瀬戸内寂聴さん死去 99歳 文化勲章受章 自我に目覚める女性

女性の業を描いた小説や文学者・宗教者の評伝、「源氏物語」の現代語訳など幅広い作品で知られる作家で、文化勲章受章者の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが11月9日、心不全のため京都市内の病院で亡くなった。99歳だった。お別れの会を予定しているが、日取りなどは未定。
妻子ある不遇な作家との恋愛を題材とした自伝的小説「夏の終わり」で女流文学賞を受賞。自我に目覚める戦後の新しい女性の先駆者として幅広い人気を集めた。1973年に得度、法名・寂聴を名乗り、それまでの瀬戸内晴美から瀬戸内寂聴に変えた。京都に「寂庵(じゃくあん)」を構え、30年以上にわたり法話(月1回程度)を続けてきた。「性」と「老い」をテーマにした作品を著す一方、光源氏に焦点を当てた新しい視点で現代語訳「源氏物語」に取り組み、全10巻はミリオンセラーとなり、ブームとなった。