東大らのチーム 雑穀を食べていた特異な縄文人集団を発見

東京大学総合研究博物館の米田穣(よねだみのる)教授らの研究チームは10月13日、長野県小諸市七五三掛(しめかけ)遺跡で出土した人骨からコラーゲンを抽出し、放射性炭素年代を測定することで、15点中13点が縄文時代晩期末ごろの人骨であることを発見したと発表した。さらに炭素・窒素安定同位体比の特徴から、縄文時代晩期末の集団が渡来文化の一部である雑穀(アワ・キビ)を食べていたことも明らかにした。
縄文終末期に中部高地に伝来した渡来文化には、水田稲作だけではなく雑穀栽培が含まれていたが、これまではそれらの穀物を利用したのが縄文人だったのか、渡来人だったのか、また食生活における雑穀の重要性などの詳細は不明だった。
今回の研究成果で、雑穀は食生活の一部のみを占めることから、狩猟採集による伝統的な生活を継続しつつ、縄文人が渡来文化を主体的に受容した様相が示された。土器表面の圧痕研究ではイネ(籾)に加え、アワ、キビの雑穀種子も見つかっていることから、縄文人集団は中部高地の環境に適した雑穀を選択して生業に取り入れていたと考えられるという。