「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

奈良のシカは独自の遺伝子型 米国学会誌に発表 

福島大学や奈良教育大学などの研究チームは1月31日、奈良公園(所在地:奈良市)のシンボルで、神の使いとして古くから保護されてきた「奈良のシカ」が、独自の遺伝子型を保っているとの研究結果を、米国哺乳類学会の学会誌に発表した。2000年から紀伊半島(奈良、和歌山、三重、京都南部)に生息するニホンジカを対象に調査・分析した。計294頭から筋肉や血液のサンプルを採取し、母から子に遺伝するミトコンドリアDNAを解析。その結果、18種の遺伝子型を確認。このうち奈良のシカは、他地域のシカと近縁だったものの、独自の遺伝子を持つ1種だけであることが分かったという。

熊本城跡・敷地で「甲子年」銘文入り鉄刀出土

熊本市と熊本大学は、熊本城跡(所在地:熊本市中央区)の敷地から2022年4月出土した鉄刀を分析した結果、「甲子年」を含む6文字の象眼の銘文が見つかったと発表した。鉄刀は全長約55cm。6文字は「甲子年五□□」で、最後の2文字は「月中」とみられる。
古墳時代の横穴群付近で発見されたことや、鉄刀の装飾などの特徴から甲子年は西暦604年に製作したことを示す可能性が高いと判断されるとしている。銘文が入った古墳時代の刀剣は、これまでに埼玉、千葉、島根など7県7例が確認されている。

異例の剣と鏡出土の奈良・富雄丸山古墳にファン集結

前例のない盾形の銅鏡と蛇行剣が出土した、日本最大の円墳・富雄丸山古墳(所在地:奈良市、4世紀後半、直径109m)で1月28、29日、発掘現場が一般公開された。
蛇行剣と銅鏡は公開されなかったが、出土した場所に剣の模造品が置かれており、詰めかけた約1,400人の考古学ファンがじっくり見入っていた。ファンらは「古墳は想像以上の大きさ」とか「誰の墓だったのか気になる」などと被葬者に想いを馳せていた。
出土した剣と鏡は奈良県立橿原考古学研究所(所在地:奈良県橿原市)で保存処理中で、将来的には一般公開を検討している。

奈良「若草山焼き」3年ぶり通常開催 雪で広がらず

奈良市の若草山(標高342m)で1月28日、早春を告げる伝統行事「若草山焼き」が開催された。2021、2022年と新型コロナウイルス禍で山周辺の観覧者制限などがあり、今回は3年ぶりの通常開催となった。制限撤廃を待ちわびたかのように、約17万人が詰めかけた。
山焼きに先立ち約600発の花火が打ち上げられ、古都の夜空を彩った。ホラ貝とラッパの合図で消防団員らによって山肌に一斉に点火された。ところが、一斉に燃え広がるかと思いきや、今年は最強クラスの寒波襲に伴う雪の影響で、例年通りには燃え広がらず、燃えた範囲は全体の10分の1程度に留まった。

奈良・富雄丸山古墳から国内最高傑作の鏡と剣 出土

奈良市教育委員会と奈良県立橿原考古学研究所は1月25日、奈良市の日本最大の円墳、富雄丸山古墳(4世紀後半、直径109m)の造り出し部の粘土槨(ねんどかく、埋葬施設)から、前例のない盾形銅鏡と蛇行剣が見つかったと発表した。
盾形銅鏡は長さ約64cm、幅約31cm、蛇のように曲がった蛇行剣は長さ約2.3m、幅約60cm。いずれも国内で出土した青銅鏡、蛇行剣の中で最大。
橿原考古学研究所では「古墳時代の技術が想像以上だったことを示しており、同時代における金工品の最高傑作」としている。鏡は盾形で出土例がなく、「鏡、剣ともに古墳研究史上の画期的な発見」という。

岐阜・白川郷の合掌造り集落がライトアップ 開始

世界文化遺産に登録されている岐阜県白川村の白川郷で1月15日、合掌造り集落のライトアップが始まった。交通渋滞対策のため、集落の観光は予約制。眼下に集落を見渡せる展望台への入場も事前予約が必要で、1日900人に制限されているが、15日は写真撮影を楽しむ観光客の姿がみられた。
ライトアップは2月19日までの日曜日の午後5時半〜7時半に実施される。2021年は中止、2022年は1日のみの実施だった。

京都・三十三間堂で新春恒例の「弓の引き初め」

京都の国宝、三十三間堂(蓮華王院、所在地:京都市東山区)で1月15日、新春恒例の「弓の引き初め」が行われた。今年20歳になる振り袖に袴(はかま)姿の女性およそ50人が、年始めの夢や”想い”を胸に秘めて、屋外の射場で60m先にある直径1mの的に狙いを定め、次々と矢を放っていた。
弓の引き初めは、鎌倉時代から江戸時代に、弓の名人たちが腕前を競い合った「通し矢」が行われたことにちなみ、毎年この時期に弓道の全国大会が開かれている。この競技に先立ち行われているもの。

滋賀県 信長築城の「安土城天主」北側を初調査

滋賀県は新年度、織田信長が築いた安土城天主の、火災で倒壊したとされる北側を初めて発掘調査する。建築部材や金具、「しゃちほこ」などの発見が期待される。
安土城は信長が天下統一の拠点として、1576(天正4)年から3年の歳月をかけて築いたが、「本能寺の変」の後、中心部分が焼失し、その後、廃城となったため、全体が分からず”幻の城”といわれている。
滋賀県は築城450年にあたる2026年を目標に、AR(拡張現実)などの技術を使って、当時の城や城下町の姿などの復元を目指すプロジェクトを推進しており、この発掘調査もこの一環。

1位『坂の上の雲』司馬遼太郎生誕100年 ファン調査

数々の歴史小説や随筆、寄稿文などを著して、今年生誕100年となる司馬遼太郎。これにに合わせ東大阪市の司馬遼太郎記念財団がファンを対象に好きな作品を調査した。
とりわけ高い支持を集めたのが幕末、明治維新、日露戦争の激動・動乱期を時代背景とした作品群。なかでも『坂の上の雲』『竜馬がゆく』『燃えよ剣』の3作品だった。このほか、『花神』『関ケ原』『菜の花の沖』『街道をゆく』の多くのシリーズなども支持を集めた

南海トラフ地震発生後1週間 M8級連続発生確率高い

東北大学、京都大学、東京大学の研究チームは1月10日、南海トラフ沿いで巨大地震発生後、1週間以内に同規模、マグニチュード(M)8〜9級後発地震が起きる確率は約2%〜77%と、平時の約100〜3600倍に高まると英科学誌『Scientific Reports』に発表した。
研究チームは、100年超にわたる世界の地震統計データおよび過去の南海トラフ地震発生履歴を組み合わせ、南海トラフ地震が連続発生する確率を、先発地震からの経過時間ごとに算出した。