ。現実にバッハ氏が委員らにコベントリー氏を推したとささやかれている。コベントリー氏の、バッハ氏の意向とは決別した形での手腕に期待するが、コベントリー氏の訴えに現状変更への具体性は乏しい。
この会長選に渡辺守成氏(国際体操連盟会長)が日本人として初めて挑んだ。渡辺氏は、「五輪を5大陸5都市で同時開催する」といった斬新かつ大胆な改革を公約に掲げ、積極的なコミュニケーションに力を注いだが、バッハ氏の意向が働いたか、他候補と同様、大々的なアピールの機会を与えられないままの選挙となった。渡辺氏は、10票は獲得できるのではないかーーとみていたが、支持は広がらず、結果はわずか「4票」にとどまり落選した。
過去最多の7人がこの会長選に臨み、票が割れ、複数回の投票は必至ととみられていたが、結果は1回の投票であっけなく決着した。
ウクライナ停戦 結果欲しさ”前のめり” 危ういトランプ外交
ウクライナでの停戦を実現するため、米国のトランプ大統領は3月18日の電話会談で、ロシアのプーチン大統領に30日間の全面停戦を提示したが、プーチン氏はウクライナのエネルギー施設への攻撃を30日間停止することに同意したものの、30日間の全面的な即時停戦の受け入れは拒否した。
この協議に先立ち、米国はウクライナのゼレンスキー大統領から30日間の全面停戦への同意を取り付けていたが、ロシアを説得することはできなかった。プーチン氏は停戦を急いでいないのだ。トランプ氏との交渉を長引かせ、米国やウクライナからより多くの譲歩を」引き出すのが狙いとみられる。
反面、トランプ氏は大統領就任前からウクライナ停戦の実現を公言していた手前、プーチン氏の心理面を十分読みきれず、早めの結果欲しさに”前のめり”になり、プーチン氏も「早期の全面停戦を望んでいるはず」と見誤り、交渉に臨み、緻密な戦略を立てられないまま、交渉を進めている感があるのだ。その結果、これまでのところ、ロシアが交渉の主導権を握る現実が鮮明になっている。その意味で、早期の結果欲しさの前のめりのトランプ外交は危うさが”浮き彫り”になっている。
政権内部にトランプ氏が相談できる識者がいないと思われるだけに、トランプ氏にはいまは欧州との関係を修復し、多くの国々と協力してロシアに圧力を加えていく度量の大きさを見せてほしいものだ。それがロシアに主導権を握られないための、最大の有効な方策だと思われるのだが…。
斎藤知事の「違法」パワハラ認定 自ら進退の決断を
兵庫県の第三者委員会が3月19日、斎藤元彦知事のパワハラなどの疑惑問題で、内部告発者への県の対応は公益通報者保護法「違反」としたほか、斎藤氏の10件の行為をパワハラと認定した。県の要請で設置された独立性の高い調査機関である第三者委員会の調査結果は極めて重い。ここまで責任を厳しく指摘されては、斎藤氏の責任は決して免れない。早急に自ら進退を決断すべきだ。
斎藤氏は先に出された県議会の百条委員会の報告書でも、県の内部告発者への対応の違法性やパワハラ行為を指摘されていた。ところが、斎藤氏は謙虚に受け止めるどころか、あくまでも「一つの見解」などとして一顧だにしなかった。職員に対する、指導の枠を遥かに超えた「叱責」「激怒」や威圧的行為、いつまでも公益通報制度を蔑(ないがし)ろにするような発言を繰り返す姿勢・態度は、公職者としての資質に欠けているとしか思えない。「県政を前に進めることが自分に与えられた責務」などと繰り返す齋藤氏だが、今回の県政の混乱の大基が自分にあることを忘れてはなるまい。
水素ビジネスに逆風 米トランプ政権の政策が”障害”に
環境に配慮して製造される「クリーン水素」事業から企業が撤退する動きがオーストラリアや欧州で広がっている。これは「パリ協定」から離脱を表明し、いわば世界の”脱炭素”の取り組みに背を向けた形のトランプ米政権が、米国産の液化天然ガス(LNG)の増産、輸出拡大を目指していることで、水素の需要が見通しにくくなったためだ。
燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素は、脱炭素の切り札として期待されてきたが、LNGよりは割高となる供給コストが高い現状も加わって逆風が吹いている。
オーストラリア・クインズランド州の電力公社が丸紅などとともに進める「グリーン水素」プロジェクト。同州は2月、公社側が求めた10億ドル(約940億円)以上の追加出資を拒否した。この支援打ち切りの理由について同州のエネルギー相は「水素への投資は、住民に手頃な価格で持続可能な電力を供給する期待に沿わない」と述べている。このプロジェクトに関わるはずだった関西電力もすでに撤退を決めている。
欧州でも水素離れの動きが相次いでいる。フィンランドのエネルギー大手ネステや、スペインの石油大手レプソルが事業計画の凍結・撤退を決めている。
事業環境が大きく変わる中、今後、日本の水素戦略の見直しを迫られる可能性も出てきそうだ。
理念抜き, 数字合わせの複雑な”いびつな”制度「年収の壁」
