「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

ローソン 東京でAI駆使し次世代型コンビニ店舗オープン

ローソンが6月23日、東京都港区でAI(人工知能)などの新しい技術を使った次世代型コンビニ店舗、高輪ゲートウェイシティ店をオープンした。
店内には①14台のAIカメラがあり、顧客がどんな商品を見ているかを分析する②その情報をもとに、お勧めの商品を電子看板で表示する③例えばデザート売り場で商品を手に取ると、AIがそれを認識して「コーヒーもいかがですか?」と提案してくれる④同じ棚の前に長くいると、迷っていると判断して、人気商品を紹介するーーという具合。
このほか、同店舗内では従業員の負担軽減へ、揚げ物の調理や重い飲み物を棚に並べる作業など、一部の作業をロボットが手伝っている。

理研でIBM量子コンピューター運用開始,「富岳」と連携

ケタ違いの計算能力の高さから次世代のコンピューターして期待されている量子コンピューター。米国IBMが開発した量子コンピューターの運用が6月24日、神戸市中央区の理化学研究所・計算科学研究センターに設置され、始まった。
この量子コンピューターは、頭脳にあたる量子ビットの集積回路は156量子ビットあり、商業用としては国内で最高クラスの性能としている。計算科学研究センターにはスーパーコンピューター「富岳」が整備されており、今後は量子コンピューターと連携させることで、これまで実現できなかった計算能力の向上が期待される。

低コストで患者本人のiPS細胞製造施設 大阪・北区で開所

京都大学iPS細胞研究財団の山中伸弥理事長(京都大学教授)は6月20日、大阪市北区の医療拠点に、低コストで患者本人の血液からiPS細胞を製造する新たな施設を開所したと発表した。
これは同財団が運営する「Yanai my iPS製作所」で、広さはおよそ1,400㎡、iPS細胞を培養する装置が14台あるほか、培養した細胞を保管するスペースなどもある。同財団では、同施設で製造された患者本人のiPS細胞を使用した臨床試験が、2028年度までに医療機関で開始できるように事業を進めたいとしている。
財団によると、患者本人のiPS細胞からつくった組織などを移植することで、拒絶反応のリスクの低減が期待されるが、1度の製造コストがおよそ5,000万円と高額になることが課題だった。そのため、この施設では工程を自動化することなどで、製造コストをおよそ1,000万円程度に抑えることを目標に掲げている。製造期間も半年から3週間程度に短縮することを目標にしている。

理研, 富士通 スパコン「富岳」後継機を共同開発 30年運用

理化学研究所(本部:埼玉県和光市)は6月18日、富士通とともに基幹スーパーコンピューター「富岳」の後継機を開発すると発表した。富士通はシステム全体の基本設計を担当するほか、CPU(中央演算処理装置)も新規に開発する。富士通が担う基本設計の期間は2026年2月27日まで。2030年頃に世界最高水準の性能での運用開始を目指す。

ヤンマーとスシロー 養殖ブリ 遠隔でエサやりシステム実証

ヤンマーホールディングス(HD、本社:大阪市北区)と回転すし「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は6月18日、養殖ブリに遠隔でエサやりをするシステムの実証実験を始めたと発表した。人手不足や物価高が続く中、効率的にエサやりができる体制を目指す。
尾鷲物産(所在地:三重県尾鷲市)の養殖場で実証する。ヤンマーの農機や建機を遠隔で操作する技術を活用する。2026年1月末まで約1万4,000匹のブリを対象に、生育状況やシステムの運用を検証する。このブリは2026年中にスシローの一部店舗で販売する予定。

大林組, アイシン ペロブスカイト太陽電池実用化へ実証実験

大林組(本社:東京都港区)とアイシン(本社:愛知県刈谷市)は6月13日、共同で大林組技術研究所(所在地:東京都清瀬市)でペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、交換が容易なファスナーを用いた取り外し式工法など大林組の開発した施工方法と設置方法で施工性の評価や発電量を検証する。

ミズノ, カネカ 人工芝に水中分解素材 海洋へのプラごみ削減

ミズノ(本社:大阪市住之江区)とカネカ(本社:東京都港区)は6月10日、屋内スポーツ用人工芝と充填材を共同開発したと発表した。水中でも分解されるカネカの生分解性バイオポリマー「Green Planet(R)」を使用、長期使用での摩耗などによって施設外に流出して、最終的に海に蓄積されるプラスチックごみの量を、従来製品の9割以上を削減したとしている。人工芝に生分解性素材を使用する事例は世界初という。

量研機構が脳画像解析 中高年うつ病に認知症たんぱく質関与

量子科学技術研究開発機構(QST)などは、40歳以上でうつ病などの気分障害を発症した患者の脳に、認知症の原因の一つになるたんぱく質が蓄積していることがあると明らかにした。同機構が開発した薬剤を使って撮影した脳画像を解析した。
認知症には「タウ」や「アミロイドβ(ベータ)」などたんぱく質が脳にたまることで発症するものがある。近年、認知症の前段階として、中高年でうつ病や双極性障害などの気分障害を発症する可能性が指摘されている。ただ、気分障害の発症とたんぱく質蓄積の関係について調べるのは難しかった。

大阪大 がんへの免疫妨害細胞を狙い撃ち 新治療法を開発

大阪大学などの研究チームは6月10日、がんへの免疫を妨害する細胞だけに働きかけ、免疫機能を回復させる新しい治療法を開発したと発表した。同チームは、がん細胞の周辺に存在し免疫細胞の働きを阻害する物質を生み出す「がん関連線維芽細胞(CAF)」に限定して、酵素の働きを抑える方法を考えた。
チームはたんぱく質の設計図である「メッセンジャーRNA」に結合し、酵素をつくる遺伝子の働きを抑える化合物を活用。CAFだけが持つ特殊なたんぱく質を目印とし、CAFにピンポイントでくっつくようにしたところ、正常な細胞に影響を与えずに狙い撃ちすることに成功した。マウスの実験ではがん細胞が小さくなることを確認した。研究チームは、転移性の大腸がんや膵臓(すいぞう)がんなど、治療が難しいがんへの治療法として期待できるとしている。

神戸大グループ がん深部の細胞の新たな観察技術を開発

神戸大学大学院などの研究グループは、がんの深い部分にある細胞をリアルタイムで撮影することができる技術を開発したと海外の学術誌に発表した。この技術は、がんの基礎研究や抗がん剤の効果などを調べることに役立つことが期待される。
グループは、直径0.35ミリの光ファイバーを皮膚の上から差し入れ、内視鏡のように内部の細胞を撮影できる技術を開発した。マウスの実験では、抗がん剤の効果を数週間にわたって、繰り返し観察できたという。