奈良文化財研究所の調査によると、広島県廿日市(はつかいち)市の冠(かんむり)遺跡で出土した石器が、約4万2,300年前の中期旧石器時代(約13万年〜約3万8,000年前)のものだったことが判明した。
この時代の日本に人類がいた痕跡は、遺跡や遺物の研究で確実にはなっておらず、今回の発見は人類が日本列島にたどり着いた時期を知る新たな手掛かりととして注目される。
冠遺跡の調査で、5層の石器含有層を確認。各層で見つかった木炭を放射性炭素(C14)年代測定で検査し、最上層部は2万8,200年前、最下層部は4万2,300年前のものだと分かった。最下層部から出土した石器は376点。先端を尖らせた尖頭器(長さ9.2cm)や幅の広い直線的な刃を持つクリーバー(同12.2cm)と呼ばれる石器は、中国など東アジアの中期旧石器時代の遺跡からも出土例があるという。