古墳壊し敷地造成、藤原宮・大極殿院建設の痕跡

古墳壊し敷地造成、藤原宮・大極殿院建設の痕跡

奈良文化財研究所は11月6日、694年に造営された藤原宮跡(奈良県橿原市)の発掘調査でで、天皇が即位などの重要儀式を行う地区「大極殿院」から、古墳を囲んでいた周溝の跡や埴輪片が見つかったと発表した。当初あった古墳を壊し、敷地を造成したとみられる。大極殿院は東西約120㍍、南北約170㍍の区画で、中心に大極殿があり、内庭を挟んで南側に南門があった。石敷きの内庭の下の地層から古墳の周溝が見つかった。

周溝は幅約1.5~2㍍の弧状の溝で、形状などから古墳は直径約12~15㍍の円墳とみられる。円筒埴輪の一部や土器などが出土し、周辺から耳環や管玉など古墳の副葬品らしい遺物も見つかった。墳丘を削って平らにし、宮を造営したらしい。藤原宮跡ではこれまで、大極殿院の南側でも別の古墳の周溝の一部が見つかっている。たとえ古墳を壊すことになったとしても、大和三山に囲まれた景勝の地に宮を造営することが大切だったものとみられる。