所得税が課され始める「年収の壁」を、103万円から160万円に引き上げる税制改正案の審議が参院で始まった。ただ、この改正案は複雑で、決してわかりやすいものではない。年収200万円以下の人について非課税を160万円に広げた。それ以外は原則、基礎控除と、給与所得控除の最低額をそれぞれ10万円引き上げる。
ただし、物価高を考慮し、年収が200万円超から850万円以下の人には2年間の時限措置として、年収に応じ基礎控除をさらに5万〜30万円上積みする。この結果、実際の減税額は、単身者の場合2万〜4万円程度。夫婦共働きで年収がそれぞれ400万円以下なら、4万円と試算されている。そもそも基礎控除は、最低限必要な生活費には税をかけず、国民の生存権を保障するためにある。それを年収で細分化し、控除額を変えるのは、全くその趣旨にそぐわない。
物価高が長引き、低所得者層の家計は苦しい。長かったデフレ経済のもとで、非課税枠は1995年から据え置かれたままだった。昨今の物価上昇を踏まえれば課税低提言を見直すことは必要だ。所得税の見直しは多くの国民に影響が及ぶ。したがって、見直しは本来時間をかけ丁寧に議論を進めるべきものだ。
財政の根幹を支える所得税制は、簡潔で分かりやすいことが大前提だ。それでこそ国民が納得して税金を納めるのだ。ところが、本来あるべき理念抜きで、税収減を抑えたい与党の数字合わせに追われた、”いびつな”制度では、とても国民の理解は得られないだろう。
首相の商品券配布 予算審議を直撃 政権運営に暗雲
石破首相自らの商品券の配布問題が予算審議を直撃、政権運営に暗雲が漂っている。政治資金の改革を巡って与野党が大詰めの議論をしている時に、首相自ら疑念を抱かれるような振る舞いをしていたことに驚かされる。
首相は今月、当選1回の自民党衆院議員15人と首相公邸で懇談した際、自らの指示で会食の土産代わりにポケットマネーで、首相事務所の秘書が、懇談に先立って出席者に1人10万円の商品券を配布していたことを明らかにした。首相は「政治活動に関する寄付ではない。法的に問題はない」と強調している。そして、石破氏は過去にも同様の会食で商品券を渡したことがあるという。
野党からはすでに退陣要求が出ており、少数与党にとって国会審議はさらに厳しさを増しそうだ。それだけに自民党内で首相に対する批判が一気に表面化した。夏の参院選に向け、”石破降ろし”の動きが活発化する可能性もある。
論外!有権者の民意を全く分かっていない自民党
3月12日、国会内で開かれた自民党参院議員総会で、あきれた議員の発言があった。先の衆院選挙で大敗した自民党だが、なぜこれほど議席を減らしたのか、全く理解できていないことが明らかになった。
自民の西田昌司議員は「参院選は今の体制のままでは全く戦えない。総裁選をやって、新たなリーダーを選び直さないといけない」と訴えた。そのうえで新たな総裁に誰がふさわしいかを問われ「この前の総裁選で、党員投票で一番多かったのは高市早苗・前経済安全保障相だ」と語った。
なんと、最もふさわしくないと思われる議員の名前を挙げたのだ。高市議員は先の総裁選で最も多くの旧安倍派の、いわゆる”裏金”議員の推薦を受けて出馬した人だ。党員投票で1位になりながら、石破氏になぜ決選投票で敗れたのかといえば、裏金議員との密着度が強いと思われるが人がトップでは、国民・有権者の幅広い支持は得にくいとの、他の3位以下の候補者陣営の土壇場での賢明な判断があったからではないのか?肝心要のそのことが、全く分かっていないのだ。
断っておくが、ここで現内閣や石破首相を擁護する気は全く無い。自民党政権そのものを嫌っている者のひとりだ。かといって、全面的に支持できる野党もない。ただ、有権者が今何を嫌っているのかという、その思いを全く理解しようともせず、はっきりいって自民党内で首をすげ替え、表紙を変えて参院選に臨みたいなどと考える議員の言葉など聴きたくもない。
トランプ政権 日本のコメ関税”700%”発言 猛抗議が必要!
トランプ米政権のレビット大統領報道官が3月11日、記者会見で貿易相手国が高関税を設定している代表的な品目として「日本のコメの関税は700%もある」と名指しで批判した。このショッキングな数値を含めたニュースは全世界に配信された。
さて、この報道に日本政府はどう対応するのか?引用した数字は、国が一定量を無税で輸入する仕組みを考慮せず、関税率も10年以上前の古い水準をベースにしているとみられる。ただ、だからといって、林官房長官談話の「米国政府関係者の発言の逐一にコメントは差し控える」としたうえで、「米側と意思疎通を図りたい」などの軽い、そして”超甘い談話”だけで済ませる問題ではあるまい。
国益を守る立場に照らして言えば、間髪入れずに、きちんと「どの部分が、どう間違っていますよ」と指摘し、釈明を求めないと、それが誤解を受けた国としてあるべき、いや取るべき対応だ。
そうしなければ、報道がそのまま流布され、他国には事実のように受け止められてしまうことを肝に銘じておくべきではないか。それでなくとも、トランプ政権に共通したことだが、実態や経緯を十分に把握せず、強引に、間違った主張を繰り返す場面が多いことを忘れてはいけない。1報道官の単純ミスとか、当事者を更迭したくらいでは決して済まされない”重い”問題だ。