参院選で歴史的惨敗を記録した自民党。これで、昨年の衆院選、東京都議選、と合わせ3選挙連続で負けたことで、石破政権の退陣論が取り沙汰され始めている。
すでに自民党の最高顧問の麻生太郎氏が「もう続投は認めない」と周囲にもらしているほか、党内にも「今の石破体制ではやっていけない」の声が上がっていると伝えられる。また、地方の一部に「自民党はその役割を終えた」の声も。そして、一部に小泉進次郎氏や高市早苗氏らの後継候補者の声も口の端に上っているという。
しかし、今回の歴史的大敗はこれまでの選挙戦での敗北とは、少し意味合いが違うのではないかと思わせる。先進国の中でも自民党1党にこれだけ長い期間、政権を担わせる道を選択した日本人は世界でも珍しく、異例だ。半面、それは日本人の政治意識の低さでもある。
それをいいことに、自民党はその時の政権が失政や選挙で十分な支持を得られないときは、党総裁を変え、閣僚を入れ替え対応してきた。党総裁を変える=表紙を変えることで繋いできた自民党史=日本の政治史でもある。
ここで何より不幸なことは、この間、同党は本格的な政治課題や党改革に取り組むことなく、場当たり的に処理するケースがほとんどで、やり過ごしてきたことだ。そのことは同時に有権者の責任でもある。
今回の選挙では、溜まりに溜まった、こうした諸問題・諸課題が一気に噴出したということだろう。これまでの自民党政治に「NO」を突きつけたのだ。その意味では有権者は、麻生氏や党内の有力古参議員が声を上げて、その流れで人事が動き出すそのような、党のあり方そのものを嫌悪していることを強く認識すべきだ。
党を真に有権者に近い、あるいは有権者の意思を政策に反映できる組織体制とはなにかを考えるなら、自民党の今のすべてを変える覚悟が必要だ。表紙を変えるだけではもう通用しない。真の党の再生はそれなしにはあり得ないと知るべきだ。
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対ウクライナ戦争 ロシア軍で役割高まる北朝鮮の軍事支援
ロシアのウクライナ侵略戦争で北朝鮮の軍事支援による貢献、役割が急速に高まっている。北朝鮮による軍事支援は加速しており、ロシア・クルスク州に現在約1万5,000人の精鋭部隊が投入されている。また、軍事専門家によると現在戦火に投入されている砲弾の4割は北朝鮮製という。このほか、チェチュ砲と呼ばれる小回りが利き、自在な動きが可能な自走砲がロシアの主要戦力となりつつある。
北朝鮮兵士は、実戦を重ねる中で力をつけ、ロシア軍兵士よりはるかに優秀で、いまや機敏な動きと戦術でウクライナ軍のドローンを撃墜するなど、悩ませる存在となっている。
この結果、ロシア軍に占める北朝鮮兵士の存在や比重極めて大きくなっている。この点について、かつてプーチン政権を支えた軍事評論家は、「北朝鮮の支援なくしては、ロシアはウクライナとの戦争継続が難しくなっている」とまで証言する。
北朝鮮兵士の死傷者はすでに4,700人以上に上っている。それでも北朝鮮の軍事支援は強化・拡大の方向だ。今後、最大3万人の精鋭部隊を派遣する方針と伝えられる。
全国の恐怖の”クマ人身被害”に駆除を含めた抜本対策を!
