「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

岐阜大 ブタの受精卵にヒトのiPS細胞入れ育成

文部科学省の専門委員会は7月19日、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)をブタの受精卵に入れて育てる岐阜大の研究計画を大筋で了承した。人の細胞がブタの受精卵の中で育つ条件を調べ、将来的にブタの体内で人の移植用臓器をつくる技術に役立てることを目指す。
研究では、京都大学iPS細胞研究財団から提供を受けた人のiPS細胞をブタの受精卵に入れ、培養器内で最長10日間育てる。1回に約50個、計約4,200個をつくる計画。人の細胞がどの程度入り込んだかや、細胞の分布を調べる。

アルツハイマー病の原因物質の蓄積促す”種”発見

国立精神・神経医療研究センターなど日米の研究チームは、アルツハイマー病の原因として最有力視されている異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」を蓄積させる”種(たね)”となる新たな物質を発見したと発表した。チームは、この物質がAβを蓄積させる種のような役割を果たすと特定し、「ピーク1Aβ」と命名した。
チームは、遺伝子改変によって加齢とともに脳内へAβが蓄積するマウスを使い、老人斑を構成する成分を分析。その結果、3種類の候補物質が浮上した。このうち1種類ずつを、記憶を司る脳の部位「海馬」に注射したところ、1種類のみで華麗に伴いAβの蓄積量が急増していくことを発見した。
この物資は、アルツハイマー病で亡くなった6人の患者の脳でも確認された。また、人の患者から取り出したこの物質をマウスに駐車すると、同様にAβの蓄積が始まった。一方、アルツハイマー病以外で死亡した5人からは検出されなかった。

富士通 ファナックなどとフィジカルAIの社会実装

富士通は7月16日、ロボット産業界をリードするファナック、安川電機、川崎重工業の各社と、フィジカルAI分野における事業検討を開始すると発表した。
この事業はNVIDIAの技術を取り入れながら、①デジタルとフィジカルをつなぐソブリン性を確保した協調制御基盤の開発を推進する②製造、物流、ヘルスケアを含む様々な産業分野におけるフィジカルAIの社会実装を加速する。これにより、人とロボットが共存、協働する社会を実現、日本の産業競争力の強化を図るものだ。

JR東日本 27年末から「水素電車」営業運転へ

JR東日本は7月14日、水素を燃料とするハイブリッド電車「HYBARI」を、2027年末をめどとして営業運転を開始すると発表した。
HYBRIは、JR東日本、日立製作所、トヨタ自動車の3社が持つ鉄道・自動車技術を融合した、日本初の水損塩嶺電池車両で、2022年3月から実証実験が行われてきた。
今回日本で初めて水素を利用する営業車両として改造される。1回の充填で走行できる距離は約70kmという。

三菱自 ヒト型ロボへ参入, 東大新興と国内量産

三菱自動車は7月9日、国内工場でヒューマノイド(ヒト型ロボット)の量産を始めると発表した。出資する東京大学発スタートアップのHighlanders(ハイランダース、本社:東京都豊島区)と共同開発したロボットを、三菱自動車がエンジンを生産している京都工場の遊休スペースに、新たに生産設備を導入する。2027年にも生産開始する。生産能力は月1,000台とし、将来は外販も検討し、新たな収益源に育成する。
量産するヒト型ロボットは、人間と同様に顔部分にカメラや音声システムを集中させ、顔で認識した映像などをもとに、AI(人工知能)が手足などの関節を自動で動かす。

産総研 松ヤニから黒鉛の原料生成 電極剤を脱石油化

産業技術総合研究所は、松の樹木から分泌される松ヤニから黒鉛の原料を作成することに成功した。黒鉛はリチウムイオン電池の電極などに使われる。脱石油に貢献する技術として実用化が期待される。研究成果は、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
研究グループは天然樹脂の松ヤニに多く含まれる樹脂酸から黒鉛の前段階の材料の「ピッチ」を合成する手法を開発した。今回試作したピッチは工業的に利用されているピッチと同じように加熱によって溶融する性質を持つ。加工しやすいことから実用化しやすいとみている。

静岡県知事が容認 リニア新幹線全線着工へ

静岡県の鈴木康友知事は7月7日、JR東海が手掛けるリニア中央新幹線の静岡工区について、着工容認を表明した。これにより、東京・品川ー名古屋間で唯一未着工だった静岡工区の政治障壁がなくなり、最短で2036年と見込まれる開業へ大きく前進することになった。
静岡県とJR東海は18日に、本体工事に必要な「自然環境保全協定」を締結する。この結果、将来的に3大都市圏を約1時間でつなぐ「大動脈」の実現に近づくことになった。

マウス体内にラット由来の腎臓, ES細胞活用

奈良先端科学技術大学院大学と国立長寿医療研究センターは、マウスの体内でラットの細胞由来の腎臓を形成することに成功した。動物の発生初期の胚にES細胞を注入して別種の細胞の臓器を作製する技術で、再生医療の新たな技術として応用が期待される。これらの研究成果は、米科学誌「ステム・セル・リポーツ」に掲載された。
慢性腎不全の治療に必要となる臓器移植で課題のドナー(臓器提供者)不足の解決のため、ES細胞などの多能性幹細胞から臓器を作製する手法の一つとして注目される。

患者にブタの臓器移植 明大発新興, 国内初治験

明治大学発スタートアップ、ポル・メド・テック(本社:神奈川県川崎市)は、2028年にも慢性腎不全患者にブタの臓器を移植する。動物の臓器を人に移植する国内初の臨床試験(治験)となる。北海道大学病院(所在地:札幌市)と湘南鎌倉総合病院(所在地:神奈川県鎌倉市)で実施する。
ポル・メド・テックは、治験の計画を2027年頃に審査当局の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出する。対象は数人程度。計画が承認されれば、主に慢性腎不全で人工透析を受ける60代の患者にブタの腎臓を移植する。
臓器移植で動物の臓器を使う「異種移植」が普及すれば、ドナー(臓器提供者)の不足を補える可能性がある。