「アジア-国際交流」カテゴリーアーカイブ

G7とASEAN 中国念頭に海洋協力強化 外相会合閉幕

G7(主要7カ国)外相会合は12月12日、英国のリバプールで2日間の討議を終えて閉幕した。同会合には今回初めて、ASEAN加盟国がオンラインも交えて議論に参加した。議長を強めた英国のトラス外相は、G7単体とASEANとの2つの議長声明を発表。南シナ海で海洋進出を進める中国を念頭に、航行の自由の確保を含めた海洋協力を強化することを奨励した。ASEANとの声明では、中国が人工島の造成などで軍事拠点化を進める南シナ海における行動について「信頼と信用を傷つけ、同地域の平和・安全・安定を損ねる可能性がある」として、国際法に沿った南シナ海での行動の重要性を訴えた。

米大統領「民主主義サミット」開催 権威主義拡大に危機感

米国のバイデン大統領は12月9日、オンライン形式で2日間の日程で「民主主義サミット」を開いた。約110カ国・地域が参加した。冒頭の演説で中国とロシアを念頭に「権威主義者は世界で影響力拡大を図っている」と危機感を表明し、民主主義勢力の結束を呼び掛けた。そして、閉幕にあたり「民主主義の価値観は国際システムの中心にあると確信している。我々は、21世紀の発展の基準となるルールづくりに向けて連携して取り組む」と述べ、成果を強調した。

豊田通商 インドの「日本式ものづくり学校」第1期生卒業

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、豊田通商インディアの子会社TECHNO TENDS AUTO PARK(TAP)が、インド・グジャラート州マンダル日本企業専用工業団地のプラグアンドプレイ型工場内に、人材育成機関、ものづくり学校「TOYOTA TSUSHO NTTF TRANING CENTER(TNTC)」を開校して3年が経過。2021年11月20日に、3年間のディプロマ・コースを修了した第1期生の卒業式が執り行われた。
今回TNTCから巣立った第1期生の卒業生は27人。全員が就職を希望していたが、このうち15人(うち11人が日系企業)の就職が決定した。残りの12人は工場の立地、給与面などで語彙に至らなかった。TNTCは2019年以降、毎年1クラスずつ開講し、これまでに累計91人が11に企業でOJTを経験している。また、2021年8月に第4期生のクラスが開講している。
TNTCは2018年9月に開校、経済産業省より日本式ものづくり学校の認定を受けた。3年制のLearn&Earnプログラムのカリキュラムを通じて、インドの若者に日本式の労働倫理や技能を直接指導、製造現場の中核人材を育成することで、日本企業が集積するマンダル地域周辺の「ものづくり人材の不足」解消につなげていく。

スリランカ・コロンボへのケラニ河新橋が開通 円借款で整備

国際協力機構(JICA)はこのほど、スリランカ最大の都市コロンボへの玄関口となるケラニ河新橋が開通したと発表した。同新橋は日本の350億2,000万円の円借款により整備された。コロンボ市街地とコロンボ港、バンダラナイケ国際空港をつなぐ橋で、6車線の橋梁を新たに建設した。このため、交通渋滞の改善が期待される。

日越首脳会談 50年カーボンニュートラル実現に協力,関係深化

岸田文雄首相とベトナムのファン・ミン・チェン首相は11月24日に行われた首脳会談後、共同声明を発表した。ベトナム政府が掲げる2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、日本が協力していく内容を盛り込んだ。また、脱炭素化に向け、日本が主導して推進する「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を通じて、同国のエネルギー転換に向けたロードマップ(行程表)策定などを日本が全面的に支援していくことも表明した。
AETIは今年6月、梶山弘志経済産業相(当時)が日ASEAN(東南アジア諸国連合)エネルギー相特別会合で正式に提案し、脱炭素化に向けて資金・技術・人材協力などを行うとした支援の枠組み。両国は目標の達成に向けて、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出削減に向けて協力関係を深めていく。

JICA バングラデシュのインフラ整備などに2,922億円の円借款

国際協力機構(JICA)は11月24日、バングラデシュの首都ダッカで同国政府との間で、インフラ整備事業および新型コロナ対策の緊急支援の3事業に総額2,922億7,900万円を限度とする円借款貸付契約に調印したと発表した。
対象事業は①ダッカ都市交通整備事業(1号線)(第二期)に借款金額1,150億2,700万円②マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業(Ⅵ)に借款金額1,372億5,200万円③新型コロナウイルス感染症対策緊急支援(フェーズ2)に借款金額400億円。

日越防衛相会談 対中国、サイバー分野協力で連携

岸信夫防衛相は11月23日、ベトナムのファン・バン・ザン国防相と防衛省で会談した。最近の東・南シナ海情勢について意見交換し、軍事力を背景に海洋進出を強める中国を念頭に、「力による一方的な現状変更の試みに強く反対し、法の支配に基づく国際秩序維持」のため連携することを確認した。また、両国はサイバーセキュリティ分野での防衛協力を進める覚書に署名した。

11/24に都内で日本・ベトナム首脳会談 対中戦略で関係強化

岸田文雄首相は11月24日に都内でベトナムのファム・ミン・チン首相と会談する。国際介護の場を除くと対面で会談する初めての海外の首脳になる。東南アジア諸国連合(ASEAN)の対中戦略に関わる重要な国として関係を強化する。チン氏は22日に来日し、25日まで滞在する。両氏は11月初旬に英国で開かれたCOP26の際にも短時間、会談している。

林外相に中国から訪中要請 問題山積も当面静観の様相

林芳正外相は11月21日、中国の王毅国務委員兼外相と18日に電話協議した際、訪中の要請を受けたことを明らかにした。日程は現段階で決まっていないが、今後調整していくと説明している。政府内で訪中の可否や時期を検討する。外相の訪中が実現すれば、2019年12月以来となる。
日中間には中国による沖縄県・尖閣諸島での領海侵入や台湾への軍事的威圧など問題が山積している。2022年は日中国交正常化から50周年の節目にあたる。ただ1昨年来、先送りされている習近平国家主席の国賓待遇での来日に、岸田文雄首相が「日程調整する段階にない」ことを繰り返している。このほか、2022年2月の北京冬季五輪に、米国のバイデン大統領が中国の人権問題を理由に、政府高官らを派遣しない「外交ボイコット」の検討を表明しており、日本の同調を求める声が高まる可能性があり、当面静観せざるを得ないとの慎重論が支配的だ。