全国各地でクマ(ツキノワグマ、ヒグマ)の人身被害が相次いでいる。環境省によると、2025年度の4〜6月までの人身被害件数は岩手や長野など13道府県で31件に上っている。それは7月に入っても続出。ほぼ連日、全国のどこかで被害者を生み出し、メディアを賑わすに至っている。その結果、傷ましい犠牲者も出ている。
これまでは山菜採りに山へ入って偶然、不運にもクマに出くわし事故に遭うケースが多かった。ところが、最近の人身事故は当事者が自宅で、或いは自宅周辺でクマに、襲われるケースが相次いでいる点で、事態は極めて深刻化している。クマが何の前触れもなく出没するエリアに居住する住民はまさに日々「恐怖」の連続だろう。もはや人命重視の立場から、動物愛護の範疇を超える徹底した対策を打つしか手がない。
全国各地で住民とクマとの居住域の間に、かつて存在した里山がなくなったことに大きな要因があるとはいえ、ここまでクマ被害が増大、拡大した以上、各地の自治体が猟友会メンバーとの連携で、駆除と、クマと人の居住域を空け、棲み分けを考える必要があるのではないか?今こそ、待ったなし、徹底した駆除を含めた抜本対策が求められる。
クマ(ツキノワグマ、ヒグマ)は全国34都道府県に恒常的に分布し、四国を除いたすべての地域で分布が拡大している。また、低標高域での分布の拡大は、クマが人の生活圏に近づいている。
中国 習近平独裁体制に陰り 制度面でも「非習近平化」へ
李克強首相の締め出し後、着々と進められていた習近平国家首席(中国共産党総書記)の独裁体制に陰りが出てきた。このほど党中央の調整機関運営に関する新しい規定の審議を行ったのだ。これは、調整機関を使った習主席の”個人独裁”志向に事実上の歯止めをかけるもので、集団指導体制への回帰を目指す動きとみられる。
中国ウォッチャーは、幹部人事に続き制度面でも「非習近平化」が始まった兆しとみている。これは、習氏1強体制のもとで進められた運営がうまく機能していないことが背景にある。
すなわち、習氏が任命した幹部人事で指名されたで人物たちの、汚職・賄賂など不明朗な実態が明らかになったことに加え、減速した経済が一向に回復の兆しが見えないためだ。その結果、建国の父、毛沢東を超え、終身「盤石」とみられていた習氏だが、今やかつての威信を失いつつあるとみられる。
米国の依存率低下へ 貿易のあり方の徹底的見直しを!
トランプ米政権の高関税政策の協議の中で、日本が国を挙げて徹底して取り組まねばならない課題が明らかになった。それは米国との付き合い方、とりわけ貿易相手国としての徹底的見直しだ。ずばり、可能な限りの米国の構成比率引き下げだ。脱米国、米国依存型貿易の脱却を推進することにかかっている。とても短兵急には進まないだろうが、あらゆる産業、業種は覚悟を決めて品目ごとに地道に市場の分散化、貿易相手国の多極化を図る以外に道はない。それが実現できてこそ、今後の米国の無理・難題の要求にも、「確かにこちらとしては打撃を受ける」が、受けて立つ形で堂々と「どうぞおやりください」との言い方ができるようになる。
日本の歴代政権には、トップ(首相)が変わっても日米同盟の固い結束がある限り、国際的なステージでは日本にはある程度のアドバンテージがあるものと思っていた。それが日本側の勝手な過信に過ぎなかったことが明白になった。そんなものは全く存在しないのだと。
確かにトランプ氏は米国の席代大統領とは全く異なる、異質の人物だ。頑迷な、人のいうことには一切耳を貸さない。何でもディールになぞらえて損得勘定で判断する。これ以上、厄介な人物はいないともいえる。しかし、日本を含めまだまだ合意に至っていない国・地域との関税協議が、どのような決着を見るのが未知数とはいえ、トランプ氏の一方的な”押し付け”と”脅し”を、挙(こぞ)って批判・抵抗もできず、世界の国々・地域の首脳が米国・トランプ氏の意向に沿って対応したことは動かし難い事実だ。これに味をしめた以上、これが先例となって今後も、少なくとも米国との貿易の枠組みは、米国の主導や意向に沿って動いていくことになろう。
一部にトランプ氏が任期を全うし退任すれば、また是正も可能ではないのかとの、根拠のない希望的観測を口にする向きもあるが、そんな安易な見方は徹底して排除すべきだ。トランプ氏に近い共和党保守層の政治家は、米国にとって格好の先例を作ってくれたとトランプ氏を称えているのだから。一旦、敷かれ直したレールは、そう簡単に元には戻らないと理解すべきだ。
”反米”色を払拭 トランプ氏の存在がBRICSの勢力拡大促す
