「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

KDDI スタートアップ3社と連携, メタバースを一括支援

KDDI(本社:東京都千代田区)は3月14日、仮想空間「メタバース」関連事業を手掛けるスタートアップ3社と連携すると発表した。連携するのはSTYLY(本社:東京都新宿区)、monoAI technokogy(本社:神戸市)、REALITY XR cloud(本社:東京都港区)の3社。これら複数のメタバースプラットフォームが連携した日本最大級のメタバースアライアンス「オープンメタバースネットワーク」を発足させた。各社の知見を持ち寄り、メタバース制作や拡張現実(AR)導入、イベント企画の支援などを企業・自治体向けに展開する。

鹿島 大阪万博でCO2排出7割削減したコンクリートでドーム

鹿島は3月13日、2025年大阪・関西万博の会場に、製造時や現場施工時発生する二酸化炭素(CO2)排出量を7割削減したコンクリートを使用したドームを建設すると発表した。万博会場の西ゲート付近に建て、環境教育のための展示施設として使用される。鉄筋コンクリート造りで、高さが5.45m、幅23m、奥行きが18mの楕円形とする。
低炭素コンクリートと、同社がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環としてデンカや竹中工務店などと共同開発した、CO2の排出量よりも削減効果の方が大きいコンクリートを組み合わせる。全体でCO2を約17.9トン、従来比で7割削減した。

東大発スタートアップELYZA 国内最大規模の生成AI開発

東京大学発スタートアップ企業、ELYZA(イライザ、所在地:東京都文京区)は3月12日、日本語への対応に優れた、日本国内最大規模の生成AIの基盤技術」を開発したと発表した。この生成AIは基盤となる大規模言語モデルの学習量を示す「パラメータ数」が700億で、これまで各社が手掛けた国産の生成AIとしては最大規模の処理能力がある。
大規模言語モデルの開発はオープンAIやグーグルなど米国テクノロジー企業が先導してきたが、イライザの曽根岡侑也・最高経営責任者(CEO)は「先行する米国企業の生成AIと同等の日本語の処理能力がある」としている。
イライザは、チャット形式の生成AIを今後、一般に公開するほか、企業や自治体などに向け順次提供を始める予定。

スペースワンの小型ロケット打ち上げ直後に爆発、失敗

宇宙スタートアップのスペースワン(本社:東京都港区)が3月13日午前11時すぎ、和歌山県串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げた小型ロケット「カイロス」初号機が打ち上げ直後5秒ほどで爆発、打ち上げは失敗した。発射場近くに設けられた見学会場には、朝早くから発射を待ちわびる人たちが続々と集まって見守っていたが、打ち上げ失敗のアナウンスに悲鳴が漏れた。
日本の民間ロケットで初めて人工衛星を宇宙空間の軌道に投入する計画だった。同社は詳細については調査中とするコメントを発表、原因究明を急いでいる。カイロスの全長は18mで、H2Aロケットの3分の1程度。重さは23トン。
スペースワンにはキヤノン電子、IHI子会社のIHIエアロスペース、清水建設などが出資している。

アデランス 米ステムソン社と毛髪再生でライセンス契約

毛髪・美容。健康のウェルネス事業をグローバルに展開するアデランス(本社:東京都品川区)は3月11日、iPS細胞の再生力を活用した毛髪再生の研究を手掛ける米ステムソン・世羅ピューティクス(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ、以下、ステムソン社)と、細胞培養による毛髪再生の知的財産権のライセンス契約を2月22日に締結したと発表した。同社が毛髪再生の知的財産権のライセンス契約を結ぶのは今回が初めて。
これによりステムソン社は、アデランスのグループ会社、アデランス・リサーチ・インスティチュート(本社:米国ジョージア州アトランタ、以下、ARI)がフェーズ2の臨床試験として取り組んでいた「細胞治療毛髪再生プログラム」の実施を再開し、既存の脱毛細胞治療開発パイプラインに統合することが可能となる。両社が協力することで、脱毛患者や毛髪再生を望む多くの方に対する毛髪再生治療薬の開発、商品化の実現に繋げていく。

