「アジア-産業」カテゴリーアーカイブ

トヨタ 26年3月期34%減益へ 米政権の関税・円高が影響

トヨタ自動車は5月8日、2026年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を発表した。世界販売は好調に推移すると見込むが、トランプ米政権の関税措置や円高が業績を押し下げる。その結果、最終利益は前期比34.9%減の3兆1,000億円になる見通しだ。
売上高にあたる営業収益は1.0%増の48兆5,000億円を見込む。ハイブリッド車(HV)の好調な売れ行きを背景に、世界販売台数は約13万台増の104万台としている。営業利益は20.8%減の3兆8,000億円と予想。

JA 備蓄米の卸業者への出荷まだ32% 政府 入札緩和検討

全国農業協同組合連合会(JA全農)は5月9日、政府備蓄米の流通を巡り3月に落札した19万9,270トンのうち、5月8日時点で32%にあたる6万3,266トンを卸売業者に出荷したと発表した。前週の5月1日時点の29%から3ポイント上がったが、いぜんとして68%は卸売業者には渡っていないのだ。全量を売り渡すのは7月以降になる見通しだ。
JA全農によると、卸売業者から出荷依頼を受けて小売店に届くまでには2〜3週間かかる。卸売業者が精米する処理能力に限りがあるためだ。
コメ価格の高騰が続き、備蓄米の流通が停滞する事態を受けて、政府はようやく入札に参加する業者の条件を緩和する方向で検討に入った。現状では放出した備蓄米と同じ量のコメを原則1年以内に買い戻す条件がついているが、この条件を緩めることで幅広い業者の参加を促し、備蓄米を広く行き渡らせたい考えだ。

三菱自 北米でEVに再参入 26年日産からOEM供給受け投入

三菱自動車(本社;東京都港区)は5月7日、北米市場で電気自動車(EV)販売に再参入すると発表した。日産自動車(本社:横浜市西区)からEV「リーフ」の新型をベースにした車両のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、2026年後半に投入する予定。
三菱自動車は、2011年から量産EV「アイ・ミーブ」を北米市場で展開していたが、2018年に販売を終了した。それ以降は北米での電動車は、強みとするプラグインハイブリッド車(PHV)に注力してきた。

関電 大阪・岬町の火力発電所跡地に「蓄電所」建設

関西電力(本社:大阪市北区)は5月7日、2001年に廃止した石油火力発電所、多奈川発電所(所在地:大阪府泉南郡岬町)の跡地に、大量の電気を貯めて、必要に応じて送電網に送る「多奈川蓄電所」を建設すると発表した。敷地面積は約2万㎡で、2025年6月にに着工、2028年2月の商業運転開始を目指す。定格出力99MW、定格容量396MWh、電池方式はリチウムイオン電池で、系統用蓄電所としては国内最大級。

公取委 都内15ホテルに警告 客室情報を共有 カルテルの疑い

公正取引員会は5月8日、東京都内の有名ホテル15社が毎月会合を開き、客室単価などの情報を共有していた行為が価格カルテルにつながる恐れがあるとして、独占禁止法違反の疑いで再発防止を求める警告を行った。価格つり上げなどの行為は確認されなかったが、各社で内部情報を交換していたことを問題視した。
対象となったのは帝国ホテル、オークラ東京、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、シェラトン都ホテル東京、第一ホテル東京、パレスホテル東京、ホテル椿山荘東京、ハイアットリージェンシー東京など15社。

塩野義 JTから1,600億円で医薬事業を買収 創薬力強化

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は5月7日、日本たばこ産業(JT)から医薬事業を買収すると発表した。JT傘下の鳥居薬品に対して株式公開買い付け(TOB)を実施するほか、JT本体の医薬事業と、米国の関連子会社も譲り受ける。買収額は総額約1,600億円。
塩野義は感染症の治療薬を得意とする。アレルギー疾患や皮膚疾患などの薬に強みを持つ鳥居薬品を買収することで、創薬力の強化や販売網の拡大を図る。JTは医薬事業から撤退し、本業に集中する。