ブラジルのリオデジャネイロで開かれていたBRICS首脳会議が7月7日閉幕した。BRICSはかつての”反米”色を薄めて、参加国を増やしており、今回はインドネシアも初めて参加した。
高関税政策を振りかざし、世界市場に”喧嘩腰”のトランプ政権を横目に、”覇権主義”陣営の中国・ロシアなど主要国が堂々と、皮肉にも「自由貿易の重要性を確認し」、グローバルサウス(新興・途上国)を取り込む狙いを明確にしている。
米国の歴代大統領が果たしてきた国際協調路線には敬意を表するが、トランプ大統領のありようはとても認められない。そうした評価が、偏りのあったBRICSを路線変更させ、勢力拡大を促した形だ。米国を盟主とする陣営に与しながら、トランプ氏には嫌悪感を抱き、表面上は懸命につくり笑顔で接しながら、不当な仕打ちを受け一線を超えれば、離反するのは当然の動きなのかも知れない。
今回のBRICS首脳会議の議長国ブラジルのルーラ大統領は7日、閉幕後の会見で、自信の表れか、「BRICSは世界の多国間主義を存続させるための枠組みになれる」と語っている。
トランプ氏の移民政策は米国の農業・サービス業の”障害”に
トランプ米大統領の極端な移民政策が、米国の農業・サービス業の大きな障害になってきた。トランプ氏は大統領就任以来、不法移民に対する摘発、強制送還を打ち出し、実施に移しているが、これにより農業や飲食業などその主要業務について移民依存率の高い業種では、すでに大きな被害が発生している。
移民を多くスタッフに抱える農場主は、「法的には問題がない移民従業員も敏感に反応、出てこなくなっている」という。そして、人手不足で「収穫できずに野菜など大量に腐る被害を受けている」と訴えている。また、移民従業員の依存率の高い飲食業でも「彼らが出てこなくなり、業務に就かなくなってから、本来やるべきサービスが行き届かず、開店休業状態にある」とぼやく声も少なくない。
移民スタッフを抱える事業者オーナーは、「彼らは日々、今日はもう帰ってこれないかも知れない」との「追い詰められた気持ちを抱え、トランプ氏の極端な移民政策に恐怖を抱いている」と、移民従業員の気持ちを代弁する。
これでは、農場経営者や飲食事業オーナーの経営の大きな妨げになっていると言わざるを得ない。米国第一主義を掲げながら、バイデン前政権との際立った違いを演出するあまり、これまで大過なくやってきた事業経営者を破綻の淵に追い詰めている。
強引な「力による平和」に”NO!” 法による平和を目指せ
いま軍備力を含めた力による侵略、場合によっては核をも含めた力による支配、そして圧倒的な力による、交渉を逸脱した、不公平極まりない国際間ルールの押し付けが横行している。ロシアのウクライナ侵略しかり、パレスチナ・ガザ地区におけるハマスとイスラエルの紛争、イスラエルとイランの戦争も、イランと米国の数日間のやり取りもそれに類すると言っていいだろう。
それらの主体者もしくは、その行動を担っているのはロシアのプーチン大統領だったり、イスラエルのネタニヤフ首相、そして米国のトランプ大統領だ。ウクライナ侵略戦争の仕掛人、プーチン大統領の極悪ぶりはもう語り尽くされているが、それに匹敵するくらいトランプ大統領の国内外で進めている施策の極悪・醜悪ぶりもひどく、目を覆うばかりだ。どうして世界を相手にしての高関税政策を含め、トランプ氏の強引な、そして我がまま勝手な横暴が許されるのか?これではとても民主主義国家とは言えまい。
G7、そしてNATO(北大西洋条約機構)いずれも米国の大きな役割を期待して、トランプ氏が一方的に求めるまま、防衛費の増額を決議した。忖度(そんたく)のレベルではない。EUも、トランプ氏がいうことはどれだけ無茶でも、息を潜めて暗黙的に了解する羽目に陥っている。ロシアや中国に対峙する際は、無茶振りを含めて、こちらの陣営に繋ぎとめトランプ氏に相手国を抑え込んでくれることを期待する余り、同氏に対しきちんとした批判ができなくなっているのだ。
グローバルな視点でいえば、法のもと、ルールに基づく地道な協議により紛争解決を図り、平和を目指すべきなのだが、いまや、それは筋論にすぎず、圧倒的な力による武力行使こそが雌雄を決するカギとなっている。本当に悲しいことだ。
「法の下の平等」、「法の支配」に基づく国際社会の実現を目指す一方で、「力による支配」、そしてそれは決して恒久的なものとは言えないが「力による平和」が厳然として存在する。嘆かわしい。人類の叡智はどこへいった?