東レ 次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出

東レ(本社:東京都中央区)は3月11日、イオン伝導度を従来開発品比10倍に向上した次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出したと発表した。ホッピングサイト構造の改良とサイト数を増強した新規ポリマー設計により、ホッピング伝導型のポリマー膜としては最高レベル(東レ調べ)となる、10ー4S/cm台のイオン伝導度を実現した。
このポリマー膜は、全固体電池や空気電池などの金属リチウム負極電池の実用化を加速させ、電気自動車(EV)や産業用ドローン、UAM(Urban Air Mobility)などの航続距離拡大に貢献する。

京都府立医科大など 今夏, 特殊なブタの腎臓をサルに移植

京都府立医科大学などの研究グループは今夏にも、ヒトに移植することを想定して開発された特殊なブタの腎臓をサルに移植し、安全性などを確かめる研究を実施すると発表した。このグループが同大学、鹿児島大学および神奈川県のベンチャー企業で、ヒトへの臓器の移植を想定して拒絶反応が起こりにくくなる遺伝子操作したもの。
早ければ今夏にも移植を実施し、拒絶反応の有無や腎臓の機能が保たれるかなど、数年かけて安全性や効果を確認したうえで、腎臓病患者への応用を目指したいとしている。

阪大と東北大 がん抗体医薬品開発に道 がん抗体を解明

大阪大学蛋白質研究所、東北大学大学院医学系研究科の研究グループは3月9日、共同でがん細胞だけに結合して正常細胞には全く反応しない抗体の取得に成功し、さらに細胞選択性の理由を結晶構造解析により明らかにしたと発表した。この結果、今後がん細胞のみを攻撃する抗体医薬品の開発への応用が期待される。
グループは数百種にも及ぶ数のHER2に対する抗体を作り出し、各抗体について様々な細胞への反応性を調べた。HER2はヒト上皮細胞増殖因子受容体。がんの治療における標的タンパク質として古くから注目されており、過剰に発現したり活性化したりすることで、細胞の増殖制御ができなくなり、がん化する。

伊藤忠 核融合エネルギー米スタートアップBLF社と提携

伊藤忠商事(本社:東京都港区)は3月7日、核融合エネルギー関連スタートアップのBlue Laser Fusion Inc.(本社:米国カリフォルニア州パロアルト、以下、BLF社)の第三者割当増資を引き受けるとともに、フュージョンエネルギー関連ビジネス、およびBLF社が開発するレーザー技術を応用した関連ビジネスにおける戦略的業務提携契約を締結したと発表した。
BLF社は、高輝度青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が共同創業者の一人として2022年11月に設立されたスタートアップ企業。自社で開発を進めるハイパワーレーザーを用いたレーザー方式核融合炉の商用化を目指している。

コマツ ナトリウムイオンバッテリー搭載フォークリフト

コマツは3月7日、ナトリウムイオンバッテリーを搭載した電動式フォークリフトのコンセプトマシンを開発し、3月から取引先顧客の現場で実証実験を開始すると発表した。ナトリウムイオンバッテリーを搭載するのは同社として初めてで、フォークリフトへの搭載は世界でも先駆的な取り組み。
ナトリウムイオンバッテリーは①エネルギー密度は低いものの、急速充電が可能②サイクル寿命(充放電を繰り返せる回数)が長いことから、ランニングコストの低減が期待できる③地球上に豊富に存在するナトリウムを用いるため、安定した調達が可能で、将来的にコスト削減が見込まれるーなどが利点。
同社は電動式フォークリフトの選択肢を増やすことで、あらゆる現場の電動化を加速させ、環境負荷低減とカーボンニュートラルの実現に貢献する。