月別アーカイブ: 2013年11月

熊谷直実ゆかりの「鎧掛けの松」枯死 京都金戒光明寺

 京都市左京区の浄土宗の大本山、金戒光明寺で平安~鎌倉時代の武将、熊谷直実(1141~1207年)ゆかりの「鎧掛けの松」として知られるクロマツが枯死した。同寺によると、樹齢200年以上とみられ、枯死の詳しい原因は不明。寺では2014年3月ごろまでに境内の別のクロマツを同じ場所に移植する予定だ。「鎧掛けの松」は御影堂近くにあり、高さ6.6㍍、枝張り16.6㍍。今回枯死したクロマツは、寺伝などから「2代目」とされる。2003年、京都市が美観に優れた樹木を指定する「保存樹」に選ばれていた。
 熊谷直実は平安時代末期の源平争乱時、源氏方の武将として「一の谷の戦い」(1184年)などで活躍。若き平敦盛との一騎打ちが平家物語の題材となり、歌舞伎や能にも登場する。世の無常を感じて浄土宗の開祖、法然上人を訪ね、教えを聞いて出家した際、身につけていた鎧をクロマツに掛けたとの伝承がある。

江戸期の小石川後楽園の絵図発見 水戸市徳川ミュージアム

 水戸藩主・徳川光圀が江戸時代前期に完成させた「小石川後楽園」(東京都文京区)の絵図が水戸市の徳川ミュージアムで新たに見つかり、11月1日、報道陣に公開された。光圀は中国・明代の儒学者、朱舜水の意見を取り入れ、円月橋など主要施設をつくった。江戸時代の絵図は数点しか見つかっていない。今回見つかった絵図は江戸後期の作とみられる。中国風の円月橋や満開の桜などが色鮮やかに描かれている。

豪州で歯を持つ巨大カモノハシの化石見つかる

 オーストラリアのニューサウスウェールズ大のチームは11月4日、クイーンズランド州で体長が現存種の2倍の約1㍍に達し、大きな歯を持つカモノハシの仲間の化石を発見したと発表した。チームは、1500万~500万年前に水辺に生息していたと推定している。また、歯が退化した口で昆虫などをすりつぶして食べる現存種と異なりカメやカエルなども捕食していた可能性があるとみている。鳥のようなくちばしを持ち、哺乳類なのに卵を産むというユニークな生態のカモノハシの進化過程を知る手掛かりになりそうだ。

ティラノサウルス類の新属新種恐竜 米ユタ州で発見

 米ユタ大学自然史博物館などの研究チームは、米ユタ州南部の約8000万年前(白亜紀後期)の地層から、大型肉食恐竜ティラノサウルス類の後頭部が盛り上がった化石を発見し、科学誌プロスワン電子版に新属新種に分類したと発表した。「ライスロナクス・アルゲステス」と名付けられたこの恐竜は頭や腰、脚、尾の骨の化石が見つかり、体の長さ8㍍、重さは2.5㌧と推定された。約7000万年前に出現し、史上最強といわれるティラノサウルス・レックスより、小型だが、レックスと同様に後ろ脚で歩き、前脚は短かったとみられる。後頭部が盛り上がっているほか、両目が前向きに付き、鋭い歯が並ぶ特徴があった。

きれいな街づくりへ 芦田さんがジャカルタ国立大で講演

きれいな街づくりへ 芦田さんがジャカルタ国立大で講演
 じゃかるた新聞によると、ジャカルタお掃除クラブ代表の芦田洸さん(51)が11月16日、東ジャカルタのジャカルタ国立大学(UNJ)で行われた日本文化祭「自由祭り」で、「日本のようなきれいな街を目指すためには」のテーマで講演した。芦田さんは約120人が集まり満員になった会場で、「ポイ捨てするのは恥ずかしいこと」という意識を持ってもらうようにしたいと意気込み、何よりも「ごみを出さないことが大切」などと呼び掛け、自分たちの街をきれいにすることの大切さを訴えた。
 芦田さんの活動の原点は2012年4月、じゃかるた新聞のコラムに清掃活動を呼び掛けたところ、数人から反応があったところから始まる。同月末にクラブを創設。日曜日朝に中央ジャカルタ・スナヤンのブンカルノ競技場でごみ拾いを続け、最近では地元のテレビや新聞でお掃除クラブの活動が取り上げられるようになったという。芦田さんは常に携帯灰皿を持っていること、外国企業はインドネシアに数多く投資しているが、街が汚いから住みたくないという人も多いことなどを紹介。
 教材に、日本の小学校の掃除の時間の様子をビデオで見せるなどし、啓蒙・啓発活動用の『ごみの怪じゅう(Raksasa Sampah)』と題した紙芝居を披露した。紙芝居は現在ジャカルタ在住のイラストレーター、本多智子さんがつくったものだ。この紙芝居で今後、地元の小学校などに出向き啓発活動していくという。セミナーにはお掃除クラブのメンバー十数人も参加。講演後は文化祭会場でごみ拾いをした。

