月別アーカイブ: 2013年6月

邦人ボランティア団体が養護施設で廃紙利用の講習会

邦人ボランティア団体が養護施設で廃紙利用の講習会
 邦人ボランティア団体・J2ネットは6月5日、西ジャワ州ブカシ市にあるストリートチルドレンの養護施設「カンプス・ディアコネイア・モデルン(KPM)」で、段ボール再生紙制作と廃紙を使った手芸技術のワークショップを開いた。同施設の子供約20人が参加した。廃紙利用の技術を指導し、今後の販売用作品の制作に生かしてもらうことが狙い。
 古段ボールを使った再生紙制作では、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊員の田島亜希子さんが指導し、封筒やノートなどを制作した。田島さんは3月に、南スマトラ州パレンバン市で芸術家の儀間朝龍(ぎま・ともたつ)さんを招いた講習会を企画・開催している。その経緯をJ2ネットが知り、今回の講習会が実現した。

群馬の遺跡で古墳、建物跡、多数の土器を発見

群馬の遺跡で古墳、建物跡、多数の土器を発見
 群馬県埋蔵文化財調査事業団は6月1日、6世紀の初め(古墳時代)の鉄製のよろいを着けた男性の骨が見つかった同県渋川市の金井東裏遺跡で、新たに古墳や建物跡、多数の土器が見つかったと県の調査検討委員会で報告した。古墳は男性の人骨があった場所の北側で見つかり、直径約15㍍、高さ約2.5㍍の円形。埋葬されていた人物などについては今後調べる。建物跡は2棟で、かまどがあり住居とみられる。近くに畑の形跡も残っていた。

吹田市・五反島遺跡で「和同開珎」18枚が出土

吹田市・五反島遺跡で「和同開珎」18枚が出土
 吹田市教育委員会は同市南吹田の五反島遺跡で8世紀に使われた日本最古の流通貨幣「和同開珎」18枚が出土したと発表した。同市内では7世紀後半から8世紀の遺物がまとまって出土した事例がほとんどなく、同市教委では空白の歴史の解明につながる可能性のある貴重な発見としている。
 和同開珎に続いて鋳造された万年通宝(8世紀)や神功開宝(同)も1枚ずつ見つかり、ほぼ同時代の瓦が大量に出土した。貨幣を使う人や瓦を葺いた建物は当時限られており、同市教委は周辺に寺院などの施設が存在した可能性があるとみている。

最古の霊長類か 中国で5500万年前の地層から化石発見

最古の霊長類か 中国で5500万年前の地層から化石発見
 中国科学院や米国などのチームは、中国湖北省の約5500万年前の地層から、メガネザルの仲間とみられる最古の霊長類の化石を見つけたと6月6日付の英科学誌ネイチャーに発表する。胴の長さは約7㌢、体重は推定20~30㌘と小型で、約13㌢の長い尾を持っていた。これまで最古だったドイツや米国の霊長類化石を約700万年遡る。チームは、現代の人類や類人猿につながる進化が、どのように起きたのか知る手掛かりになるだろうとしている。化石が見つかったのは、長江流域にあった古代の湖底とみられる地層。

マンモスの血液か ロシアの博物館が北極圏で発見

マンモスの血液か ロシアの博物館が北極圏で発見
 ロシア東シベリア・サハ共和国の首都ヤクーツクにあるマンモス博物館は、同共和国北部の北極圏の島で今年5月、凍結状態で見つかったマンモスの死骸から、凍っていない血液とみられる液体を採取したと発表した。サハ共和国ではこれまでに永久凍土で多数のマンモスが見つかり、骨髄や赤みを帯びた筋肉片なども採取されているが、凍結していない血液が採取されたとすれば極めて異例のことだ。見つかったのは、歯の状態から50~60歳の雌マンモス。1万~1万5000年前にの死んだとみられるが、肉が赤みを帯びるなど保存状態がよく、約3㍉㍑の血液とみられる黒ずんだ液体も採取した。

