月別アーカイブ: 2013年10月

5億年前の節足動物の化石 CTで脳や神経の撮影に成功

 海洋研究開発機構や英国自然史博物館などの研究チームは、約5億年前のカンブリア紀の節足動物の化石をコンピューター断層撮影装置(CT)で観察し、ほぼ完全な形で残っていた脳や神経を撮影することに成功した。化石に神経が残っていることは極めて珍しいという。この節足動物は、その構造から現存するクモやサソリの近縁種と分かった。生物の進化の解明に役立つ成果とみられる。

初期人類2種は同系統の「ホモ・エレクトス」グルジア

 グルジア国立博物館のチームは10月18日付の米科学誌サイエンスに、約200万年前にアフリカにいたとされる初期人類ホモ・ハビリスとホモ・ルドルフェンシスが、同じホモ・エレクトスという系統に属するという研究結果を発表した。両者に近く、グルジアのドマニシ遺跡で発見された約180万年前の原人の化石と比較し、推定した。グルジアで見つかった頭部化石は5種類。そのうち完全な形で発掘された頭部化石を分析すると、小さな頭蓋容積や突き出たあご、大きな歯など、ハビルスやルドルフェンシスの特徴が混在しており、系統が近いことをうかがわせた。両者の系統が同一か別々かは専門家の間でも分かれており、論争に一石を投じそうだ。

「和食 日本人の伝統的な食文化」世界の文化遺産に?

 政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に提案した「和食 日本人の伝統的な食文化」について、事前審査を担うユネスコの補助機関は11月上旬にも新規登録の可否を勧告する。最終決着は12月上旬だが、仮に登録勧告なら、そのまま正式決定されるのが通例だ。新規登録を決めるユネスコの政府間委員会は12月2~7日、アゼルバイジャンのバクーで開かれる。
 政府は2012年3月、「四季や地理的多様性による新鮮な山海の幸」「自然の美しさを表した盛り付け」「正月や田植えなどとの密接な関係」などとアピールし、「和食 日本人の伝統的な食文化」の登録を提案した。ユネスコ側がこうした日本側の主張をどう評価するかが審査のポイントになる。無形文化遺産は「世界遺産」や「記憶遺産」と並ぶユネスコの遺産事業の一つ。

京都・北野天満宮の額の下書きを発見 後西天皇の筆

 京都の北野天満宮(京都市上京区)で、中門(重要文化財)に掛かっている額に記されている文字「天満宮」の下書きとみられる江戸時代の掛け軸が見つかり10月15日、報道陣に公開された。中門は別名三光門とも呼ばれる。掛け軸は縦110.6㌢、横52.4㌢。天満宮の字を第111代・後西(ごさい)天皇(在位1654~63年)が書いたことは分かっていたが、下書きは知られていなかった。

日イ初の合作ドラマ「愛してる」年末年始 両国で放映

日イ初の合作ドラマ「愛してる」年末年始 両国で放映
 インドネシア日本友好協会(PPIJ)は10月24日、日本・インドネシア国交樹立55周年を記念し、初の両国合作ドラマ「愛してる」を制作、年末年始にかけ両国で放映すると発表した。インドネシアのDNAプロダクションと日本のフジテレビが企画から撮影まで手掛ける。
 両国の人気俳優が出演し、1945年の終戦後、インドネシアに残留した祖父の足跡をたどりながら、両国の新世代同士が交流を深める友好ドラマになるとみられる。主演は南圭介さん、インドネシアの新進女優プリシア・ナスティオンさん。主人公は太平洋戦争当時、従軍記者として活動した後、インドネシアで行方不明となった祖父の足跡をたどるため、インドネシアへ取材にやってきたテレビ局記者の日本人。その主人公と、テレビ局の研修生で、日本語を学んでいるインドネシア人女子学生との交流をドラマの中心に据えている。すでにジャカルタや西ジャワ州ボゴールのプンチャックで撮影に入っているおり、11月初に東京と富士山で撮影が行われる予定。
 インドネシアでは民法コンパスTVで12月22日、日本ではフジテレビで2014年1月に放映する予定。 

12月の大会に先駆けインドネシアでコマ大戦・模擬大会

12月の大会に先駆けインドネシアでコマ大戦・模擬大会
 じゃかるた新聞によると、全日本製造業コマ大戦協会は12月21日ジャカルタで開催される、海外初となる日本・インドネシア企業による本大会に先駆け、10月23日インドネシアで「模擬大会」を開いた。これは、インドネシア金型工業会(IMDIA)が会員企業のインドネシア人技術者に、試行錯誤して良いものを作る姿勢を学んでほしいと協会に働きかけて実現した。コマ協会の緑川賢司会長がインドネシアを訪れ、東ジャカルタのダルマ・プルサダ大学の学生や会員企業から12人が参加して行われた。集まった約50人が見守る中、静かな”激戦”を制したのは、自動車部品インドカルロ・プルカサのリスキーさん。
 円錐形の台の上で直径2㌢以下の2つの回転するコマが対戦、当然先に止まった方が負け。コマは参加企業が自社の威信を懸けて製作したものだ。したがって、このコマ大会は自慢の自社技術をコマに盛り込み、アピールする”見本市”にもなっているというわけだ。この盤上の戦いでは、単に良いコマを作れば勝てるわけではない。投げ手の回す力はもちろん、相手コマとの重量関係によって回す方向を変えるなど駆け引きも重要なる。日本ではすでに2回、全国大会を開催。大手メディアがこぞって取り上げるほど盛り上がりをみせているという。

