「条ウル神古墳」は70㍍規模 被葬者は巨勢氏が有力
蘇我馬子の墓と有力視される石舞台古墳(奈良県明日香村)に匹敵する巨大横穴式石室が13年前に確認された奈良県御所市の「条(じょう)ウル神(かみ)古墳」(6世紀後半)が全長約70㍍の前方後円墳であることが分かった。同市教育委員会が3月27日発表した。これまで墳形や大きさが不明だった。また、被葬者は奈良盆地南西部を本拠し、ヤマト政権の一翼を担った有力豪族、巨勢氏の可能性が高いとみている。
土井晩翠がローマから薄田泣菫に宛てた書簡発見
岡山県倉敷市は3月27日、「荒城の月」の作詞者として知られる土井晩翠(1871~1952年)が、イタリアのローマから倉敷市出身の詩人、薄田泣菫(1877~1945年)に宛てた書簡が見つかったと発表した。これは1903年ごろ、2枚の絵はがきとスミレの押し花を封筒に入れ、晩翠が留学していたローマから送ったもの。
「未だ御目にかからず候へとも一筆御免被下度」と始まることから、まだ面識がなかったが、尊敬する薄田に手紙を書いたとみられる。スミレの花は薄田が愛読した英国を代表する詩人ジョン・キーツの詩集で詠まれており、薄田のペンネームにも使われた。晩翠はキーツの墓のそばに咲いていたスミレを押し花にして送っていた。薄田の子孫が倉敷市に寄贈した書簡類から見つかった。
与謝野鉄幹・晶子夫妻が薄田泣菫に宛てた書簡見つかる
岡山県倉敷市は3月27日、歌人の与謝野鉄幹(1873~1935年)、晶子(1878~1942年)夫妻が、詩人で随筆家の薄田泣菫(1877~1945年)に宛てた書簡46点が見つかったと発表した。鉄幹は雑誌『明星』の運営難を吐露し、晶子は恐縮しながら原稿料の送付を依頼するなどしており、当時の与謝野家の苦しい台所事情がうかがわれる。
同市出身の薄田泣菫は大阪毎日新聞社の学芸部長なども務めた。書簡の日付は夫妻が20歳代から40歳代だった1900年から19年で、泣菫の遺族から同市に寄贈された約1700点の資料の中にあった。晶子は1913年11月27日付で「心ぐるしき極み」としたうえで、「稿料をすこしご送附たまはらば」と催促。17年3月8日付には「金十七円(現在の約8万~13万円)をかはせでおおくり下さいまして ありがたく存じます」と綴っている。調査した加藤美奈子・就実短大准教授は「年齢の近い泣菫には、苦労も打ち明けやすかったのでは」とみている。
クロマグロ”産みの親”はサバ 東京海洋大学が新養殖技術
サバにマグロの稚魚を産ませる養殖技術にいま、大きな期待が集まっている。東京海洋大学の吉崎悟朗教授らが、クロマグロの卵と精子になる生殖細胞をサバに移植する実験に成功し、今夏にも産卵する見通しとなった。クロマグロは成魚になるまで5年かかり、親となる魚の維持・管理には100㌔㌘の巨体を支える巨大ないけすが必要となる。一方、サバの成魚は体重300㌘程度で小型の水槽で飼える。1年で産卵できる。スペースや水槽を管理する労力、維持にかかるコストの大幅な削減が見込める。
実現の要となるのが卵や精子になるおおもとの「精原細胞」だ。オスの精子をつくる生殖細胞だが、メスの腹に移植すると卵をつくることを発見した。採取したマグロの生殖細胞をサバの腹に注射すると、精子や卵をつくる生殖腺が出す物質に引き寄せられて、サバの生殖腺の中に入っていった。そのままサバの体で成長すれば、マグロの精子や卵ができる。
ただ、サバが自分の精子と卵をつくると、マグロのものと混ざってしまう。そこで温度を変えて染色体の数を増やす手法などで、生殖機能をなくす不妊化技術をサバに施し、移植したマグロの生殖細胞だけが生き残るようにした。こうした技術が実り、サバをマグロの代理親に使うところまで研究が発展した。