「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

奈良・平城宮跡資料館で木簡紹介 当時の食生活窺わせる

奈良市の平城宮跡資料館で、奈良時代の文字が書かれた木の板「木簡」を紹介する展示会が開かれている。「地下の正倉院展」と題されたこの展示会は、奈良文化財研究所が毎年この時期に開いているもの。
今年は当時の生活様式を窺わせる木簡など、国宝3点を含むおよそ50点が2回に分けて展示される。このうち、奈良時代に送検された奈良市の西大寺の井戸の跡で見つかった木簡には、寺の食事についてウリやナスなど野菜が中心だったことが記されている。ただ、同じ井戸の跡から当時、僧侶が食べてはしけないとされていたイワシやコイなどの骨が見つかったことも紹介され、木簡だけでは読み解けない当時の食生活を想像させる展示になっている。
この展示会は11月7日まで開かれている。

奈良・興福寺の五重塔 120年ぶり大規模修理を前に一般公開

奈良・興福寺の国宝、五重塔の一般公開が、2022年以降、120年ぶりの大規模修理を前に10月9日から始まった。今回の修理には10年ほどかかる見通しで、修理前の姿を見てもらおうと塔の内部、四方に安置されている仏像や心柱(しんばしら)を一般公開することになったもの。一般公開は11月23日までと、2022年3月1日から31日までの2回に分けて行われる。
興福寺の五重塔は、奈良時代に建立された後、焼失と再建を繰り返し、現在の塔は室町時代に建てられたものだが、傷みが激しくなっているため、来年以降、明治34年以来の大規模な修理が行われる。

秋の高山祭 神事のみ実施「屋台曳き揃え」は中止

岐阜県高山市の桜山八幡宮で10月9日、「秋の高山祭」の神事が行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため神事のみの実施となった。高山祭の見どころの、豪華絢爛な祭り屋台が勢揃いする「屋台曳き揃え」や、提灯(ちょうちん)を飾った屋台が練り歩く「宵祭」などは、昨年に続きすべて中止となった。
神事も規模を縮小し、マスクを着用し、関係者の人数を絞り込み実施された。舞を奉納した巫女もフェースシールドを着用していた。

奈良・正倉院で年に1度の「開封の儀」12/3まで実施

奈良市の正倉院で10月7日、年に1度、宝庫の扉を開ける「開封の儀」が執り行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年に続き関わる人数を減らして行われた。午前10時過ぎ、勅使らが手や口を清めた後、1列で宝庫の中に入った。宝物が納められる6つの部屋の扉にかかる麻縄を切って開封した。宮内庁によると、「閉封」の12月3日まで宝物の点検や調査が行われる。
開封の儀は、奈良時代の聖武天皇ゆかりの品や、シルクロードを経て大陸から伝わった歴史的宝物が数多く保管されている正倉院の年に1度行われる行事の一つ。

「岸和田だんじり祭」2年ぶり コロナ禍で観覧自粛要請

大阪府岸和田市の伝統行事「岸和田だんじり祭」が9月18日朝、始まった。コロナ禍で昨年は神事のみで事実上中止となり、2年ぶりに引き回しがあった。
ただ、コロナ感染防止対策として、規模を縮小し、外部からの観客を呼び込まない「無観客」での開催とした。だんじりの間隔を空け、引き回しの時間も短縮。市中心部の22町のうち、5町は参加を自重した。
台風14号の影響でまだ小雨が降る中だったが、南海電鉄岸和田駅前では、勢いよく走るだんじりが引き手とともに角を曲がる、迫力ある「やりまわし」が行われた。

現代日本人の祖先DNAに古墳人 遺伝的特徴がほぼ一致

金沢大学や鳥取大学などの国際研究チームは、日本人のルーツ研究、DNA解析し、大陸からの渡来が進んだ古墳時代になって古墳人が登場したことで、現代の日本人につながる祖先集団が初めて誕生したとの趣旨の論文を9月18日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。
石川県金沢市で見つかった約1,500年前の古墳時代の人骨のDNA解析から、縄文人や弥生人にはなく、現代日本人にみられる東アジア人特有の遺伝的な特徴が見つかったのだ。研究チームは、約9,000年前の縄文人や約1,500年前古墳人など計12体のDNAを解読。すでに解読済みの弥生人2体のデータなどと比較した。親から子に遺伝情報が受け継がれる際に生じるわずかな違いの痕跡から、どの集団が遺伝的に近いのかを調べた。

延暦寺焼き討ちから450年 信長と光秀の子孫も参列し法要

滋賀県大津市の比叡山延暦寺で9月12日、織田信長による元亀2年の延暦寺焼き討ちから450年にあたる記念の法要がが行われた。今回の法要は天台宗の開祖・最澄が亡くなって1,200年の節目と重なることから、延暦寺が織田信長と明智光秀の子孫を招き、初めて当事者が参列し、ともに犠牲者を悼んだ。これは、「相手を許すことで、恨みを無くす」という最澄の教えに基づくもの。
参列した信長の子孫、織田茂和さんと光秀の子孫で作家の明智憲三郎さんの2人は、僧侶がお経を読み上げる中、焼香した後、供養塔に手を合わせ深々と頭を下げ、犠牲者を悼んでいた。
延暦寺の水尾寂芳執行(しぎょう)は、「織田家、明智家が参加していただいたことで、非常に意義深い法要となった。多くの犠牲者が出た歴史の上に私たちが立っていることを考え、今日をきっかけに新しい関係をつくっていければ」と今後の交流を誓っていた。

渋沢栄一 新1万円札の印刷始まる 24年度から流通

肖像画に「近代日本経済の父」と呼ばれ、明治から昭和にかけて産業界をリードした渋沢栄一が描かれた、新しい1万円札の印刷が9月1日、始まった。2024年度から流通が始まる。
偽造防止のために20年ぶりに刷新された新札では、最先端の技術を用いたホログラムなどが使われているほか、額面の数字がこれまでより大きくなっているという。
五千円札には女子教育の先駆者とされ津田塾大学の創始者である津田梅子、千円札には破傷風の治療法を開発するなど「近代日本医学の父」といわれる北里柴三郎が採用され、いずれも2024年度の上半期から流通する予定。

京都「五山送り火」昨年に続き”火床”減らして実施

京都のお盆の伝統行事「五山送り火」は8月16日、急拡大中の新型コロナウイルスの感染を防ぐため、昨年に続き”火床”の数を減らして実施された。午後8時、左京区の大文字山から順次、点火が始まった。しかし、点火の場所が、昨年と同様、圧倒的に少ない。コロナ対策によるものだ。
例年は京都市を囲む5つの山々に、「大」や「船形」などの文字や形が炎で描かれるが、昨年と同様今年も”密”を避けるため、火床の数を大幅に減らし、規模を縮小して行われた。「大」の文字はそれぞれの端と、中心の合わせて6カ所だけに火がともされた。
五山送り火はお盆に迎えた先祖の霊を送る、300年以上の歴史があるとされる行事。こうした形でも「実施できてよかった」と関係者はじめ、見ていた人も話していた。

終戦76年 310万人の戦没者を慰霊 武道館で追悼式典

終戦から76年を経過した8月15日、天皇皇后両陛下を迎え、東京・日本武道館でおよそ310万人の戦没者を慰霊する全国戦没者追悼式が行われた。今年は新型コロナウイルスの「災害級」の感染急拡大中とあって、22の府県の遺族代表が参列を断念し、参列者数は185人とこれまでで最も少なくなった。
天皇陛下は「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べられた。