「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

東大 鋭利な刺突具で突かれた縄文人の頭骨を発見

東京大学大学院研究グループは4月4日、1920年に岡山県で発掘された縄文人の頭骨に鋭利な刺突具で破壊的に孔をあけられた痕跡があることを発見したと発表した。この頭骨は縄文時代前期(約6,000年前)の成人女性のもので、額にある孔を肉眼観察とCTスキャンを用いて法医人類学的基準で診断したところ、利器の刺突(現代であれば銃撃を含む)によってできる典型的な形状を示していることが分かった。
この頭骨は岡山県倉敷市に所在する6,200〜5,200年前ごろ(縄文時代時代前期)の羽島貝塚から1920年に発掘、出土した。

月探査機「SLIM」再び休眠 4月下旬に再稼働めざす

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は4月1日、月面着陸している無人探査機「SLIM(スリム)」が3月30日未明に再び休眠状態に入ったとことを明らかにした。SLIMは2度目の月の夜を乗り越え、センサー類などの機能は失われつつある。月の過酷な環境に機体がどこまで耐えられるか調べるため、再び発電が見込める4月下旬に再稼働を試みる。月は2週間ごとに昼と夜が入れ替わる。昼の温度はセ氏110度、夜はマイナス170度にもなる。

棟方志功記念館 49年の歴史に幕 作品は青森県立美術館へ

青森市の棟方志功記念館が3月31日、来館者減少を理由に閉館し、49年の歴史に幕を下ろした。同記念館は世界的に知られる棟方志功の裸婦や菩薩の板画や油絵など約2,000作品を所蔵。棟方が亡くなった1975年に開館し、ピークの2003年度には約6万7,000人が来館したが、新型コロナウイルス禍の影響も加わり、2021年度は約6,400人まで落ち込んでいた。閉館により、棟方の作品は青森県立美術館に移され、7月から展示される予定。

月面探査機SLIM 極寒の夜を克服 2度目の再起動に成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月28日、日本初の月面着陸に成功した無人探査機「SLIM(スリム)」が再起動したことを明らかにした。27日夜、太陽電池で発電するスリムとの通信を確立し、着陸時に使ったカメラで周囲を撮影した。
月は2週間に1度、昼夜が入れ替わるため、昼の温度はセ氏110度、夜はマイナス170度にさらされる。夜の低温を耐えられない設計にしていたが、幸運にも2度も克服したことになる。JAXAではどこまで機体が機能できるか確認することで、今後の月探査機の開発に役立つとみている。

滋賀・大津市 坂本城跡の遺構 国の史跡指定めざし覚書

滋賀県大津市は3月21日、坂本城跡で新たに見つかった、戦国武将、明智光秀が築いた坂本城の三の丸の石垣や堀などの遺構について、国の史跡指定めざし、土地を所有する不動産会社と覚書を締結した。覚書では遺構の史跡指定に向けて①不動産会社は保存作業などのために、石垣などが見つかった土地を市が利用すること認める②史跡指定が決まった際には、市への土地売却について双方で競技することーなどが盛り込まれている。

西郷隆盛 直筆の書簡 滋賀県で確認 日本近代史の一級史料

滋賀県は3月22日、市民から寄せられた文化財に西郷隆盛直筆の書簡が含まれていたことが分かったと明らかにした。専門家の調査で確認された。書簡は長さ4.7m余りで、西南戦争が起きる5年前の明治5年、西郷が盟友、大久保利通に宛てて書いたもの。滋賀県の担当者は、当時の国内の政治情勢などを伝える貴重な、一級の資料だとしている。
大久保は当時、明治政府が欧米に派遣した岩倉具視を団長とする使節団の一員として米国に滞在中で、日本国内では西日本を中心に急激な改革に不満を抱く士族の動向が憂慮されていた。

奈良・平城京跡で聖武天皇即位時の「大嘗祭」の木簡出土

奈良文化財研究所は3月19日、奈良・平城京の一等地、「左京三条一坊ニ坪」の土坑(穴)から1,000点を超える木簡が出土し、「大嘗(だいじょう)分」と書かれた木簡3点が見つかったと発表した。大嘗と記された木簡が出土したのは初めて。これは神亀元(724)年11月23日、聖武天皇が即位した際の代替わり式「大嘗祭」関連とみられる。
木簡にはわらを編んだ苫や炭といった物資名や、差し出し元の郡名が記されていた。地域が分かる木簡の約7割が備中国(岡山県)だったが、他にも周防国(山口県)や安房国(千葉県)からの荷札もあった。「養老七年」(723年)や「神亀元年」(724年)の年号が記された木簡もあった。

兵庫・川西市の加茂遺跡で近畿で最大級の柱穴見つかる

兵庫県川西市は3月16日、近畿で弥生時代有数の大規模集落として知られる加茂遺跡(所在地:兵庫県川西市)で巨大な柱を据えた可能性がある穴(弥生中期後半、約2,000年前)が1基見つかったと発表した。穴は1辺約2mの方形と大きく、深さ約1.6m。想定される柱の直径は0.8〜1m。
専門家によると、柱は池上曽根遺跡(所在地:大阪)、唐古・鍵遺跡(所在地:奈良)などと比較しても近畿で最大級という。ただ、これが住居跡とは断定できず、物見櫓(やぐら)などの高楼施設やトーテムポールのような太い1本柱の可能性もあるとしている。周辺の詳細調査が待たれる。

奈良・富雄丸山古墳で木棺から銅鏡3枚 三角縁神獣鏡か

奈良市教育委員会は3月13日、同市の富雄丸山古墳(4世紀後半、円墳)で、送り出し部の未盗掘の割竹形木棺から銅鏡3枚が重なって見つかったと発表した。鏡はひび割れがあるが保存状態はよく、うち1枚は大和政権が配布したとされる三角縁神獣鏡の可能性が高いという。
木棺は全長約5.6m、内部を3区画に分けていた。頭側の幅70cm、足側幅64cm。市教委は「木棺の構造、造り方が分かる一級史料」としている。同古墳からはすでに、国内最大の蛇行剣と盾形銅鏡が出土している。