歌舞伎座の復元に巨大図面が一役 明治からの伝統継承

歌舞伎座の復元に巨大図面が一役 明治からの伝統継承
 1889年に開場し、今春立て替えられた東京・銀座の”五代目”歌舞伎座。ファンから「前と変わらないね」といわれる、明治から継承する伝統的な外観の復元には、実は福井県の宮大工棟梁(とうりょう)、山本信幸さん(55)がつくった実物と同じ寸法の巨大な設計図「現寸図」が活用されていた。現寸図は通常の設計図より具体化し、各部位を実物大で描いた巨大な図面。建築物の各部位を詳細に確認でき、社寺の細かな装飾の設計に用いられてきた。
 山本さんは実物の瓦や5000枚以上の写真などを使い、歴代の歌舞伎座を計測。そのデータを基にコンピューターによる設計(CAD)を駆使し、約5カ月で新たな歌舞伎座の図面を作製した。福井県内の鉄工所跡に、現寸図を使った作業をする約180平方㍍の「現寸場」を設置。CADが作製した図面を分割してプリントし、床にびっしりと並べ、瓦や軒の形状、天井の勾配、装飾と壁の隙間など、より精確に、歌舞伎座の伝統的な外観を復元したのだ。その作業量は、一般的な寺院の本堂5棟分だったという。
 山本さんにはこれまで、首里城正殿(沖縄県)や五稜郭の箱館奉行所(北海道)などの復元に携わった経験があった。こうした実績を踏まえ、2010年、大手ゼネコンから今回の歌舞伎座の復元依頼が舞い込んだ。

没後1250年を記念し、平成の鑑真像に入魂 唐招提寺

没後1250年を記念し、平成の鑑真像に入魂 唐招提寺
 奈良市の唐招提寺で6月5日、日本に戒律を伝え同寺を創建した鑑真の没後1250年を記念し、国宝・鑑真和上坐像の「お身代わり」として制作された像に魂を入れる開眼法要が営まれ、約1000人の参列者が儀式を見守った。像は輿(こし)に乗せられ、雅楽奏者や僧侶らに先導されて、南大門から法要が行われる講堂まで運ばれた。開眼の儀では、同寺の石田長老が大きな筆を手に、像に眼を描く所作を行った。
 この像は美術院国宝修理所(京都市)で、2010年から3年近くかけて、国宝像と同じ技法で制作された。6月7日から境内の開山堂で一般公開される。

「音楽の父」バッハ筆写の楽譜発見 カトリックのミサ曲

「音楽の父」バッハ筆写の楽譜発見 カトリックのミサ曲
 「音楽の父」と呼ばれるドイツの音楽家、バッハ(1685~1750年)が筆写した楽譜が新たに見つかった。バッハ資料財団が6月6日発表した。カトリックのミサ曲を書き写したもので、プロテスタントのバッハが、カトリックの教会音楽の影響を強く受けていたことを示す貴重な資料という。バッハが筆写したのは、イタリアの作曲家フランチェスコ・ガスパリーニの「ミサ・カノニカ」。

キトラ古墳・石室を8月に期間限定で初公開 文化庁

キトラ古墳・石室を8月に期間限定で初公開 文化庁
 文化庁は6月6日、壁画発見から30年を迎える奈良県明日香村のキトラ古墳(7世紀末~8世紀初め)について、8月に期間限定で石室を初めて一般公開すると発表した。公開は8月18~25日の午前9時~午後5時。7月中~下旬に公募する予定。

八角形で5段構造 宮内庁が「野口王墓古墳」の復元案

八角形で5段構造 宮内庁が「野口王墓古墳」の復元案
 宮内庁は5月24日、天武・持統両天皇の合葬陵として管理する奈良県明日香村の野口王墓(のぐちおうのはか)古墳について、7世紀の天皇陵に特有とされる八角形で、5段構造だったとする詳細な復元案を初めて公表した。根拠となる発掘時の写真なども公表。同古墳は古墳時代終末期を代表するひとつだが、陵墓は宮内庁が管理し、一般の立ち入りを原則禁じ、実地調査に基づく詳しい情報をこれまでほとんど公表していなかった。
 同庁の復元案では、墳形は最下段の一辺が約15㍍、対角辺約40㍍、正八角形。高さは約7.7㍍。表面は切り石で覆われ、5段構造の最上段は高さ約3㍍と他の段より高く、仏塔のような形だったと推定している。この復元案などは明日香村教育委員会が5月25日に発売する「牽牛子塚(けんごしづか)古墳発掘調査報告書」に収録される。
大王墓は6世紀までは前方後円墳だったが、7世紀に即位した舒明天皇(天武天皇の父)から八角形になったとされる。舒明天皇陵とされる段ノ塚古墳(奈良県桜井市)や天智天皇(天武天皇の兄)陵とされる御廟野古墳(京都市)は墳丘の八角形部分が2段で、大型で色の異なる岩が使われている。