アイヌ民族の視点に立った歴史展示に 道が開拓記念館を改称

アイヌ民族の視点に立った歴史展示に 道が開拓記念館を改称
 北海道は2015年春、道立北海道開拓記念館を「北海道博物館」と改称し、開拓によって生活文化を奪われたアイヌ民族の視点に立った歴史展示を大幅に拡充する方針を固めた。道はこの計画を10月にも道議会で説明、改称は来春成立を目指す「北海道立博物館条例」(仮称)で正式に決定する。政府もアイヌの歴史、文化への正しい認識と理解を促進するための国立博物館を道内に建設予定で、来年度中に基本計画を策定する。
 札幌市厚別区にある開拓記念館は総合歴史博物館で、1971年に開館した。現在、アイヌの伝統的な衣装や住居などを展示しているが、先住民族の立場から見た歴史展示の充実が必要と判断。これまで詳しく触れていなかった開拓史の同化政策とともに、政府が1899年に制定した「北海道旧土人保護法」(1997年廃止)の内容についても展示する計画だ。
 保護法により、アイヌ語が禁止され、日本語や和人(アイヌ以外の日本人)ふうの生活習慣を身につけさせる特設学校が設置されたことや、狩猟などを禁じられ農業をすることを前提に与えられた土地が、狭く荒れていたことなど、事実として存在したアイヌ民族抑圧の歴史も忠実に表現される予定。