山本周五郎 未発表の未完小説の草稿見つかる

山本周五郎 未発表の未完小説の草稿見つかる

神奈川近代文学館によると、伊達騒動を独自の視点で描いた『樅(もみ)ノ木は残った』、『赤ひげ診療譚』、『五辯の椿』、『さぶ』などの作品で知られる作家、山本周五郎(1903~67年)が、生前に発表していない未完の小説「註文(ちゅうもん)の婿」の草稿が見つかった。
草稿は、200字詰め原稿用紙44枚に万年筆で書かれた、江戸が舞台のユーモア時代物。ストーリーは面倒な職務から逃れたい一心で、養子を迎え隠居しようと企てる藩の国家老の姿をユーモラスに描いている。
主人公が待望の余生を謳歌し始めるところで、意外なオチの予感を漂わせつつ、終わっている。評論家らは、この後を時間をかけて推敲(すいこう)し、書き込み仕上げる気持ちがあったのではないか―としている。市井に生きる庶民や名もなき流れ者などを主に描き、大衆小説作家といわれ幅広い読者層に支持されていた作家の、晩年まで自作の完成度を追求した、隠れた葛藤も伝わる貴重な資料だ。
この草稿は、9月30日に神奈川近代文学館(横浜市中区)で始まる「没後50年 山本周五郎展」で初公開される。