四季に大きな変化 夏が半年間に それでも季節感は大事に!
日本の四季が大きく変わりつつある。地球温暖化の進行に伴い、かつての日本の最大の特徴でもあったその時、折々の季節感はどんどんなくなり、生活環境が激変しつつあるといってもいい。
アパレルメーカーなど、ものづくりの企画担当者などによると、もう日本にはかつての四季はなくなり、夏がおよそ6カ月間、冬が3カ間、春と秋がおよそ1カ月半といった区分になるという。温暖化、いや”温熱化”に伴い、夏が長くなり、その前後の春と秋が短くなってしまったというわけだ。冬と春、春と梅雨を挟んだ夏、秋と冬の境目なども明確にはなくなり、日本独特の季節の風情もなくなり、熱帯化している。アパレルに限らず、季節に関わりのある様々な職業・職種で否応なしに、対応の見直しが求められている。
このため、様々な風習・慣習などもこれまでのままの形では継承できなくなっている。ただ、だからといって決して旧習をすべて否定してしまってはいけないのではないか。全国各地には数百年も続く、〇〇祭をはじめ各種の四季のイベントがある。もちろん、熱中症や低体温症などから身を守るための措置は講じてのことだが、その時候に合わせて、やり方に工夫を加えて、実施し続けたいものだ。折々の季節感がなくなりつつあるからこそ、大事に遺していきたいものだ。それこそが、日本独自のものなのだから。
大屋根リングの木材再利用率8%, 限りある資源の活用を
万博会場のシンボル・大屋根リングについて、万博協会は6月23日、使用木材を再利用したいという需要は現時点で全体のおよそ8%にとどまっていることを明らかにした。使用されている木材、およそ2万7,000㎥のうち、確実に需要として見込まれるのが全体の8%にあたる2,200㎥にとどまる。
前回、大阪府吹田市で行われた1970年大阪万博の遺構として、今も残る岡本太郎氏製作の「太陽の塔」。これも当初は閉幕後、解体処分される予定だった。だが、1970年万博を代表するモニュメントとして残され、時代は移り、評価が大きく変わった。国の重要文化財に指定されている。
そこで、今回は大屋根リングだ。テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿った、今回の万博を想起させるリングの活用法はないのか。もっと、もっと、専門家を交えて、考えてもらいたいものだ。このままでは、「日本は限りある資源を何とムダにする国なのか」と揶揄、指弾されても返す言葉がない。
大屋根リングは、世界最大の木造建築物として国内外で高い評価を受けたが、同日の会議では全部を保存するには巨額の費用がかかるため見送られた。その結果、2025年大阪・関西万博の遺構として残すのは一部とすることになった。これにより、会場に残す部分を考慮しても、大屋根リングの80%前後は閉幕後、木材チップとなる見通しで、バイオマス発電の燃料などに使われる可能性が高いという。
大屋根リングを巡っては大阪府・市、万博協会、経済界が、リングの北東部分のおよそ200mを人が登れる形で会場に残す案、これが実現しない場合、南側のおよそ350mを展望台として会場に残す案が示されており、8月末までに協議する予定だ。