「アジア-国際交流」カテゴリーアーカイブ

スリランカに円借款で整備された送電線網が完工

国際協力機構(JICA)は9月3日、スリランカ・ハバラナで、円借款で整備された送電線網の完工式を開いた。今回完成した送電線網は、スリランカ中部と西部の最大都市コロンボ近郊間の146kmを結び、送電書も整備した。総事業費は113億円。
日本政府が2024年7月に経済危機に陥ったスリランカへの円借款を再開して以降、工事が完了した円借款事業は初めて。当初は2017年に完成予定だった。
スリランカは2022年に事実上のデフォルト(債務不履行)を宣言し、日本は円借款を停止した。これにより、同国で進められていた計11件の円借款事業の工事の大半が中断していた。

プーチン氏”安全の保証”ロシアの安全犠牲に確保できず

ロシアのプーチン大統領は9月2日、訪問先の中国・北京でスロバキアのフィツォ首相との会談の中で停戦・和平に向け、ウクライナが求めている「安全の保証」に関連、言及した。プーチン氏は、ウクライナのEU(欧州連合)への加盟について反対したことはないが、NATO(北大西洋条約機構)については別だ」と述べ、NATOへの加盟は認めないとする従来の主張を繰り返した。
そのうえで、欧米側が健闘しているウクライナの安全の保証については「安全をどう確保するかはウクライナが決めることだが、それはロシアの安全を犠牲にして確保できるものではない」と述べ、8月のトランプ米大統領との首脳会談での成果だった発言内容を後退させた。
8月の米国アラスカ州アンカレジでの会談で、プーチン氏はウクライナの「安全の保証」実現に向けて、「NATOに類似したEUと米国の派遣・支援を容認した」とされていた。だが、今回の発言は大きく異なり、プーチン氏の心情が大きく揺れていることを窺わせるもので、これが本音なら8月のトランプ氏との首脳会談の成果はほぼ無になった。

欧米に対抗, 結束「上海協力機構」首脳会議閉幕 

中国とロシアが主導する「上海協力機構」の首脳会議は9月1日、開催地の中国・天津市の「天津宣言」を発表して閉幕した。宣言の中軸には、欧米主導の国際秩序、そしてトランプ米大統領による一方的な関税措置を念頭に、これに対抗し、結束をアピールするものとなった。
同会議には中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相など加盟10カ国はじめ、グローバルサウスのオブザーバー国を加えた20を超える国の首脳が参加した。
宣言ではテロ対策や安全保障、それにエネルギー分野での協力を強化するとし、「多国間の貿易体制を維持・強化し、一方的な強制措置に反対する」と強調している。

日・印首脳会談「経済安保イニシアチブ」創設

石破首相とインドのモディ首相との首脳会談は8月29日午後6時すぎからおよそ1時間半にわたり首相官邸で行われた。両首脳は半導体や重要鉱物、AI、医薬品などの分野での協力を強化するため「経済安全保障イニシアチブ」という新たな枠組みを創設することで合意した。
安全保障分野では2008年に署名した「共同宣言」を改定し、防衛協力の具体策を盛り込むことを確認した。経済分野ではインドに対し、今後10年を念頭に10兆円の民間投資を行う新たな目標を設定したほか、インドから日本への人材5万人を含め、今後5年間に双方向で50万人以上の交流を目指すことでも一致した。
会談の成果としての共同声明や環境、医療、地方自治体の交流などの分野で、今後10年の具体的な方向性を示す「共同ビジョン」など11の成果文書を取りまとめた。

東ティモール大統領 ASEAN加盟弾みに日本と連携強化

東ティモールの独立運動の指導者の一人として、ノーベル平和賞を受賞したことで知られるラモス・ホルタ大統領は訪日中の8月26日、同国が今年10月に正式にASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟するのを弾みに日本との経済連携を強化したいという考えを明らかにした。
同氏は海外からの投資が拡大することに期待を示し、とりわけ日本との協力関係を一層拡大させたいとしたうえで、「東ティモールの石油や天然ガスの開発をはじめ、観光や漁業などの分野で経済連携を強化したい」との意向を表明した。

日韓首脳会談「未来志向で安定的発展」で一致

石破首相は8月23日、就任後初めて日本を訪れた李在明(イ・ジェミョン)大統領と首脳会談を行い、両国の関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致した。政府は首脳による相互訪問「シャトル外交」を定着させるとともに、経済や人的交流など様々な分野で協力を進め、日韓関係をさらに強化したい考え。
また、北朝鮮の完全な非武装化に向け、日韓両国に加え米国を含む3カ国で緊密に連携して行くことを確認した。

TICAD9閉幕”横浜宣言”採択 アフリカ自由貿易圏支援

第9回アフリカ開発会議(TICAD9)は8月22日、日本とアフリカ連合(AU)加盟国による共同文書「横浜宣言」を採択して閉幕した。
共同議長を務めた石破首相は記者会見で「アフリカの未来への投資拡大や産業協力強化、人材育成に取り組む」と述べ、アフリカ域内で関税を撤廃する自由貿易圏を支援すると表明した。また、AIなどデジタル技術を活用した変革をともに進める。

横浜で第9回TICAD開幕 首相 AI分野で3万人育成

日本政府が主導する国際会議、第9回TICAD(ティカッド、アフリカ開発会議)が8月20日横浜で開幕した。会議は22日まで。
今回の基調ステートメントで石破首相は、人口の年齢の中央値が19歳のアフリカでは若者や女性の能力向上と、雇用の確保が成長のカギになるとして、今後3年間に産業や保健・医療、教育など幅広い分野で30万人の人材を育成、このうちAI分野で3万人を育成する方針を表明した。

ウクライナの「安全の保証」EUが提供, 米支援で合意

米国のホワイトハウスで8月18日、米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談および、EU(欧州連合)首脳を加えた協議が行われた。この結果、ウクライナが求めている「安全の保証」についてEUが提供、米国がこれを支援することで合意した。
これは、15日に米国アラスカ州アンカレジで行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談で、プーチン大統領がウクライナに対し、欧米がNATO(北大西洋条約機構)の集団防衛に類似した「安全の保証」を提供することを容認したことを受けたもの。