セイコー時計の”こだわり”のものづくり精神を講演

セイコー時計の”こだわり”のものづくり精神を講演
 インドネシア日本友好協会(PPIJ)は11月14日、時計大手セイコーウオッチの服部真二社長(セイコーホールディングス会長)らを招き、中央ジャカルタのホテルで「第5回ものづくりセミナー」(後援:在インドネシア日本大使館、日本貿易振興機構、元日本留学生協会)を開いた。
 今回はセイコー時計の歴史、ものづくりの理念・こだわりなど基本的な考え方の紹介と、組立・彫金の現場における技術者の実演も交えた内容となった。実演部分を担ったのが、盛岡セイコー工業内の雫石高級時計工房に所属し、高級機械式時計の組立師の桜田守氏と、彫金士の照井清氏。2人は「現代の名工」と称される厚生労働省の卓越技能賞に選ばれ、黄綬褒章を受章しており、集まった約100人の出席者は精密な作業を、静かに息を呑んで見守った。
 じゃかるた新聞によると、冒頭に講演した服部社長は、腕時計づくりを開始した1913年から今日に至るセイコーの100年の歴史を紹介。世界的にもスイスをはじめ、部品ごとに別工場でつくる水平分業型が主流の時計づくりの業界で、セイコーは部品から組立まで1社で行う垂直統合型の、世界でも数少ないマニュファクチュール(一貫生産工場)であること。この点こそが同社のこだわりであり、これが優れた製品を生み出す-と強調した。インドネシアでは1968年にアジア・ジャヤ社と販売代理店契約を締結し、現在は専門店9店のほか、600店で販売しているという。
 実演では、桜田氏は直径200ルピア硬貨ほどの基盤に、120個の部品をピンセットで取り付けていく作業を実演した。薄さは198㍉で、生産できるのは1日1個という。彫金は0.25㍉の薄さの板に、0.15㍉の深さで模様を彫る。照井氏は「もっと良いものがつくれる。もっと時間を縮められるという、貪欲さがないと工夫や努力をしない」とものづくりに対する心構えを話した。

気仙沼市長らユドヨノ大統領を表敬訪問 震災慰問の返礼

気仙沼市長らユドヨノ大統領を表敬訪問 震災慰問の返礼
 インドネシアを訪問している宮城県気仙沼市の菅原茂市長ら、同市経済界の10名を合わせた訪問団15名は11月12日午前、ジャカルタの大統領宮殿にユドヨノ大統領を表敬訪問した。同大統領夫妻は、東日本大震災後の2011年6月18日、気仙沼市を訪れ被災地を視察、仮設住宅や避難所を慰問するとともに、同市に200万米㌦の寄付を受けた。その際、気仙沼市の復旧、復興にあたり、津波災害からの復興を果たしたバンダ・アチェ市をぜひ訪問し、復興に役立ててほしい旨、訪問要請があった。
 こうした経緯から、今回はその大統領の要請に応えて同国を訪問し、気仙沼市の復興の状況を説明するとともに、寄付金の活用計画について報告するのが目的だった。2年5カ月ぶりの再会で、菅原市長ら同訪問団は笑顔で大統領と握手を交わし合った。
 同訪問団は25日に帰国するまで、この後、ジャカルタ特別州、アチェ州バンダ・アチェ市、バリ州デンパサール市を歴訪する予定。その間、インドネシア側の経済団体、水産加工業界および関連企業、港湾関係部署などと意見交換し、経済交流の発展を図る。

 

由美子バレエ教室がジャカルタ芸術劇場で慈善公演

由美子バレエ教室がジャカルタ芸術劇場で慈善公演
 西ジャワ州ボゴールにある由美子バレエ教室(由美子サントソ衛藤さん主宰)は11月10日、中央ジャカルタのジャカルタ芸術劇場で「くるみ割り人形」の慈善公演を開いた。じゃかるた新聞によると、日本からゲスト出演した森眞美さん(大屋バレエMOM代表)、英ロイヤルバレエ団に留学経験がある長田沙織さん、熊川哲也バレエ・カンパニーに在籍経験があり、現在フリーで活躍する高島康平さんらプロのダンサーが、同教室の生徒112人と共演。約530人が集まり満員となった会場からは、これらプロのダンサーの圧巻の踊りに”ブラボー”の声が上がり、子供たちのたどたどしい踊りに笑いが起き、でも可愛いと拍手の音が鳴り響いていた。今回の公演の収益は全額、ボゴールのインドリヤ自閉症センターへ寄付される。 

 

山形・舘山城跡で石垣の一部発見 伊達政宗の命で建設か

 山形県米沢市教育委員会は、伊達政宗(1567~1636年)の祖父、晴宗が築いたとされる舘山城跡(米沢市)の発掘調査で、新たに石垣の一部を発見したことを明らかにした。今回、本丸跡付近で、7~8個の切り石からなる幅約5㍍、高さ約80㌢の石垣の一部を確認した。権力を象徴していた石垣が発見されたことで、伊達家の本格的な居城だった可能性が高まった。同市教委では「当時としてはかなり立派な石垣で、文献などから政宗が命じて造らせたものとみられる」と分析している。

福岡・船原古墳から大陸文化伝える馬かぶと・旗立て金具

 福岡県古賀市教育委員会は10月31日、6世紀後半から7世紀初めの古墳時代後期の船原古墳で、馬の頭に付けるかぶと「馬冑(ばちゅう)」と馬上に旗などを立てる金具「蛇行鉄器」が出土したと発表した。いずれも極東アジアで流行した騎馬戦術で使われた馬具で、大陸の文化を伝える貴重な史料という。馬冑は鉄製で長さ50㌢、幅18㌢。完全な形で見つかるのは和歌山市の大谷古墳に続き2例目。蛇行鉄器は国内最多の3点が見つかり、最大のもので長さは約80㌢。人が座る鞍の後部に取り付けたとされる。出土した金銅製馬具を福岡県立九州歴史資料館(小郡市)がCTスキャンで分析した結果、ハート形の飾り金具に一対の鳳凰(ほうおう)が、馬の轡(くつわ)の金具に唐草文が透かし彫りされていることが分かった。船原古墳は直径約20㍍の円墳。