「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

中国で出土の頭骨は約15万年前の絶滅人類

中国科学院や大英自然史博物館などの研究チームは、中国東北部(旧満州ハルビン)の工事現場で見つかった頭骨の化石が、約15万年前の絶滅人類だとする研究成果を発表した。
現生人類(ホモ・サピエンス)に近縁の「旧人」とみられ、2010年に古代DNAの分析から発見された謎の絶滅人類、デニソワ人である可能性もあるという。研究チームは頭骨の主を「ドラゴンマン」と名付けた。推定される脳のサイズは現代人並みで、臼歯はシベリアで見つかったデニソワ人の歯と同じ大きさだった。

京大 有人宇宙学研究センター 人類の宇宙生活見据え

京都大学は6月22日、将来人類が宇宙で生活することを見据えて、惑星への移住に必要な技術を研究する「有人宇宙学研究センター」を設立したと発表した。同センターは、京都大学大学院の総合生存学館が中心になって立ち上げ、宇宙飛行士で京都大学特定教授の土井隆雄さんや、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究者など9人がメンバーとなっている。
同日、設立の会見で、土井さんは①火星への移住を想定して大気の多くが二酸化炭素(CO2)で、気圧が地球の100分の1しかない火星に近い環境で樹木を育てること②宇宙環境に配慮し、木材を用いた人工衛星の開発を行うことなどを紹介した。
同センターでは①惑星で暮らすことを想定した居住空間のデザイン②宇宙放射線による被ばくリスクやその低減-など5つの分野において研究を進めるとしている。

沖縄「慰霊の日」20万の御霊に平和への誓い新た

沖縄は6月23日、太平洋戦争末期の沖縄戦などの犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた。76年前、約3カ月にわたる日米両軍の激しい地上戦によって、戦闘に巻き込まれた住民を含め約20万人が命を落とした。
最後の激戦地だった沖縄県糸満市魔文仁(まぶに)の平和公園にある「平和の礎(いしじ)」には早朝から遺族らが訪れ、犠牲となった家族や友人らの名前が刻まれた石碑の前で、先人の苦しみに思いをい馳せ、手を合わせ平和への誓いを新たにした。

飯盛城跡を国史跡に 三好政権の中枢として機能

国の文化審議会は6月18日、大東市北条と四条畷市南野にまたがる飯盛城跡を新たに国の史跡に指定するよう、文部科学相に答申した。指定されれば大阪府内の国史跡は68件となる。
府教委によると、飯盛城は戦国時代の武将、木沢長政が1530年ごろに築き、居城にしたとされる。飯盛山の山頂に位置し、土塁なども含めた城域は南北約700m、東西約400mと西日本有数の広さを持つ。
1560年には畿内を支配し、近年、織田信長に先駆けた”天下人”と評される武将、三好長慶(みよしながよし)が入城。政権の中枢として飯盛城は機能していたとみられている。

広島で旧陸軍の大規模な軍事施設遺構 原爆で壊滅

広島市中心部のサッカースタジアム建設予定地で市が進めている発掘調査で、旧陸軍の大規模な軍事施設遺構が見つかった。1945年8月6日の原爆投下で壊滅した「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊(輜重隊)」の跡とみられる。
スタジアムはサッカーJ1、サンフレッチェ広島の新たな本拠地として、広島城西側の中央公園広場(所在地:広島市中区)に建設される。2022年1月に着工予定で、2024年のオープンを目指している。
遺構は地表から1m以上の深さにあり、厩舎とみられる建物の基礎や石畳、水路などの跡が確認された。輜重隊の兵舎や厩舎などが建ち並んでいたが、原爆投下で壊滅的な被害を受けた。戦後は跡地に盛り土をするなどし、原爆で家を失った市民のための簡易住宅が急遽建てられた。
今回見つかった遺構は、発掘された被爆遺構遺構では最大級となる可能性がある。

祇園祭 18基の「山鉾建て」のみ 技術と行事の伝承のため

京都・八坂神社(所在地:京都市東山区)と山鉾連合会は6月17日、通常7月1カ月にわたって行われる祇園祭の概要について発表した。
ハイライトの「山鉾巡行は」すでに発表されている通り、今年も中止されるが、山鉾全34基のうち18基の「山鉾建て」のみ実施することになった。この点について、「今年の祭りは見ていただくためではなく、山や鉾の点検や装飾品の虫干しなども含めた技術と行事の伝承のために行うものなので、行事の観覧は極力控えていただきたい」と呼び掛けている。

東北大など 弥生時代の争いの主要原因は人口圧と解明

東北大学、岡山大学、南山大学、国立歴史民俗博物館の研究チームは6月15日、弥生時代、北部九州で広くみられる甕棺(かめかん)と呼ばれる墓の数から推定された人口圧と、骨に残された傷から推定された争いの頻度の関係を、統計的に考察した結果、同時代の争いの原因について、人口圧が重要な一つの要因であると解明したと発表した。人口圧とは、生活を支える経済活動に対して、人口が過剰となることで人々が感じるストレス。
研究チームは、弥生時代中期(紀元前350~紀元30年)に北九州で起こった争いの原因を考察。人口圧が高くなれば争いの頻度が増加するという傾向がみられた。このことから人口圧が争いを増加させる要因であったと考えられると結論付けた。

南海トラフ地震 次は前回発生時から300年余経過の宝永型?

政府・地震調査委員会委員で産業技術総合研究所名誉リサーチャーの岡村行信氏が5月31日、日本地球惑星科学連合大会で南海トラフ巨大地震を巡り、興味深い発表を行った。この中で、岡村氏は、次に起こる南海トラフ巨大地震は江戸時代の1707年に起きた宝永地震と同じタイプになる可能性があるとの研究結果を発表した。
宝永地震は、紀伊半島付近で震源断層の破壊が始まり、静岡-高知沖の広範囲が震源域となった。その規模は史上最大のマグニチュード(M)8.6とされる超巨大地震。岡村氏は過去の南海トラフ巨大地震について宝永地震と幕末の1854年に起きた安政地震(東海、南海地震)の2タイプがあると指摘。宝永型は紀伊半島の地下、安政型は静岡、長野県境にあたる赤石山脈付近の地下からそれぞれ破壊が始まるとしている。
684年間以降、この2タイプの巨大地震は、宝永型が887年の仁和地震、1361年の正平地震、1707年の宝永地震、安政型が684年の白鳳地震、1096年の永長地震、1498年の明応地震、1854年の安政地震と、ほぼ交互に発生してきており、痕跡を残した津波により宝永型か安政型かを分類できる可能性があるとしている。そのうえで、2タイプがどの程度の間隔で起きているかを分析。前回の1707年から300年以上(314年)経過している宝永型になる可能性があるとした。果たして?

最澄の1,200回忌 比叡山延暦寺で法要 コロナで規模縮小

天台宗の開祖・最澄(767~822年)の1,200回忌となる6月4日、遺徳をしのぶ「伝教大師一千二百年大遠忌御祥当(だいおんきごしょうとう)法要」が比叡山延暦寺(所在地:滋賀県大津市)で営まれた。第257世天台座主の森川宏映大僧正が大導師を務め、僧侶約20人が臨んだ。
最澄が供えたとされる灯明「不滅の法灯」が根本中堂から分灯され、雨の中を大講堂に運ばれた。法要を仏に報告する「法則(ほっそく)」で、森川天台座主は新型コロナウイルス感染拡大に触れ「大師の教えを守り、多くの人が健やかであることを祈る」との趣旨を述べた。法要は、感染予防のため規模を縮小して行われた。