PHV 製品ライン強化 EV販売停滞”つなぎ役”でなく売れ筋に

自動車の新車販売市場でプラグインハイブリッド車(PHV)の評価が高まっている。航続距離のへ不安や、先行する中国メーカー各社のグローバル市場への供給急増なども加わって、電気自動車(EV)の販売が伸び悩む中、電気とガソリンを併用できる利便性の高さが支持されているのだ。これまではEVが普及するまでの”つなぎ役”とみられていた。
富士経済の需要見通しでは2024年のEVの世界販売台数は前年比4%増の1,048万台にとどまった。これは充電設備の不足や航続距離への不安が主要因とみられる。これに対し、PHVは同約30%増の545万台と大きく伸びる見込みだ。
こうした需要予測をにらみメーカー各社はPHVのラインアップを強化している。トヨタ自動車、三菱自動車、マツダなど相次いで新型車を投入している。
PHVはEV大国、中国でも脚光を浴びる。BYDを筆頭に新車種を展開し、2024年の新車販売の伸び率は8割超と、2割以下のEVを大きく上回った。世界販売台数は中国勢が6割を占めた。4月23日から開かれていた世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」でもPHVの展示スペースが際立った。各社がテコ入れを急いでいるからだ。浙江吉利控股集団傘下EVブランド「Zeekr(ジーカー)」や、EV専業の小鵬汽車(シャオペン)が初めてPHVを投入することをそれぞれ明らかにしている。
PHVの最大の特徴は、給油に加えて、充電プラグをさせば外部からも充電できる点にある。EVは充電施設の少なさから”電欠”への不安がつきまとう。だが、PHVはその部分をガソリンで補いながら電気だけでも走れる。ハイブリッド車(HV)に比べ環境性能も高めた、いわば”いいとこ取り”な車だ。日常使いならモーターを主体に、遠出をする際はガソリンをメインに走るなど、動力を使い分けることが可能だ。
こうしてPHVは航続距離の長さが支持され、EVを上回る伸び率で成長が続く。今後は機能や価格を巡る競争も激化する見通しだ。

三菱自 鴻海傘下で開発, 生産EVをOEM供給受ける覚書

三菱自動車は5月7日、台湾の電子機器受託製造大手、鴻海精密工業から電気自動車(EV)の供給を受けると正式に発表した。鴻海の傘下企業で開発されたEVを、OEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けることで覚書を締結した。EVの開発を担うのは鴻華先進科技股份有限公司(以下、Foxtron=フォックストロン)で、台湾で生産するのは裕隆汽車製造股份有限公司(以下、裕隆汽車)。詳細な検討に入る。このEVはオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)地域で、2026年後半から販売開始する予定。
日本の自動車大手が、鴻海からEV供給を受けるのは初めて。

トランプ政権 海外制作映画に100%関税 制作コスト増も 

米国のトランプ政権は映画産業にも関税措置に動き出した。トランプ氏は5月4日、自身のSNSに「海外で制作された映画に100%の関税を課す」と投稿した。「ハリウッドをはじめ米国の多くの地域が壊滅的な打撃を受け、国家安全保障上の脅威だ」とし、商務省と通商代表部(USTR)に手続きを直ちに始めるよう命じたという。
ただ、ハリウッド映画の多くは海外で撮影されており、制作コストの大幅な上昇や市場の縮小につながる可能性がある。今回の措置、結局は国内の映画産業を保護するつもりが、反対に苦境に貶めることに繋がる恐れがある。

MUFGがネット銀行 26年度中に設立目指す 若年層囲い込み

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、インターネット専業の新銀行を設立する方針を決めた。米IT大手グーグルと連携して利便性を高め、2026年度中の設立を目指す。MUFGが100%出資する方向で、月内にも発表する。存在感を高めつつある既存のネット銀行に流れがちな若年層の囲い込みを図る。
新銀行は店舗を持たず、決済や預金などのサービスがスマートフォンで完結できる。コストを低減できる分、預金金利を高くしたり、振込手数料などを引き下げすることで、顧客満足度を高めることにつなげる。