「アジア-国際交流」カテゴリーアーカイブ

ADB総会 米、対中融資の終了主張 中国反発 対立鮮明に

イタリア・ミラノで開かれているアジア開発銀行(ADB)の年次総会で5月5日、米国がADBの中国向け融資の終了を主張したのに対し、継続を訴える中国が強く反発し、米中の対立が鮮明になった。
米国は財務省のマーガレット・クーロウ次官補代理が「ADBの支援は開発途上国に重点を置くべきだ。所得水準が高い国は支援を卒業する必要がある」と強調。そのうえで「特に中国への具体的な措置が必要だ」と、名指しで対中融資の終了を訴えた。これに対し、中国の藍物安財務相は「根拠がなく、中国は卒業の基準を満たしていない」と反論した。
ADBの2024年12月末現在の融資残高は1,538億ドル(約22兆円)で、うち中国向けは181億ドルと1割以上を占めている。米国は日本と並ぶADBへの最大の出資国で、15.6%を出資。中国は日米に次ぐ6.4%を出資している。

BRICS 共同声明採択できず 中露主導の拡大路線が裏目

ブラジルのリオデジャネイロで開かれていたBRICSの外相会議は4月29日、2日間の日程を終え閉幕した。注目された共同声明は、2024年に加盟したエジプトとエチオピアが国連改革を巡る文言に反対し、採択に至らなかった。欧米への対抗姿勢を鮮明にし、中露主導で進めた加盟国の拡大路線が裏目に出た形だ。
会議には新規加盟国に加え「準加盟国」と位置付けられる「パートナー国」も初参加し、計20カ国の外相らが集結した。トランプ米政権の高関税政策も踏まえ、共同声明を出して結束をアピールする考えだった。最後まで溝が埋まらなかったのは、国連安全保障理事会の改革を巡る議論だった。また、議長国ブラジルは閉幕後、「不当で一方的な保護主義政策の台頭」に対して、「深い懸念」を表明する議長声明を発表した。

日本 大地震被害のミャンマーに9億円の緊急無償支援発表

日本政府は4月2日、ミャンマー中部を震源とする大地震に見舞われ、大きな被害が出た同国に600万ドル(約9億円)規模の緊急無償資金協力を給与する方針を発表した。国際機関を通じて実施する考え。
同国にはすでに緊急支援物資としてテントや防水シートなどは提供済みで、今後浄水器なども支援する方針。

「核なき世界への取り組み強化」採択 第3回締約国会議

米国・ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の第3回締約国会議は3月7日、「核なき世界への」取り組みを強化する」との宣言を採択し、閉幕した。宣言では、ロシアの脅威にさらされる欧州で、フランスの核抑止力を拡大する構想が浮上したことなどを念頭に、「軍縮・不拡散体制が弱体化し、核兵器使用の危険性が高まっている」と懸念を表明。核保有国による「核抑止は人類の生存を脅かすものだ」と訴えた。
今回の会合には、米国の「核の傘」に守られている日本に加え、過去2回一部の国がオブザーバー参加していたNATO(北大西洋条約機構)加盟国が参加せず、核抑止力を巡る各国の立場の違いが鮮明となった。

ウクライナ停戦巡り「有志国連合」形成 欧州首脳が方針

欧州各国の首脳が3月2日、ロンドンで会議を開き、停戦後のウクライナの平和維持部隊の派遣などを含めた「有志国連合」を形成する方針で一致した。会談後、スターマー英首相がその骨子を明らかにした。
会議では①ウクライナへの軍事支援の継続と対露経済制裁の強化②停戦協議へのウクライナの参加③停戦後のウクライナの国防力、侵攻抑止力の強化④ウクライナの平和を保証するための有志国連合の形成ーーなどで一致した。今後、欧州独自の停戦案を作成し、米国に提示する。

米・ウ首脳会談決裂 ウクライナ停戦実現は一気に不透明感

トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談は2月28日、米国・ホワイトハウス大統領執務室で行われた。ウクライナの鉱物資源の権益を巡る合意文書への署名と関係修復が目的だったが、両首脳はウクライナ侵略を続けるロシアとの対話を巡り、激しい口論を展開。ゼレンスキー氏は文書に署名せずにホワイトハウスを離れ、会談は決裂した。会談が物別れに終わったことで会談前とは一転、トランプ氏が目指すウクライナでの停戦実現は一気に不透明感が増した。

国連総会 米、露軍撤退決議に反対 ウクライナ・欧州と亀裂

国連安全保障理事会(15カ国)で2月24日、米国が提出した対ロシア非難を含まない「紛争終結」を求める決議が、10カ国の賛成多数で採択された。英国、フランスなど欧州5カ国が棄権した。国連総会ではロシア軍撤退を求める決議案に米国が反対した。ウクライナや欧州と、ロシアにすり寄る米国との亀裂が深まっている。

アラブ諸国がガザ復興に最大200億ドル拠出 独自案協議

エジプトのシシ大統領が2月19日、サウジアラビアの首都リヤドを訪問し、パレスチナ自治区ガザの復興計画を協議すると、ロイターがエジプトの治安当局筋の情報として報じた。協議ではアラブ諸国が最大で200億ドルを拠出する可能性があるという。
協議にはサウジアラビア、エジプトのほか、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールが出席し、3月4日にエジプト・カイロで開催されるアラブ首脳会議で発表する見込み。
今回の協議は、米国の管理下でガザを再開発し、パレスチナ人を移住させるとしたトランプ大統領案に対抗する狙いがあるとみられる。

ゼレンスキー氏「欧州軍」創設案を提起 ミュンヘン安保会議

ドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議でウクライナのゼレンスキー大統領は2月15日、欧州がロシアから領土を守るために「欧州軍」を創設する案を提起した。バンス副大統領が異例の、欧州との対立姿勢を明確にしたことを受け、米国が欧州の防衛に積極的に関与しない懸念が強まったためで、ゼレンスキー氏は欧州の安全保障面での自立が必要だと強調した。

ミュンヘン安保会議 米特使 ロシアにも”領土含めて”譲歩迫る

世界各国の首脳や閣僚が安全保障を巡り意見を交わすミュンヘン安全保障会議は2月15日、2日目の議論が行われた。ウクライナのゼレンスキー大統領が、米国のトランプ政権が戦闘の早期集結に向けて外交を活発化させていることを巡り、「ウクライナ抜きの交渉はあり得ない」との立場を改めて示した。また、トランプ政権のウクライナ特使を務めるケロッグ氏は「まず私たちは流血を止めなければいけない」とし、そのうえでロシアに対し、「掌握しているウクライナの領土も含め、譲歩を迫る」考えを示した。