 

日本大使公邸で壮行会 プサントレン教師招へい事業

日本大使公邸で壮行会 プサントレン教師招へい事業
 在インドネシア日本大使館は10月19日、日本に派遣されるインドネシア人教師12人の壮行会を鹿取克章インドネシア日本大使公邸で開いた。これは、日本政府が毎年実施しているイスラム寄宿学校(プサントレン)の教師招へい事業。同視察団は20日に出発し来日、31日まで日本に滞在する。この間、ホームステイなども交えながら、日本の教育現場を視察し、日本人教師との意見交換会などが予定されている。

島根の神楽フェスに向け練習に熱こもるバリ舞踊家ら

島根の神楽フェスに向け練習に熱こもるバリ舞踊家ら
 島根県益田市の島根芸術文化センター主催で11月2~4日開催される「ワールド神楽フェスティバル」に出演する6人のインドネシア人と日本人のバリ舞踊家らが公演に向けて熱のこもった練習を重ねている。フェスティバルでは世界の神楽を紹介。日本、インドネシア・バリ、韓国、ブラジルから奉納の伝統芸能が披露される。
 バリからはインドネシア国立芸術大学の教授や、地元の舞踊家、芸術大に留学し舞踊を続ける日本人女性が参加する。演目は寺の一番奥で行う奉納の舞で、一般的に観光客が目にする機会がないものだという。例えば、初潮を迎える前の少女2人が、目をつぶり憑依(ひょうい)状態になって踊る演目だ。彼女たち自身が奉納物となる舞を、今回は芸術大のパルティニ教授らが踊る予定だ。

「新古今和歌集」に”幻”の一首 一旦収録、後に削除

 鶴見大学(横浜市鶴見区)が収蔵する「断簡」と呼ばれる写本の切れ端を集めた「古筆手鑑(こひつてかがみ)」から、三大和歌集の一つで鎌倉時代初期に編纂された「新古今和歌集」にいったん収録されながら、後に削除されたとみられる一首がこのほど見つかった。見つかったのは「さのみやはつれなかるべき春風に山田の氷うちとけねかし」という一首。早春に解ける氷のように打ち解けてほしいと相手に呼び掛ける恋の歌で、紫式部の夫の孫にあたる藤原隆方(1014~78年)の作品。
 古筆手鑑は同大が京都の古書業者から購入し、久保木秀夫准教授が発見した。800年以上も埋没していた一首とみられ、10月4~27日まで同大図書館で展示される。「新古今和歌集」は後鳥羽上皇の勅命で編集され、約2000首を収録。1205年に一度完成したが、その後も切り継ぎが行われ、30首前後が削除されたとされる。

7世紀の飛鳥の宮殿「飛鳥浄御原宮」復元を 明日香村

7世紀の飛鳥の宮殿「飛鳥浄御原宮」復元を 明日香村
 奈良県明日香村で、天武天皇、持統天皇の二代が営んだ7世紀のドラマチックな歴史の舞台となった飛鳥の宮殿「飛鳥浄御原宮(あすかきよみがはらのみや)」を復元しようという計画が進んでいる。同村には数多くの歴史遺産が、土の下に眠っている。そこで、宮殿の復元を端緒に「遺跡の可視化」を進め、観光振興や世界遺産登録に弾みをつけたい考えだ。ただ、計画の実現には学術的な検討や財源、景観問題など課題も多い。
 宮殿復元の背景にあるのは、ユネスコの世界遺産登録を目指す動きだ。同村などにある遺跡群は「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として2007年、暫定リスト入りした。ただ今年1月、ユネスコの諮問機関ICOMOS(イコモス)の担当者らが来村した際、もっと分かりやすく遺産の意義を説明できないか-と指摘されたためだ。
 だが、現状では復元へのハードルは高い。飛鳥時代の建物は残っておらず、宮殿がどのような建物だったのか、高さや装飾など不明な点が多いからだ。また、同村には景観保全のため、全域に厳しい規制が敷かれ、建物は高さ10㍍以下に制限されている。復元する宮殿の高さが10㍍を超す場合、規制の見直しが必要になる。莫大な費用の負担方法もメドがついていない。3年前に国が復元した平城宮大極殿(奈良市)は、当時の工法を再現する一方、土台の下に免震構造を組み込むなどし、総事業費は約180億円以上に上っている。