「新古今和歌集」に”幻”の一首 一旦収録、後に削除

 鶴見大学(横浜市鶴見区)が収蔵する「断簡」と呼ばれる写本の切れ端を集めた「古筆手鑑(こひつてかがみ)」から、三大和歌集の一つで鎌倉時代初期に編纂された「新古今和歌集」にいったん収録されながら、後に削除されたとみられる一首がこのほど見つかった。見つかったのは「さのみやはつれなかるべき春風に山田の氷うちとけねかし」という一首。早春に解ける氷のように打ち解けてほしいと相手に呼び掛ける恋の歌で、紫式部の夫の孫にあたる藤原隆方(1014~78年)の作品。
 古筆手鑑は同大が京都の古書業者から購入し、久保木秀夫准教授が発見した。800年以上も埋没していた一首とみられ、10月4~27日まで同大図書館で展示される。「新古今和歌集」は後鳥羽上皇の勅命で編集され、約2000首を収録。1205年に一度完成したが、その後も切り継ぎが行われ、30首前後が削除されたとされる。